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FOOD

料理家 今井真実の「食べたいエンタメ」(ミニレシピ付き)第8回

梅キムチに甘い梅干しおにぎり!?今井真実さんの韓国&台湾梅リサーチ旅レポート

  • 今井 真実

2024.09.27

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Yummy!

今月のミニレシピ

台湾料理店で感動! レーズンの烏龍茶ピクルス

今井真実さん レーズンの烏龍茶ピクルス

材料(作りやすい量)

  • レーズン 100g(オイルコーティングがしていないもの)
  • 水 200ml
  • 凍頂烏龍茶 ティーバッグ2個(2g×2個)
  • 酢 大さじ3(米酢、ワインビネガーなど)
  • はちみつ 大さじ1

耐熱容器に水を入れて、電子レンジで600w×2分加熱します。レーズンとその他の材料を入れて粗熱が取れるまで置きます。ティーバッグを外し、冷蔵庫で2週間ほど保存可能です。置けば置くほどぷっくりしますよ。

梅事情リサーチと、日本の梅干しや梅製品を世界にアピールをすべく、韓国&台湾へ!

今井真実さん 台北

LEEの読者の皆様ならご存知かもしれませんが、私は梅が大好き!

しかし、ある時思ったのです。他の国で梅はどんなふうに食べられているのだろう? 梅仕事をするのは日本だけ?


そんな疑問をずっと抱えていたのですが、今年の6月に和歌山県で「梅ボーイズ」の山本さんという方に出会いました。彼の会社「梅ボーイズ」は梅を育てて収穫して、昔ながらのしょっぱい梅干しや梅酢など梅の商品を販売しています。

梅干しや日本の梅の商品をもっと世界に広めていきたいんです、と山本さんと話していたら、さっそくリサーチしましょう!と話がトントン拍子で決まり、ふたりで、韓国ソウルに3日、台湾は台北に3日とツアーを組んで行くことになりました。

最初の目的地、韓国・ソウルへ。韓国では主に「青梅」を梅仕事に使います

今井真実さん ソウル

以前も私は韓国へちょうど梅が出回る時期に合わせて、リサーチに行きました。その時に知ったことは、韓国では主に「青梅」を梅仕事に使うということ。

ソウルのスーパーにも行ったのですが、大粒な青梅がたくさん売られていました。品種も日本の南高梅とほぼ同じ大きさで果肉もたっぷりです。

今井真実さん ソウル 梅


韓国と言えばキムチ。梅のキムチもあります!

韓国ではシロップや梅酒を作ったり、砂糖と塩で漬けてからさまざまなヤンニョムと和えて梅キムチにするご家庭もあるのだそう。お店やキムチ屋さんでも、この梅のキムチは売られています。


今回の旅でも、前回訪れた梅キムチを出すお粥屋さんに山本さんと行きました。久しぶりに食べる梅キムチはやっぱり美味しい! 辛くて、ほんのり甘くて、しゃきしゃき。梅の酸味も小気味いいのです。

今井真実さん ソウル 梅キムチ
今井真実さん ソウル 梅キムチ

逆に日本では、青梅をお漬物感覚で食べることは少ないですよね。青梅は生で食べると、毒があると言われていますが、それは微量のこと。1日に、何粒か食べるには問題ありません。私も青梅のお漬物のレシピをいくつか作っていますが、来季は韓国風の味付けも作るつもりです。

ちなみに、梅シロップもプルコギのタレや、キムチ、水キムチに使うのだとか。これも家庭によりけりで、雑味が入るからうちはお砂糖だけ! など、その家々で代々伝わるレシピが違うそうです。

現地の友人シェフは完熟梅で梅仕事。4年もののはちみつ梅は絶品!

友人のシェフ、シネは完熟梅ではちみつ梅を作っていました。韓国では完熟梅で梅仕事をする場合は農家さんから直接取り寄せをするそうです。完熟梅は柔らかく実がデリケートゆえ、あまり市場に出回りません。

今井真実さん はちみつ梅

レシピを聞いたところ、驚いたことにシネのはちみつ梅は、完熟梅と塩の割合が1:1なんだそう! あまりの衝撃に、彼女に何度も確認してしまいました。塩漬けした梅をさらにハチミツにつけて、冷蔵庫で保存するんだとか。

4年ものをいただいたのですが、これがもう絶品! ちゃんとしょっぱくてほんのり後味が甘い。ふっくらとした果肉の中はとろんとろん。なんとも言えずまさに「良い塩梅」なんです。来年は絶対これも作ろうと思いました。うーん、梅専用の冷蔵庫が欲しい……!

韓国でも梅酒がたくさん売られています

韓国では梅酒もたくさん売られています。デパートのワイン売り場にもしっかりと梅酒のコーナーが。中には高級なものも!

今井真実さん ソウル 梅酒

私たちも試飲の場を設けてもらい、梅干し嫌いの韓国人の友人に、梅ボーイズが限定で販売している「梅ウォッカ」を飲んでもらいました。
反応にどきどきしましたが、これが大好評! やはり梅干しより、甘い梅の味の方が受けるようです。梅ウォッカとオージービーフWAGYUの組み合わせも最高でした。牛肉と梅酒は相性が良いんですよ!

今井真実さん 和牛

台湾への移動中の機内、原田マハさん著『夏を喪くす』を読んで号泣

さて、韓国の次に、私たちは台湾に渡りました。山本さんとは飛行機は別の便。

しばしひとりの時間のお供は、原田マハさんの『夏を喪くす』という作品です。夏の初めに、本屋さんで買っておいたこの本。今回の旅にぴったりでした。
さまざまの女性が、ふと立ち止まり自分が歩んできた人生に思いを馳せ、ある時は許し、許され、足をもつらせながらも一歩を踏み出すような短編集です。

夏を喪くす

飛行機の中で、号泣していたら、横の座席に座っていた女性がティッシュをくれました。優しさが心に染みてさらに泣けてきました。

第二の目的地、台湾・台北へ。青梅を燻製して乾燥させた「烏梅」がパワーフード

さあ台湾でもさっそく梅リサーチです。

今井真実さん 台北

TSUTAYAも発見。おしゃれな梅酒が売られていました。

今井真実さん 台北 梅酒

LEEも発見! ちょうど私が載っている号です。しかも梅仕事の記事だったので、友人のケティにお土産に買いました。

今井真実さん LEE

台湾で梅のものを想像した時に一番最初に思い浮かべるのは「酸梅湯」です。フードコートやスタンドでも売られているほど中華圏では身近な飲み物で、中国や、台湾に行かれたことのある方なら、ご覧になったことがあるかもしれません。
黒くてちょっとコーラっぽくて……この独特のお味は、梅が原料の「烏梅(ウバイ)」とさまざまな漢方食材と共に配合して作られています。


元々、梅は中国から日本へ伝わったとされています。それは梅の果実そのものではなく「烏梅」に加工されたものでした。烏梅は青梅を、燻製して乾燥させて作られたものです。梅は漢方食材として使われているほど、パワーフードとしても台湾で認識されています。

実は私、今回が初めての台湾。
オーストラリアで知り合った台湾の友人ケティに再会すべく訪れたのです。私は、彼女にいつも梅への熱い想いを語っていたので、台湾の梅をたくさん集めてくれていました。
ただ一口に「梅」といっても、品種も色々。韓国での梅は日本の南高梅に似た品種でしたが、台湾では少しサイズが小さいようです。


そして、韓国と台湾で共通しているのが「プラム(すもも)」と「梅」が混在していること。粉砂糖がまぶしてある台湾のお土産の定番「奶梅」はすももが使われているようでした。
どちらの国も甘く加工することが多いので別段、問題ないのかもしれません。特に台湾は、味付けを変えてドライやセミドライに加工しているものが多かったです。

今井真実さん 台北 梅

台湾の海苔巻きとおにぎりの具の梅は、甘酸っぱい!

台湾ではテイクアウトの日本食もいくつか購入して食べてみました。

梅が巻いてある海苔巻きと、おにぎり。どちらもしょっぱい梅ではなく甘酸っぱい梅が使われていました。ふしぎと台湾の空気感にこの味が合っているように思えました。甘いので軽食やちょっぴりおやつ感がありますね! しかし、赤紫蘇はちゃんとしょっぱかったです。ちなみにどちらも甘い酢飯でした。

今井真実さん 台北 おにぎり

日本酒専門のお店にも訪問しました。
日本の梅酒も豊富な品揃えで、テイスティングもさせていただきました。梅酒を台湾ビールで割ったり、日本酒で割ったりという飲み方が最近台湾では流行っているそうです! なんというストロングスタイル! 


しかし、実際にいただいたところフルーティで飲みやすくなり、リラックスしたい時に飲みたくなるほど軽い口当たり。でも度数は高めなので要注意です。帰る頃にはふわふわと気持ちよく酔いました。

今井真実さん 台北

王道台湾料理に、友人の勤務先の焼肉……台湾のおいしいもの

梅だけではなくもちろん他のお料理も堪能しました! 



連れて行ってもらった老舗台湾料理店「欣葉台菜」では、お待ちかねの王道台湾料理を。どれも本当においしかったです。上品なのに味わい深く、すいすい食べれてしまいました。シジミの醤油漬けも、日本で食べたものよりぷっくり、濃厚なのにくせはありません。切り干し大根の卵焼きも具沢山。油が強くなく、それでいてかりっとふわっとボリューミーです。

今井真実さん 欣葉台菜

今見るとすごい量ですね。頼み過ぎちゃったかなと思いましたが、難なく食べ切ってしまいました。

ケティの働いている「乾杯 焼肉」でディナーも!
「乾杯焼肉」は、日本式の焼肉チェーンレストランです。
だから「かんぱい!」という店名なのだそう。そろそろ日本食が恋しくなっていた私たちにとって、この焼肉はまさにソウルフードのお味でした。食べながら「なんだか懐かしいー!」と感激。いかにもお肉のタレは白米が進む味付けです。料理長は日本人。だから、この郷愁を感じる味なのかと納得。

「乾杯」は、おもしろい仕掛けやイベントがたくさんで、みんなで本当に乾杯をする時間があったり、カットした牛肉のステーキの重さを当てると無料になったり……日本でもこんなサービスがあったら楽しいですね!

今井真実さん 台北
今井真実さん 台北 焼肉

中華スパイス店や市場を巡ったりと、盛りだくさんの台湾旅行。すべてケティのアテンドのおかげでした。


今井真実さん 台北
今井真実さん 台北

束の間、一人でとぼとぼ街を歩いたりしたのもとても良い思い出です。水煎包という焼いた肉まんのようなものにもハマって、遠出したことも。
台湾の街並みに懐かしさを感じ、歩いては立ち止まり建物の間から空を眺めました。

今井真実さん 台北

韓国と台湾を巡り、甘い梅レシピの方が万人受けすることを確信

2つの国・地域を巡り梅リサーチをして、確信したのはやはり甘い味のほうが万人に受けがいいということ。私は梅干しを作るのも食べるのも大好きですが、今回の旅を終える頃には甘い梅のレシピをもっと作った方がいいのではと考えを改めました。


梅干しを世界でもっともっと受け入れてもらいたいという野望と、甘い梅の商品をもっと作れば喜ばれるのでは、という思いと、どちらも大切に育てていきたい。日本に来た外国の方に向けておもてなしをするための「梅料理」の方向性なども見えてきました。


今は、梅の可能性がもっと開けたような気がしています。どこの場所でも梅はきっと輝いていくはずです。

今井真実さん 梅

(『料理家 今井真実の「食べたいエンタメ」(ミニレシピ付き)』は毎月第4金曜日朝8時更新です。次回をお楽しみに!)


Staff Credit

撮影/今井裕治、今井真実

Check!

あわせて読みたい今井真実さんのレシピはこちら!

今井 真実 Mami Imai

料理家

レシピやエッセイ、SNSでの発信が支持を集め、多岐の媒体にわたりレシピ製作、執筆を行う。身近な食材を使い、新たな組み合わせで作る個性的な料理は「知っているのに知らない味」「何度も作りたくなる」「料理が楽しくなる」と定評を得ている。2023年より「オージービーフマイト」日本代表に選出され、オージービーフのPR大使としても活動している。既刊に、「低温オーブンの肉料理」(グラフィック社)など。

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