長谷川あかりの私をつくったおいしい記憶

長谷川さんの今回の思い出は、大学の栄養学科で習った味つけの法則。これを知ったことが「レシピどおり」から一歩踏み出すきっかけに。
vol.5
私の料理は、〝味〟より〝味わい〟

塩分量を理解して、「なんとなく」の味つけを卒業
大学では栄養学を専攻していました。学んだことはどれも今の仕事に役立つことばかりですが、特に頻繁に使っているのが「調味パーセント」という考え方。これは、食材の重量に対して、塩分をどれくらい加えると何%の塩分濃度になるか?という指標です。
ちなみに、人間が一般的においしいと感じるのは、体液の塩分濃度と同程度の0.9%と言われています。そこを軸に考え、ごはんが進むしっかりめの味つけにしたいなら塩分量は2%くらい、お漬物ならおよそ3%、基本のメインおかずなら1.2%くらいでいいかな、という目安。お肉の場合、塩だけで味をつけるなら、300gのお肉1枚に対して塩は3g程度。この「調味パーセント」を知って以来、曖昧に味つけをしていた頃より、的確に味が決まるようになりました。ちなみにしょうゆは6㎖(小さじ1程度)でだいたい塩1gに相当します。この指標、味つけの目安にとても便利で、覚えておくと一生ものです!
私の思う“おいしさ”は風味と食感がカギでした
この法則を知ってから、いっそう料理が楽しくなりました。それは「調味パーセント」でおいしさの基準がわかっていれば、レシピに頼らなくても味が決まるから。さらに、「調味パーセント」の考え方と同時に習ったのは、塩分量を減らす代わりに、〝風味を足して〟満足感を得る方法。レモンや薬味をふんだんに使うなど、自分の好きな味の組み立て方が理に適っているとわかり、いっそううれしくなったのです。
〝味〟というのは、塩味、甘味、酸味、苦味、うま味の五味ですが、そこに香りや食感を加えれば、より深い〝味わい〟になる。私はどうやら、〝味〟よりも〝味わい〟に興味があると自覚したのも、この「調味パーセント」を知ったからこそ。まさに、自分の考える〝おいしい〟の仕組みを明確に知るきっかけとなる講義だったのです。
Recipe
かきたま汁
1.ボウルに卵2個を割り入れ、よく溶きほぐす。別のボウルに片栗粉小さじ1と水小さじ2を混ぜ合わせて水溶き片栗粉を作る。
2.鍋にだし400mLを入れて火にかける。煮立ったら、しょうがのすりおろし小さじ1、塩、しょうゆ各小さじ1/2で味を調える。
3.一度火を止め、1の水溶き片栗粉を回し入れ、全体を混ぜてとろみをつける。強火にかけて煮立たせ、1の溶き卵を円を描くように細く流し入れる。卵が浮き上がってきたら火を止める。器に盛りつけ、小ねぎの小口切り少々を散らす。
「汁もののちょうどいい調味パーセントは好みにもよりますが0.6〜0.9%。今回はしょうがの香りによる風味も加えて、満足感をより高めています。水溶き片栗粉を使ったとろりした口当たりも、味わいのうちです」
Staff Credit
調理製作・スタイリング/長谷川あかり タイトル文字・イラストレーション/綾野 撮影/wacci 取材・文/福山雅美
こちらは2026年LEE6月号(5/7発売)「長谷川あかりの私をつくったおいしい記憶」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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