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日本もこれから利上げへ? 暮らしへの影響は?

  • 松崎のり子

2023.01.24

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昨年12月に長期金利が実質利上げ

 

昨年12月、日銀がこれまでの大規模金融緩和策を修正、「従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する」としました。

ざっくりいえば、「日本の長期国債の金利は0.25%近辺だったけど、これからは0.5%まで上がってもいいでしょう」ということで、そのため「実質的な利上げに動いた」と騒がれているわけです。

これにはいろいろな理由がありますが、そのうちの一つは2022年に相次いだ生活必需品値上げの影響もあると思われます。

他の先進国が利上げに向かう中、日本だけが低金利を維持してきたため円が売られ、為替が大きく円安に振れました。円が安いと、たくさん円を払わなくては輸入品が買えなくなるため、原材料費や資材コストが上昇し、国内での値上げにつながっていきました。

2022年の食品値上げによる負担は年間6万円に上るという試算もあり、政府や日銀への不満の声が高まっていたという背景もあると考えます。

1月の住宅ローンは上昇へ

もし金利が上がるとなれば、私たちの生活にどんな影響が出るでしょう。

円安が一段落すれば、食品や電気代など生活必需支出の値上げに一服感が出てくるかもしれません(当分はまだ続きますが)。

マイホーム購入を考えている人は住宅ローンの金利が気になるでしょう。

実際に1月には三菱UFJ銀行など大手3行が10年固定型のローン金利を引き上げました。すでにローンを組んでいる人は、これから金利が上がるのではと心配している人も多いでしょう。

ただし、今回の引き上げは固定金利のローンが対象です。というのも、長期金利と連動して金利が決まるのは固定金利ローンで、多くの人が借りている変動金利ローンには影響がないからです(変動金利は短期プライムレートと呼ばれる金利に連動)。また、20年、30年といった長期固定でローンを組んでいる人も、その期間中は金利が上がらないので安心です。

「では、これからも変動金利の方がいいの?」と言われると、その判断は難しいところ。

変動金利は各銀行が低金利競争に明け暮れており、顧客獲得のためにも当分上げてこないと思います。とはいえ、いつまでも史上最低の金利のままとは思えません。

よく、「固定と変動の金利差は安心料」と言われます。長期固定でローンを組めば、住宅ローンの返済金額が一定になるため、将来の家計支出を見通すことができます。

変動金利は、いきなり大幅上昇することはありませんが、将来にわたってずっと低金利のままということも考えにくく、生活設計がしにくいのがデメリット。

固定と変動の金利差が開くと変動有利が続くため、ローンの組み方を固定と変動のミックス2本立てにするのもひとつの選択でしょう。とはいえ、金利上昇のニュースに焦って、返済プランを甘く見積もったままでローンを組まないことが、一番肝心です。

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松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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