

子どもの皮膚トラブルの中でも、よく耳にする「アトピー性皮膚炎」。実は年齢によって症状が変わり、かゆみや湿疹が出る場所にも違いがあるといわれています。
また、3歳の入園、6歳の小学校入学、12歳の中学校入学や思春期などは、生活環境の変化の影響を受けやすいタイミング。肌の状態が変わり、「いつもと違うかも」と感じることもあるかもしれません。
そんな中、治療の選択肢は少しずつ広がり、大切な成長の節目を、よりよい状態で迎えられるようになってきています。 今回は、2児の母である優木まおみさんが、専門医からアトピー性皮膚炎について学びます。
話を聞いたのは……
モデル・タレント 優木まおみさん
1980年、佐賀県生まれ。数多くのバラエティ番組や情報番組への出演、LEEをはじめ女性誌のモデルとして幅広く活躍中。2013年に結婚し、14年に第1子、17年に第2子を出産。12歳と9歳の2人の女の子のママ。25年初夏、マレーシアに移住し、日本との二拠点生活中。
教えてくれたのは……
医師 佐藤さくら先生
独立行政法人国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部長。小児科医。アレルギー指導医。日本小児アレルギー学会理事。日本の小児アレルギー領域、アナフィラキシー分野の第一線で活躍。研究、診療、小児患者の家族サポート、またアレルギーの啓発活動も行う。
当事者も、そうでなくても正しく知っておきたい
そもそも「アトピー性皮膚炎」とは?

優木さん(以下、敬称略) わが家には12歳と9歳の娘がいるのですが、特に次女が小さいころから乾燥で肌がガサガサしやすく、アトピー性皮膚炎かなという症状があるんです。かゆみがひどくて、かき壊してしまうこともあったりして……。
佐藤先生(以下、敬称略) それはつらいですね。冬の乾燥や、季節の変わり目で気温の変化が大きいときなどは、症状が悪化しやすいんです。
優木 やはりそうなんですね。あらためて、アトピー性皮膚炎の基本的な症状や特徴について教えてください。
佐藤 アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が、よくなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の疾患のこと。アトピー性皮膚炎の人では外からの異物の侵入を防いで肌を守る働きであるバリア機能が低下しているため、皮膚の内部で炎症が起こり、かゆみを引き起こします。症状は左右どちらかだけということはなく、左右対称にあらわれるのが特徴。このような状態が半年以上続くとアトピー性皮膚炎だと診断していますが、最近はそこまで長い期間でなくても、早めに診断をして治療を進めています。
優木 実は、私自身に小さいころからぜんそくがあり、大人になってからは花粉症もひどくて。アトピー性皮膚炎だと診断されたことはないのですが、ぜんそくの症状が出ると、一緒に肌の状態も悪くなるなと感じることがあります。この体質を次女も受け継いでしまったのかも。アトピー性皮膚炎の原因として、もともと持っている体質は大きいのでしょうか?
佐藤 優木さんの言う通り、もともとの体質が関係しているといわれています。皮膚が本来もっているバリア機能がやや弱く、アレルゲンが入り込みやすいことが、原因のひとつと考えられています。さらに、気温や湿度の変化や、ダニやハウスダストなどのアレルゲンなど、日々の生活環境も関係しています。体質に加えて、こうした環境の影響が重なることで、アトピー性皮膚炎が起こると考えられています。
優木 原因はひとつではないのですね。
佐藤 あとは、年齢によっても症状が変わっていきます。赤ちゃんのころは、赤くなってジュクジュクとした湿疹が多いのですが、湿疹が長引いて大人になると、硬くゴワゴワになっていきます。また、湿疹や赤みの出る部位も変化します。
優木 それは知りませんでした!
佐藤 赤ちゃんから2歳の乳児期は顔が多く、特におでこやほっぺが赤くなることが多いです。2歳から13歳の小児期にかけては、顔よりも首、わき、ひじの内側やひざの裏側、手首、足首が中心に。13歳以上の思春期では、首、胸、背中など上半身の皮膚症状が強くなる傾向があります。
年代別に変わる、症状があらわれやすい部位

優木 年齢によってもこれだけ違うんですね。勉強になります。
佐藤 小さいころにアトピー性皮膚炎を発症した人の中で、約半数は大人になっても症状が続くといわれているんですね。もちろん、成長とともに症状が軽くなったり、なくなっていく方もいるのですが、完治するという概念ではなく、私たちは「寛解」という言い方をしています。症状が落ち着いているという状態で、その状態をどれだけキープできるか、というのを治療でも意識しています。
優木 そうですよね。私がアレルギー体質なので、自分の経験から、娘の症状ともずっと付き合っていくものだと思っています。
佐藤 症状が悪くなるきっかけは子どもによってさまざまで、例えば「汗をかくとひどくなる」などとわかってくると、予防と対策が取りやすくなります。
優木 うちの次女は猫が大好きなのですが、猫と遊ぶと症状が出やすいなと感じるんです。ただ、遊んだあとにそのまま粘膜をこすったりするともちろんよくないのですが、すぐに手を洗って清潔に保てば大丈夫そうで。子どもから好きなことや楽しみは奪いたくないし、我慢させるのはつらいので、無理のない形で対策ができると、親も気持ちがラクになるんじゃないかなと思います。
佐藤 お母さんとして、とてもよい考え方だと思います。早めに受診をして適切な治療を受け、その子に合った対策ができれば、急に悪化することを防ぎながら、よい状態を保っていくことも難しくありません。子どもがその年齢でしか体験できない貴重な機会を制限しなくて済むように、アトピー性皮膚炎と上手に付き合っていくヒントを、多くの保護者の方に知っていただけたらうれしいですね。
しっかり受診をして、治療の見直しを
体育の授業の汗でかゆみ、 思春期で親が薬を塗るのを嫌がる…… 年齢の節目で悪化も

佐藤 先ほど、年齢によって症状の出方や出る部位が変わるとお伝えしたのですが、実はアトピー性皮膚炎には、特に注意して見ていきたいタイミングがあるんです。
優木 そうなんですか! いつごろなんでしょうか?
佐藤 「3歳・6歳・12歳の節目」とよくお話ししているのですが、3歳の入園、6歳の小学校入学、12歳の中学校入学と思春期に入る時期にあたります。入園や入学によって、それまで家で過ごす時間が長かった子どもが集団生活を送ることになり、生活環境が大きく変わります。例えば、体育の授業で汗をかいてもすぐに拭けずかゆみが出てしまったり、お泊まりの行事ではきちんと薬を塗れなかったり……。こうした環境の変化に対応するためにも、節目の前に治療を見直す・必要に応じて強化することをおすすめしています。よりよい状態に整えておくことが、お子さんが新しい環境で自信を持って過ごすための準備になるんです。
優木 確かに、特に小学生になると親が関わる時間が減りますよね。
佐藤 また、友達に肌のことをからかわれて傷つくなんてケースも……。
優木 つらいですね。大きくなってくると、子ども自身が自分と友達の肌を比べて、落ち込んでしまうなんてこともありそうです。
佐藤 思春期がまさにそうで、アトピー性皮膚炎がメンタルにも影響して、自己肯定感が下がってしまう子どももいるんです。また、症状が最も悪化しやすいのも思春期に入るころ。性ホルモンのバランスもあると思うのですが、より一層保護者の目が行き届かなくなりますよね。皮膚を見せてくれないし、保護者が薬を塗るのも嫌がってしまいます。
優木 わが家の長女も思春期真っ最中で、薬を塗るどころか、私に少しでも触れられるのも嫌そうです(笑)。最近「風呂キャンセル界隈」なんて言葉も聞きますが、娘も言わないとお風呂に入ってくれなくて不清潔になってしまうし、何をするにも面倒くさそうで、肌のケアもおろそかになりますよね。
佐藤 思春期に入ると保護者の方が直接ケアに関わることが難しくなるからこそ、早めに受診して主治医との信頼関係を築き、お子さん自身が主体的に治療に参加できるよう準備しておくことが大切です。 先ほどお伝えした「3歳・6歳・12歳の節目」をよい状態で迎えるためにも、成長の節目で一度立ち止まって肌の状態を見直してみることが、大切な機会になります。
アンケートで聞きました
わが子のアトピー性皮膚炎に悩む、LEE読者の声

幼稚園入園前には関節の裏にも症状が。首にも症状が出ることがあり、動かすとかゆみが気になるのか、ゆっくりと肌がこすれないように首を動かすことがあり、つらそうでした。皮膚科を受診するとアトピー性皮膚炎と診断されました。(LEE100人隊No.098 なーりーさん)

0歳のころ、娘の肌がひび割れて少し赤くなっていたので「乾燥かな」と軽く見ていましたが、3か月健診で皮膚科の受診をすすめられ、診てもらうとアトピー性皮膚炎が発覚。自己判断はよくないなと思いました。(LEE100人隊No.066 あまなつさん)

あせもがかなりひどかったため受診したところ、アトピー性皮膚炎の疑いありと診断されました。夏はどうしてもあせもができやすく、症状が出やすい季節があることを実感しています。(LEE100人隊No.080 くるみさん)

「読者の皆さんも、お子さんのアトピー性皮膚炎に悩んでいるんですね。うちの次女も寝ているときに無意識に肌をかきむしっていることがあり、親としてはそばで見ているだけでもつらいです」(優木さん)
肌のかゆみが、勉強の集中力にも影響する?
かゆみを伴う皮膚疾患に悩む受験生の母親へのアンケートによると、約88%がわが子の「集中力・判断力の低下」を感じており、約64%が「イライラする」ことが悪影響だと回答。(室田浩之ほか.診療と新薬. 2010;47(9):964-973.より)
皮膚疾患と勉強の関わりの大きさがうかがえます。「受験期には、プレッシャーやストレスから症状が悪化し、かゆみや痛みでイライラしたり、夜眠れなくなったりして、さらに勉強ができない……という悪循環に陥っているケースもあります」と佐藤先生。やはり子どものアトピー性皮膚炎には、受験期前からの早めの対策が望まれます。
塗り薬だけでなく、注射薬や飲み薬も。治療の選択肢は広がっています
優木 アトピー性皮膚炎には、どんな治療法があるのでしょうか?
佐藤 まずひとつは、毎日きちんとお風呂に入って汚れを落とし、皮膚を清潔に保つこと。次に、洗いっぱなしだと水分が蒸発してしまうのでしっかり保湿をすること。3つ目に、肌が炎症を起こしているので、湿疹やかゆみを抑えるための塗り薬を塗ること。これらは、治療の3本柱といわれており、アトピー性皮膚炎の治療の基本になります。
優木 毎日欠かさず続けるのは、親子ともに大変そうですが、やはりこの基本が重要なんですね。
佐藤 そうなんです。ただ、塗り薬をきちんと使っていても、よくなったり悪くなったりを繰り返してしまうという方もいらっしゃいます。そうした中等症以上の症状がある方に向けて、最近ではアトピー性皮膚炎の炎症の原因にピンポイントでアプローチする注射薬や飲み薬も登場しています。お子さんにとっても保護者の方にとっても、過度な負担なく続けていける治療を選べるようになってきています。
優木 塗り薬で効果が不十分な方にも、自分に合った治療を選べるようになっているのは心強いですね。
佐藤 自治体によっては医療費助成制度が利用できる場合もありますので、気になる方は一度確認してみてください。
アトピー性皮膚炎の治療の選択肢
● 塗り薬
保湿を目的にした「保湿外用薬」と、炎症を抑えることを目的にした「ステロイド外用薬」と「外用免疫抑制剤」がある。
症状が少しよくなっても自己判断でやめずに、必要な量と必要な期間、塗り続けることが大切。
● 注射薬・飲み薬
塗り薬で効果が認められない場合、分子標的治療薬という注射薬や、飲み薬も選択肢のひとつに。
体内から皮膚の炎症を抑え、症状を改善。

佐藤 先ほどもお話ししたように「3歳・6歳・12歳の節目」で、入学や思春期など環境が大きく変わる時期です。その影響もあって、症状の出方に変化を感じたり、これまでの治療について「少し見直してみてもいいのかな」と感じることもあるかもしれません。
優木 この節目は、治療を見直すひとつのタイミングでもあるんですね。次女ももうすぐ思春期に入るので、早めに受診して、自分に合った適切な治療が受けられるようにしてあげたいです。
佐藤 そうなんです。「今のままでなんとかなっている」と感じていても、節目は、お子さんの負担をさらに減らせる治療がないか見直すよい機会です。治療の選択肢はどんどん増えているので、気になることがあれば、ぜひ医師に相談してみてください。お子さんが新しい環境で自信を持って過ごせるよう、一緒に準備していきましょう。
⚫︎お問い合わせ先=
サノフィ株式会社
☎︎03・6301・3000(代表電話)
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MAT-JP-2602791-1.0-07/2026
Staff Credit
撮影/メグミ ヘア&メイク/TOMIE スタイリスト/小林真珠 イラストレーション/須山奈津希 取材・文/野々山 幸(TAPE)
衣装協力
〈優木さん〉シャツ¥7590/アバハウスインターナショナル オンラインストア(アバハウス マヴィ) パンツ¥33000/yori ピアス¥37400/マリハ
協力店リスト
⚫︎アバハウスインターナショナル オンラインストア https://abahouse.jp/
⚫︎yori 03・6804・-2580
⚫︎マリハ www.mariha.jp
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