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料理家 今井真実の「食べたいエンタメ」(ミニレシピ付き)第31回

今井真実さんが人生初の「推し」を見つけた『殺し屋たちの店 』シリーズの魅力を語り尽くす【韓国料理のミニレシピ付き】

  • 今井 真実

2026.08.28

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Yummy!

今月のミニレシピ

「ほやの代わりにチャンジャを乗せたサムギョプサルならぬモクサル」

今井真実さん ほやの代わりにチャンジャを乗せたサムギョプサルならぬモクサル

トンテキ用(ロース又は肩ロース)300gに小さじ1/2の塩を振り、小さじ1の油を引いたフライパンで中火で両面こんがりするまで裏返しながら5分ほど焼きます。火を止めて、ハサミで食べやすい大きさに切ります。ここで火の通りが甘かったらさらに焼いてください。あとはチャンジャと一緒にサンチュと巻いて召し上がれ。絶妙な美味しさですよ。モクサルは肩ロースを使った豚の焼肉のこと。豚バラよりあっさりで、食べやすいです。

「推し」の存在は特にいない私ですが、これはもしかしたら「推し」といってもいいのではというお方がいます。

それは、韓国の俳優であるイ・ドンウクさん。
というより、ドラマ『殺し屋たちの店』シリーズのイ・ドンウクさん演じる、元殺し屋「チョン・ジンマン」!! 
いや、これはもう推し! めちゃくちゃに格好いいんです!!! チョン・ジンマン、チョン・ジンマン、チョン・ジンマン! 3回言いたくなるほど!(観た方ならわかる!)

『殺し屋たちの店2』
『殺し屋たちの店 2』ディズニープラスのスターにて全話独占配信中 (C) 2026 Disney and its related entities

姪が知らなかった叔父の裏の顔、それは殺し屋たちに武器を売る「マーダーヘルプ」の経営者

チョン・ジンマンは田舎で農業用器具を通販で売る中年男性。亡き兄夫婦の代わりに、姪のジアンを育てながら暮らしています。そしてジンマンが引き取ったときは小学生だったジアンも、今や成長して独立。都会で学生生活を送っています。
そんなある日、ジアンのもとにジンマンが何者かに殺されてしまったという知らせが入ります。2人の住まいであった田舎の家に急いで帰るジアン。するとその家にどんどん殺し屋たちが押し寄せ、唐突に銃撃戦が始まります。ジアンは訳もわからず命を狙われることになってしまったのです。

ジアンも知らなかった、叔父ジンマンの裏の顔。それは殺し屋たちに武器を売る「マーダーヘルプ」の経営者でした。今まで農業器具の倉庫だと思っていたのは、あらゆる武器の倉庫。さらに最新のデジタル、防衛機器が導入され簡単に部外者は入れぬようになっていたのです。

ジンマンはかつて、巨大な民間軍事企業「バビロン」の伝説的な最精鋭部隊の隊長として活躍していました。つまりプロの殺し屋です。ジンマンは圧倒的に強い戦闘能力があり部下からも尊敬を集めるカリスマ的存在。任務を果たしながらも善良な人々をしっかり保護するのが彼のやり方です。


『殺し屋たちの店 2』
『殺し屋たちの店 2』ディズニープラスのスターにて全話独占配信中 (C) 2026 Disney and its related entities

しかし、ある事件がきっかけとなり冷酷で残忍な同僚「ベイル」と対立。ジンマンは「バビロン」の引退を余儀なくされます。さらにベイルの報復により、家族が危険に晒されてしまい、生き残った姪ジアンを引き取り自らの手で育てることに。姪であるジアンがまたいつバビロンに襲われてしまうかわからない。そんな事態を見越して、ジンマンはジアンをその名の通り「生き残るため」の術を教えながら厳しく育てます。

そうして成長したジアン。彼女が家から出て独り立ちしたいと言ったときには、ジンマンは条件を出します。それは「1発でもいいから自分を殴ること」。そんなの簡単ではないかと、ジアンは快諾して挑戦します。もちろん殺し屋だった彼にパンチなど当たるわけがなく、ジアンは地団駄を踏みます。
次にジアンが考えたことは、ジンマンの友人でありタイ人のパーシンにムエタイを習うことでした。パーシンとの修行に耐え、武術を手に入れたジアン。しかし、この時の彼女はその武術をプロの殺し屋たちから身を守るために使うなどとはつゆとは思っていなかったのです……。

待望の続編『殺し屋たちの店 2』が公開! 夏休みを大義名分に自分に夜更かし許可してずんずん観ちゃう…

これが『殺し屋たちの店』のシーズン1のざっとしたあらすじ。クールな殺し屋としてのジンマン、朴訥としてどこかキュートな叔父さんモードのジンマン。どちらもたまらなく魅力的なんですよ……。そして、ジアンを育てている時も、ひとりの「人」としてジアンを尊重していることも好ましい。シーズン1が公開されたときは、見事にハマり、毎日夜更かしして一気に観たものです。
そして、この夏、なんとファン待望の続編が『殺し屋たちの店 2』が公開されたのでした!!

さらに驚きのニュースが! シーズン2には日本でも大活躍の俳優、岡田将生さん、玄理さんがご出演! これを聞いた時からもう期待大だったのですが、お二人ともジンマンの宿敵のバビロン側。どう対峙していくのだろう……ワクワクしながら私は続編を観始めました。いや、わかっていましたが、もう止まりませんよ。無理、無理。夏休みのおかげで夜更かしも自分に許可して、ずんずん観ちゃう。

『殺し屋たちの店 2』
『殺し屋たちの店 2』ディズニープラスのスターにて全話独占配信中 (C) 2026 Disney and its related entities

続編の序盤、胸が苦しくなったのがジアンのトラウマ。こういうヴァイオレンスアクションって、人の命の描写がおざなりになりがちではないですか。そりゃあ、ジンマンは訓練を受けてきて職業として殺し屋をやっていますが、ジアンは普通の女性だったわけです。それが急に巻き込まれて、生き残るために敵を倒した。つまり命を奪ったのです。その罪の意識とトラウマに襲われながら彼女は生きています。そのせいか、ジアンは年相応の幸せを自分に許可しません。バビロンの報復を恐れ、偽名を使い、新たに人間関係を築くことを拒否して、常に警戒しながら暮らしています。

劇中、何度も食事のシーンで出てくるサムギョプサル。じゅうじゅうと焼かれた豚はまるで幸せの象徴のよう

しかしそんな彼女にも氷がゆっくり溶けるように静かな時間が訪れます。逃亡先での港町では、まるで母親のようなお節介焼きのおばさんたちに囲まれながら仕事に励む毎日。最初は気にかけてもらうことに戸惑っていたジアンですが、母親の愛情を知らないジアンにとっては初めて受け取る温かさでした。



しかし、そんな生活も長くは続きませんでした。ひとときの落ち着いた日々を過ごすジアンに、再びバビロンの魔の手が迫ります。とうとう自宅まで襲撃されたジアン。しかし彼女は、「ごはんを食べよう」と助けに来た味方の女性ミンヘに冷蔵庫いっぱいの食べ物をテーブルに並べます。その手作りのおかずはホヤの塩辛など、港町のおばさんたちの作ったものばかりでした。
ミンヘは「ご飯を食べる時間はない」と彼女に早く逃げることを促しますが、ジアンは首を縦に振りません。「一緒に食べておしゃべりして。そういうのって生きた心地がする。こうして普通に暮らしたい」と彼女は涙を流します。

劇中、何度も食事のシーンで出てくるのがサムギョプサル。
港町でジアンは庭でフライパンで角切りにした豚バラ肉を焼いて、ほやの塩辛を乗せて食べます。そして別のシーンでも、ジンマンだけでなく家族のように大切な自分を守ってくれる人たちとわいわいとサムギョプサルをつつくのです。どちらの場面でも、じゅうじゅうと焼かれた豚はまるで幸せの象徴のよう。視聴者としても、このドラマを見ているといっときも気が抜けない状況に晒され続けるので、食事の場面ではふと肩の力が抜けました。

過酷な状況で生きるしかなかったジアン。そんな彼女にとって、とめどないおしゃべりと愛情のこもった食事は何物にも代え難いものでした。それらを一瞬にして破壊され奪われ絶望の淵に落とされます。今まで彼女はジンマンはじめ大人たちから守られる立場でありました。しかしジアンは守る側にまわろうとします。終わりの見えない逃げ回る生活をやめて、力をつけて、真の安寧を手にいれることを決意するのでした。



岡田将生さん演じる「人懐っこい笑顔なのに怖い」殺し屋と、岡田さん出演CMの共通点

シーズン2ではアクションもパワーアップ。バビロンの日本チームの殺し屋として活躍されるのが玄理さんと岡田将生さん。岡田さんは『ドライブ・マイ・カー』を観た監督から起用に繋がったのだそう。あの『ドライブ・マイ・カー』の狂気がかった空虚な存在が、あーわかるー!! 役にピッタリと納得。だって今回も岡田さん、人懐っこい笑顔なのに怖いの! 激しいヴァイオレンスアクションを演じておられます。


『殺し屋たちの店 2』
『殺し屋たちの店 2』ディズニープラスのスターにて全話独占配信中 (C) 2026 Disney and its related entities

ちなみに岡田さんの保険のCMも私大好き。子どもがボールを岡田さんの車にぶつけてしまって(しかも、なぜか夜)、目が笑ってない岡田さんが「大丈夫、保険入ってるから」みたいなこと言うんですよ!! たしかに愛車に保険屋さん呼ぶくらいボールぶつけられたら、にこにこできないよね。怒りを抑えながらも安心させようとするよね……と妙にリアル。絶対保険入らなきゃ!って思っちゃう!


そして玄理さんの格好良さと色っぽさよ! 七変化で油断させて、ターゲットにきっちり仕事する彼女が、時折見せる「人間」がなんとも言えずいいんですよ……。そしてほんのりとしたジンマンへの感情が切なく儚くもあり、オアシスでもある……。狂った人ばっかり出てくるから、玄理さんの人間らしさが際立ちます。

ここまで書いて気づきましたが、全然チョン・ジンマン推しではなかった。このドラマごと。これはいわゆる「箱推し」というやつですか? 使い方合ってる?

今井真実さん ほやの代わりにチャンジャを乗せたサムギョプサルならぬモクサル

(『料理家 今井真実の「食べたいエンタメ」(ミニレシピ付き)』は毎月最終金曜日更新です。次回をお楽しみに!)


Staff Credit

撮影/今井裕治

Check!

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今井 真実 Mami Imai

料理家

レシピやエッセイ、SNSでの発信が支持を集め、多岐の媒体にわたりレシピ製作、執筆を行う。身近な食材を使い、新たな組み合わせで作る個性的な料理は「知っているのに知らない味」「何度も作りたくなる」「料理が楽しくなる」と定評を得ている。2023年より「オージービーフマイト」日本代表に選出され、オージービーフのPR大使としても活動している。既刊に、「低温オーブンの肉料理」(グラフィック社)など。

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