人知れず悩む30代・40代、増えてます!
痔
さらば!「下半身クライシス」
恥ずかしさから人知れず悩む女性が多い「痔」。でも実は30代・40代の過半数がひそかに経験していて、妊娠・出産がきっかけになることも多いんです。痔は在宅勤務などによる“座りっぱなし”の影響で増加しているとの報告も。一人で悩まず、今こそ早めの対策を!
痔を過半数の読者が経験
痔の経験はある?
妊娠・出産をきっかけに、痔になった?
妊娠・出産後に悩む人が多い!
出産で悪化。長年苦しむ人も…
なんと痔の経験者は、半数以上! 妊娠・出産がきっかけだという人が46%いることが判明。痔は若い頃から苦しむ人も少なくないよう。
※2023年8月25〜30日の間、LEEメンバー371名にアンケートを実施
病院に行くまで放置しがち…
長年痛みに耐え続けるケースも
発症から受診までの年数が平均的に長い痔。今回取材した体験談では、病院に行くまで8年放置したという人も!(詳細はこちら)
コロナ禍以降増えた
在宅勤務の座りっぱなしで悪化
コロナ禍で出社が減り、座りっぱなしの在宅勤務でお尻に負担が。痔の市販薬の売り上げが増えたというデータも(天藤製薬調べ)。
[解説]
妊娠・出産で、もとあった痔が悪化するケース多数
肛門科専門医がレクチャー
痔の種類&対策法は?
意外に知らない痔の基本を、肛門科専門医が解説。便秘でのいきみや冷え、座りっぱなしなど、痔になりやすい生活習慣も知っておきましょう。
教えてくれたのは…
山口トキコさん
マリーゴールドクリニック
肛門科医
’00年に赤坂にクリニックを開業。日本初の女性肛門科専門医として、痔に悩む女性の相談に乗る。お尻のケアにまつわる著書も多数。
手術が必要ないぼ痔は2割程度。生活習慣の改善や薬で、痛みやつらさが軽減
30代・40代では、妊娠中の体重増加も原因に
「妊娠・出産が痔の直接の原因ではなく、体重増加やお尻まわりのうっ血で、もともとあった痔が悪化。特に妊娠中は、腫れて痛む血栓性外痔核(いぼ痔の一種。詳細は下記)が約7割に。ただ手術が必要になるいぼ痔は全体の約2割で、最近では便秘の改善や薬でうまく付き合う治療が主流です」(山口トキコさん)
〈 痔の種類 〉
いぼ痔(内痔核・外痔核)
肛門の内側にできるいぼ痔が「内痔核」、外側にできるのが「外痔核」。便秘のいきみによる肛門への負担が主な原因。内痔核に痛みはないが出血したり、排便時に肛門の外に脱出して違和感が。外痔核がうっ血すると痛みがあり、こすれて出血を伴うことも。「血栓性外痔核」は“お尻の風邪”と呼ばれ激痛。
【 治療法 】
出血を繰り返す内痔核は、薬物療法で治療。排便時に脱出する場合は、薬物療法では小さくならないので手術を。ほかの内痔核の治療には、「ゴム輪結紮」「ALTA(硬化療法)」が。いずれも入院はせず、日帰りでできる病院も。血栓性外痔核は、薬物療法でうっ血が取れると腫れが引きます。
切れ痔(裂肛)
肛門の出口付近の皮膚が切れて、痛みを伴うのが「切れ痔」。便秘で硬くなった便を無理に出そうとすることが主な原因で、排便のたびにジーンとする痛みが続きます。20〜40代の便秘がちな女性にも頻発。進行すると皮膚が炎症を起こし、突起物(見張りいぼ)やポリープができることが。
【 治療法 】
炎症を起こして肛門がせまくなったら手術をしますが、手術を必要とする切れ痔は全体の約1割のみ。薬で傷を治す保存療法が基本です。また、切れ痔の治療には、便秘の改善が第一。適度な運動、水分や食物繊維を多くとるなどのほか、過度なダイエットは便秘になりやすいので要注意。
痔ろう
肛門にあるくぼみに細菌が入り込むと化膿し、膿がトンネルを作って貫通すると「痔ろう」に。ストレスやアルコールの摂取などによる下痢が原因とひとつと考えられ、男性に多い痔だといわれています。激しい痛みや腫れがあり、38〜39℃の発熱を伴う場合も。膿が体外に出ることもあります。
【 治療法 】
痛みがひどくない場合は、飲み薬などで様子を見ます。手術を必要とする痔ろうは全体の約4割程度ですが、手術をしないと根治できないのが難点。膿のトンネルにゴム糸などを通して切開する、切らない手術法である「シートン法」や、膿のトンネルを切除する「切開開放術」などがあります。
〈 実は、痔によくない習慣 5 〉
1 便意を我慢する
便意を感じたら、すぐに排便するのが基本。我慢をすることは便秘につながります。特に産後は、子どもの授乳や食事、遊びに付き合っていると排便のタイミングを逃しがちなので、できる限りトイレに行く習慣をつけましょう。
2 排便の時間が3分以上
便秘で便がすっきり出ないとトイレの時間が長くなり、15分以上座っているなんて人も。いわゆるバナナ状のやわらかい便なら、3分あればすっきりするはず。長引くほどいきんでしまい、痔の原因になるので気をつけて。
3 冷えやすい生活
冷えると血行が悪くなり、便秘や下痢の原因にもなります。毎日入浴する、カイロで温めるなどの冷え対策を。特に、お風呂にゆっくり浸かることは、お尻ごと温まり痔の予防としても効果的。痛みがあればやわらぐことも。
4 座りっぱなしなど、同じ体勢を続ける
長時間座りっぱなしや立ちっぱなしなどの同じ姿勢は、肛門まわりがうっ血して、内痔核の悪化や突然できる血栓性外痔核の発症につながります。デスクワーク中も立ち上がってこまめに休憩を。ストレッチなど適度な運動を取り入れるのも○。
5 温水洗浄便座で患部を刺激
排便するごとにお尻を洗って、清潔を保つのはいいことですが、洗いすぎは皮膚炎を起こしてしまうことも。また、切れ痔があると傷にしみるので、痛みを感じるかもしれません。1回に10〜20秒ほどで、適度に使用を。
〈 痔のギモンQ&A 〉
市販薬を使っても大丈夫?
問題ありませんが、症状に合った薬を選んで
市販薬で改善すればもちろんOK。ただ、症状に合った薬でないとあまり効果が感じられないこともあるので、購入時に薬剤師さんに相談してみて。どうしても効かなければ、やはり受診をおすすめします。
\編集部セレクト/
ボラギノール®の天藤製薬から新アイテムが登場
「痔にはボラギノール」でおなじみの天藤製薬に、約30年ぶりに新商品としてサプリやケア用品が登場。背景には、コロナ禍以降、在宅勤務などで長時間座り続ける人が増え、痔に悩む声も多くなったことがあるそう。原因となる便通を改善するサプリや、肛門まわりのケア用品も充実。
ボラギノールA®注入軟膏
第2類医薬品
肛門内の痔には注入を、肛門の外側や肛門付近の痔には塗布して使用。いぼ痔や切れ痔による痛み、出血、腫れ、かゆみに幅広く対応。¥2035/天藤製薬
ボラケアバランス®with乳酸菌
機能性表示食品
便通を改善する乳酸菌サプリメント。2種類の善玉菌とオリゴ糖・食物繊維を配合。¥3300/天藤製薬
ボラソフト®プロテクトバーム
化粧品
肛⾨まわりに塗って皮脂と水分を維持し、皮膚を整えるバーム。続けることでお尻トラブルゼロへ。¥1650/天藤製薬
辛い食べ物が原因で、痔になると聞いたことがあります。本当?
辛いものはそのまま排出されて肛門への刺激になることが
唐辛子やこしょうなどの香辛料はそのまま便になって排出されるので、肛門を通るときに刺激になる場合が。とはいえ、アルコールなども飲みすぎはお尻の負担になりますし、辛いものだけが痔の原因とは限りません。
痔は一度なると、何度も繰り返すもの?
再発しやすいのは確か。便秘にならないよう対策を
痔は再発しやすい病気ではあります。妊娠・出産や過度なストレスなどで、突発的な症状や痛みが出ることも。便秘などで肛門への負担が大きいとなりやすいので、食事や排便などの生活習慣を整えることが最善策。
Staff Credit
イラストレーション/てらいまき 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2023年LEE12月号(11/7発売)「尿もれ・痔 さらば!「下半身クライシス」」に掲載の記事です。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。