LEEwebをご覧の皆様こんにちは。料理家の今井真実と申します。
最近の私はというと、来年初夏に発売予定の梅仕事のレシピをまとめた「梅本」の試作、製作を行なっております。
梅って、かわいい。そして梅って美しい。触れるだけで、嬉しくなってしまいます。
そんな思いを伝えられたらと思い、日々大量の梅と戯れています。
一緒に梅仕事を始めましょう!
ふと、LEEwebを見ていると、100人隊のたくさんの方々が梅仕事をされている! 楽しそうな皆さんの姿に、思わずにやけ顔になります。
いいないいな、私も梅仕事について語りたい…来年の本の発売まで待てない! いてもたってもいられなくなり、この記事を書かせていただくことになりました。
といっても、今回ご紹介するのは、「梅仕事って興味があるけどなんとなくまだ踏み込めない…」とビギナーのあなたにぴったりのベーシックな梅仕事レシピです。
そして、「作るのは好きなのだけど、消費しきれないのよね…」というあなたにもご提案したいこの方法。スーパーでよく売っている1kgの梅で、梅干し、梅シロップ、梅酒が作れるんです。
少しハードルの高いガラス瓶じゃなくても大丈夫。気軽な気持ちで始めて欲しいから、今回のレシピは保存容器もリーズナブルなものを使います。案外これが楽ちんなんですよ。
さあさっそく一緒に梅仕事を始めましょう!
梅の基本
6月上旬になると梅が市場にまわり始めます。ほとんどのスーパーでは1kg単位で売られています。青梅は硬く、酸味が特徴です。シロップ、梅酒、甘く煮たり、お漬物などに使います。梅干しには完熟した黄色い完熟梅を使います。完熟梅でもシロップや梅酒も作ることができます。
手に入りやすい種類の梅は「南高梅」。どの梅仕事のレシピにも使いやすいオールマイティーで優等生の梅です。
梅の下ごしらえ
1.梅は流水で優しく丁寧に洗います
2.次にカビの原因となる水気を拭きます
時間に余裕のある方は布巾の上に広げて、少し放っていてもいいくらいです。
3.なり口のへたを爪楊枝などで、そっと傷つけないように取ります。
どうしても取れない場合は無理せず、そのままでも大丈夫です。
4.なり口の穴も丁寧に水気を取ります。
キッチンペーパーでこより状にすると水気を吸いやすいです。
すべての梅仕事に共通する「基本の下ごしらえ」はここまで!
ここまでがどの梅仕事でも行う「基本の下ごしらえ」です。
さあ、ここからが本番です!
今井さんちの完熟梅レシピ1
「ジッパー袋で作る梅干し」
材料
- 黄熟した梅 ……600g
- 粗塩(梅の18%)……108g
- 焼酎……50ml
使う道具
冷凍用ジッパー保存袋
作り方1
下ごしらえした梅とホワイトリカーをジッパー保存袋に一緒に入れ、
梅を充分に湿らせて、
ホワイトリカーを捨てます。
これは袋と梅の表面やなりくちの殺菌を兼ねています。
作り方2
お塩を 1 度に入れます。大きく揺すって、梅にお塩を絡めます。
これで出来上がり! あっという間でしょう?
作り方3
空気を抜きながらジッパーを閉じましょう。
注意点は一つ。ジッパー部分と底の角部分から、梅のエキス「梅酢」が漏れやすいです。
出来上がったら、袋を二重にしたり、必ずバットや深めの器、ボウルなどに入れておくといいですよ。袋を触ってぺたぺたしたら、殺菌した保存容器に移してください。
このあとは梅のエキス「梅酢」が出るまでよくチェックしてください。
時折ゆすったり、2,3日しても梅酢が出ない時は写真のように重しを乗せます。
梅酢の漏れさえ気をつければ、ジッパー袋の梅の塩漬けは、梅酢が上がりやすく一番カビにくい方法です。梅酢がたっぷり出て梅が梅酢に浸かっていたらカビの心配はないでしょう。
写真はジッパーの上部がはみ出してしまっていますが、これは梅酢が漏れる原因になります。必ずバッド内に入れておきましょう。
2週間〜1ヶ月ほど漬けたら、晴れた日に干します。そうです、これが「梅干し」になります。
「干す」方法もぐっとお手軽な方法があるんです! 次回詳しくお伝えしますね。
今井さんちの完熟梅レシピ2
「梅シロップ」
材料
- 梅 ……200g
- お好みの砂糖……200g
- 焼酎……30ml
(常温で漬け込み1ヶ月、1年の保存可能)
使う道具
730ml以上の保存容器
下準備
殺菌のため、容器と蓋を、焼酎(分量外)を湿らせたキッチンペーパーで拭きます。
作り方1
下ごしらえした梅を一つずつ、焼酎に浸けて殺菌します。
焼酎の水気はキッチンペーパーで拭き取ります。
アルコール分は揮発しますが心配な方は米酢などクセのないお酢でもいいですよ。なりくちからカビやすいので、この作業をしておくと安心です。
作り方2
梅を容器に全て入れたら、お砂糖を入れます。これで出来上がりです。
このまま常温で漬け込みます。お砂糖が必ず梅にかぶっているようにしましょう。梅がお砂糖やシロップから頭を出していると、カビの原因になります。
3日ほどはあまり変化が見られませんが、揺するとだんだんお砂糖が湿ってきて5日ほど経つとすっかりシロップ状になります。
お砂糖が溶け残っていたら、清潔なスプーンでかき混ぜましょう。
しゅわしゅわと泡が立つと発酵してしまっています。失敗ではないですが、風味が変わります。ぷくっと膨れた梅は取り除き、冷蔵庫に移して早めに飲み切りましょう。
出来上がってから、スパイスを入れたりレモンを足したり「味変」も楽しいですよ。
今井さんちの完熟梅レシピ3
「梅酒」
梅酒は一番失敗が少ないです。だって殺菌効果のあるアルコールに浸かっているのですから!
材料
- 梅 ……200g
- お好みの砂糖……100~200g
- 焼酎(アルコール20%以上)……200ml
(常温で漬け込み3ヶ月、長期保存可能)
使う道具
730ml以上の保存容器
下準備
容器と蓋を、焼酎(分量外)を湿らせたキッチンペーパーで拭きます。
作り方
下ごしらえした梅を容器に詰めて、焼酎を入れ、
お砂糖を入れるだけ。
きっちり蓋を閉めて出来上がり。
毎日優しくゆすります。
お砂糖が溶け残っていたら、清潔なスプーンでかき混ぜましょう。
お砂糖は少なめだときりっとした飲み口になります。蜂蜜など使うとまた違う味わいになりますよ。その場合はお砂糖と同量で大丈夫です。
「仕込み」はここまで!
梅1kg買うだけで3種類の梅のレシピができちゃいます。
もし、今回の梅仕事が楽しい思い出になったなら、来年はもっと量を増やしたり、作る割合を変えても良いですよね。
なんせ、梅ってかわいいんです。甘くて、いいにおいがして、梅と触れ合っている時間って本当に癒されます…!
迷っているあなた。えいっ!と挑戦したら、新しい扉が開くかも…
ようこそ、梅仕事の世界へ!
撮影/今井裕治 料理・文/今井真実
次回、完成編をお届けします。「ジッパー袋で作る梅干し」「梅シロップ」「梅酒」、それぞれの出来上がりをお楽しみに!