2023年6月・刑法改正で「性的同意年齢」は13歳から16歳へ引き上げに
子どもに教える「性的同意」【性教育におすすめの書籍5選】男女どちらにも大切な考え方のポイントとは?
2024.01.18
NOと言える&相手のNOを尊重できる人になるため大切な考え方
「性的同意」を子どもにどう教えればいい?
性的な行為で心と体を傷つけないため、子どもに必ず教えておきたいのが〝性的同意〞。
男女どちらにも大切なこの考え方を伝えるポイントを、「同意」をテーマにした書籍の編集を担当する中安礼子さんに聞きました。
教えてくれたのは?
中安礼子さん
集英社 女性誌企画編集部
「同意」をテーマにした、下2冊の単行本の編集を担当。性的同意をめぐる情報や、社会のムーブメントをウォッチしている。
NEWS 今年、刑法が改正され、
日本の「性的同意年齢」が13歳→16歳へ引き上げに
13歳という低年齢が問題視されていた、性的同意年齢(性行為をするかどうか自己判断できる年齢のこと)。今年6月の刑法改正で16歳に引き上げられ、7月の施行後は16歳未満への性行為は処罰の対象に。ただし、同年代同士の行為は認められるよう、相手が5歳差以上という条件付き。
“同意”の意思の確認が性的な場面でも当然になれば
“同意”をテーマにした2冊の本の編集を手がけた中安さん。ここ数年で、日本でも同意の考え方は広まっていると言います。
最初、 ’20年に出版したのが『子どもを守る言葉「同意」って何?』。著者は、性的な同意をお茶に例えて表現して世界的に注目された『Tea Consent(お茶と同意)』という動画の作者でもあります。この本では、“バウンダリー=自分と他人との境界線を尊重すること”など、基本からわかりやすく楽しく、同意を紹介しています。
’22年に出版したオーストラリア発の本『こんにちは! 同意』では、具体的なシチュエーションごとに性的同意の考え方を解説。同世代から集めた、困ったときの言い方例を多く掲載するなど、より実践的で、思春期の子たちに役立つと思います
上にもあるように7月の刑法改正で性交同意年齢に『年齢差要件』が加わりましたが、逆に言えば13歳以上のお子さんと、年齢差が5歳未満の相手であれば、たとえ本人が嫌だと思っていても『不同意を示せていなければ同意とみなされる』場合もあります。5年後の見直しへの課題とされていますが、いずれにしても、基本的な同意の知識を得ておくことが“お守り”になるのではないでしょうか
さらに、性的同意の理解を深めるためにはどうすれば?
『こんにちは! 同意』の中にあるのですが『Tシャツを貸して』『いいよ』という受け答えも同意。ごく自然な意思の確認が、性的な場面でも交わされて当然なんだと、もっと広まるといいですね。大人も教わっていないことなので理解しづらい部分もあると思うのですが、ぜひ子どもたちは、これらの本などに親しんで“同意”の概念を心と体にしみ込ませてくれたらいいな、と願います。
同意は“契約”と違い、自分の気持ち次第。途中で変更したり、取り消しもできるんだという大切なことも書いてあるので、ぜひ知っておいてほしいですね
中安礼子さん
「性的同意」のポイントとは?
『こんにちは!同意』の中から抜粋して紹介
同意とは、たずねる、聴く、観察の繰り返し
同意とは「たずねる→聴く→観察するを何度も繰り返すこと」だと噛み砕いて解説。「ねぇ、これは大丈夫?」「このまま続けたい?」など、具体的なフレーズも紹介。
相手を気にせずいやならいやと言っていい
誰でもいい人でいたいし、相手を傷つけたくない。なぜ「いや」だと言いにくいのかを説き、それでも自分の「いや」だと思う気持ちを尊重し、相手に伝えていいとレクチャー。
気持ちがわからないなら流されずに自問自答を
若い世代では、自分が性行為をしたいのかどうか、気持ちを自覚できないケースも多い。それは悪いことではなく、自分の気持ちを認めてとことん考えることをすすめています。
Topics
子どもを取り巻く性の問題への社会の意識も変わりつつあります
●学校や保育所の採用時の、性犯罪歴確認が義務化へと議論加速
●親子混浴の年齢が引き下げ。おおむね6歳までに
●エンタメ作品の性的表現に批判がSNSで炎上することも
子どもとかかわる仕事に就く人の性犯罪歴がわかる仕組み「日本版DBS」の議論が本格化。その適用範囲から塾や習い事は外れる可能性があり反論も。これまで大衆浴場での親子混浴は10歳までOKな自治体も多かったが、ここ数年でほぼ6歳までに引き下げ。また、子どもが目にするドラマやマンガでの性的同意を無視した表現が批判の対象になるなど、世間の問題意識も高まっています。
“性的同意”がわかる本も増えています!
おすすめBOOKリスト
『考えたことある? 性的同意 知らないってダメかも』
性的同意についてコミックでわかりやすく解説。女子グループで同意の有無や恋人同士にも同意は必要か?と議論。そこに男子グループも加わり、互いの勘違いが判明するというストーリー。
『0歳からはじまるオランダの性教育』
世界の中でも先進的な性教育を実践しているオランダ。生まれたときから親子でスキンシップをしてつながりの感情を高め、性について何でも話し合える関係作りを目指す。「ノーとはっきり言えるように教える」といった、性的同意につながる考え方も扱う。
『友だちづきあいってなぁに? 入学前に知っておきたい自分もまわりも大事にできる「境界」のお話』
「境界の尊重」を学べる、子ども向けの本。性的同意だけでなく、友達との関係でも、他人との境界を意識すること、同意をとることは必須。学校生活や子どもがよく遭遇するシーンでの実例が満載。
次回は「『女の子』の心と体の成長Q&A 幼児〜小学生編」をご紹介。
Staff Credit
取材・文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2023年LEE11月号(10/6発売)「女の子ママが知りたい! 『心と体の性教育』」に掲載の記事です。
LIFEの新着記事
-
暖冬時代のおしゃれもLEE12月号が参考になります!…【読者2人分・最新号レビューvol.1・2024】
2024.11.07
-
【映画『本心』水上恒司さんインタビュー】本心はどこに!? AIは人間の欲望や業、そして心にどんな影響を及ぼすのか?
2024.11.07
-
【LEE2025年1・2月合併号は豪華2大付録つき】花のカレンダー&マッキントッシュ フィロソフィー洗練ブラウンキルティングトート【予約販売スタート!】
2024.11.07
-
【祝・次にくるマンガ大賞2024 Webマンガ部門1位!】『ふつうの軽音部』の”ふつうじゃない”面白さ
2024.11.07
-
MUJI愛がとまらない!【無印良品】の信頼できる定番のアイテムから魅力的な新商品まで
2024.11.07
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。