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翌日配送がなくなる!? 残業規制による「2024年問題」で物流と暮らしはどう変わる?
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松崎のり子
2024.02.27
トラックドライバーの残業規制がスタート
このところ耳にする「2024年問題」。
もともとは、働き方改革の一環として長時間労働をなくして休みを取りやすくするため、残業時間の上限を定め、それを企業に義務づけるというもの。
もちろん、労働者にとっては喜ばしいことなのですが、簡単に言うと働ける時間が短くなることで、様々な副作用が懸念されています。特に、私たちの暮らしに影響が出ると考えられているのが、物流です。
2024年4月から物流を担うトラックドライバーにも残業規制が適用され、その上限が年960時間に。
一人のドライバーが運べる時間が減ることで、これまでよりも輸送能力が落ち、その結果今よりも運べない荷物が出てくるのではと危惧されています。
何の対策も行わない場合、2030年には現在と比べて約3割の荷物が運べなくなるのでは、と言われているのです。そのぶんドライバーを増やせればよいのですが、今は人手不足の時代。タクシーもバス運転手も足りないのですから、簡単にはいきません。
当日や翌日配送はなくなる?
もしそうなった場合、私たちの暮らしにどんな影響が出るのでしょうか。
今は当たり前のように利用している、ネット通販の当日・翌日配達のサービスは受けられなくなるかもしれません。さらには、不在時の再配達も、希望通りの日時が選べない可能性もあります。
コスト増のため配送料が引き上げになり、「送料無料」は難しくなってしまうかも…。また、いつも利用しているスーパーやコンビニ、ドラッグストアの商品補充が間に合わないこともあり得ます。
トラックドライバーの長時間労働によって成立してきた「当たり前」が、もはや当たり前でなくなる日が目前に迫っているのです。
これからは、私たち自身が通販や荷物を頼む際に、なるべくまとめて注文して配達回数を減らす、不在時はコンビニ受け取りや「置き配」を利用することで再配達を避けるなど、ささやかでもできることを心がけたいもの。
とはいえ、物流や配送に関わる人手不足問題は簡単には解決しないでしょう。サービスは無料のもの、という常識も徐々に変わってくるのでは。
本来、便利さには対価があってしかるべき。当日に届けてもらったり、その日中に再配達をお願いしたいなら、そのぶん上乗せの運賃を払うことになっても仕方ないのかもしれません。
2024年問題を他人事ではなく、自分事としてとらえていくことが大切ではないでしょうか。
松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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