今後、食費増は避けられない!?
値上げのニュ―スが相次いでいます。
農林水産省が製粉会社などに売り渡す小麦の価格が10月から引き上げられ、その値上げ幅は令和3年4月期と比べなんと19%にもなるとか。
小麦は、国内需要分の約9割が海外からの輸入。政府から民間企業に渡ってパンや麺類・菓子などに加工され、飲食店や小売店を通じて私たちに届きます。農水省は、今回の価格引き上げの影響として、食パン一斤で2.3円の値上げになるとの試算をしています。
もちろん、私たちが買うパンがそのまますぐ値上げされるとは思いませんが、今後様々な食品が上がっていく可能性は大いにあります。
それは、原料となる農産物の出来不出来(産地の天候などで変動)、世界的な需要の高まり(コロナ禍から回復しつつある国で、いち早く外食が回復しているなど)、輸送コストの高騰(取引が活発化したため運賃が上昇)などの要因で、モノの値段が上がっていくと考えられるため。
例えば、昭和産業などの油脂メーカーでは11月から食用油の価格改定を予定していますが、なんと今年4回目にもなる値上げです。ニチレイは家庭用冷凍食品の価格を11月から約4~8%アップすると発表しました。
やはり、いずれも原材料価格や輸送費の高騰などを理由に挙げています。
国内に目を向けると、天候不順の影響で野菜が高止まりに。
コロナ禍で外食が減り、在宅率が上がっているところに、これら食品の値上げが相次ぐようだと食費への影響も少なからずありそうです。
値上げを恐れてむやみに買いだめするのは逆効果
値上げするなら大量に買っておこうと考えがちですが、食費節約の基本は適量を買って使い切ること。
大容量単位で割安に販売するスーパーが人気ですが、大量パックの食品をそのまま冷蔵庫に押し込んでしまうと、何がどれだけあるのかわからず、うまく在庫管理ができません。消費期限までに食べないと!と焦って作りすぎ・食べすぎに…というのも逆効果。
生鮮食品などの日持ちしないものは、すぐ使い切れる単位で買った方がムダにせずにすむでしょう。とはいえ、冷凍野菜や乾麺、油や調味料類など保存しやすいものなら、大容量を買うメリットはあります。
ただし、やみくもに買うのではなく、家庭の消費ペースに合わせたアイテム選びが大事。我が家の場合は、油は主にごま油を使い、調味料としてポン酢も欠かせないので、どちらも業務用の大容量サイズを買っています。
何をよく使うのかは家庭ごとに異なるので、「消費するペースが速いもの」「なかなか使い切れないもの」を洗い出して、それに合ったサイズのものを買うと、冷蔵庫やキッチンがスッキリし、ムダな買い物も減らせるでしょう。
そもそもコロナ禍で食費が増えるのはやむを得ないこと。
「安く買う」ことも大事ですが、食費予算を今の状況に合わせてアップデートする姿勢も大事。切り詰めすぎて健康面にマイナスになっては、それこそ本末転倒ですから。
【連載】 松崎のり子さんの「知らなきゃ損するお金の話」一覧はこちら松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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