子どもの「学校に行きたくない」の言葉の裏には、どんな真意が隠れているのでしょうか?
「子どもに学校に行きたくないと言われた・・・」
「ニュースを見て心配に・・・」
不安を抱えるLEE読者3名が、児童精神科医、齊藤万比古(さいとう かずひこ)さんにお話をうかがいました。
● 児童精神科とは
児童、思春期を対象に、子どもの心の問題を診療。登校しぶりや不登校を通じて、ASDやADHDなどの発達障害が見つかることも。学校に行きたくないという子どもに、落ち着きのなさ、極端なパニック状態などがあればぜひ受診の検討を。不登校の相談窓口のひとつとしても活用できます。
この記事は2019年10月7日発売LEE11月号の再掲載です。
不安を抱えるママ達が専門家に質問!
小学生の甘えやグズグズにどう対応する?将来も不安・・・
No.034 みっちさん
小学5年生の女の子、1年生の男の子、年中の女の子のママ。長男が「学校に行きたくない」と言いだし騒ぎに。
No.084 tokoaさん
小学5年生と2年生の男の子のママ。長男が小学1年生のときに「学校に行きたくない」と言いだし不登校寸前に。
No.076 びすこさん
2歳の男の子のママ。ニュースで引きこもりや不登校のYouTuberが問題になり、わが子の将来が心配。
学校に行きたくないのは普通。子どもの言葉にビビらない!
みっち 4月から小学1年生になった長男が、5月から学校に行きたくないと言いだして。毎朝、号泣でどうしたものかと……。
tokoa うちも小学5年生の長男が1年生のとき、同じく学校に行きたくないと。手をつないで学校までついていき、大変でした。
齊藤 小学校は家族や保育園、幼稚園とは異なる、子どもにとって初めての“外の社会”。社会との出会いの局面で心が揺れて不安定になるのは、ある意味当たり前。ビビらなくて大丈夫です(笑)。自分の気持ちを抑えて我慢してしまう子もいますから、素直にぶつけてくれたのは、むしろいいこと。
びすこ そうなんだ! 健全な発達の段階ということなんですね。
みっち すごくホッとします。最初は本当に焦るんですよね。息子になんで行かないの?何がいやなの?と理由を問い詰めてしまって。
でも改善しないので、夫が息子に付き添って登校することになったんです。野球のことや、何食べたい?とか何気ない話をしていたら落ち着いたらしく、最近は、泣かずに行くように。
齊藤 お父さんはセンスがいいですね。理由なんて、本人にもはっきりわからないんですよ。
tokoa 確かに、私も長男と登校しながら話をしていたのですが、学校や友達の話題や理由を聞くことは地雷。聞くと号泣……。
齊藤 もちろんいじめなどの問題が潜んでいることもあるし、本人が話したがることも。それはぜひ、むげにせずに聞いてあげて。でも、小学校低学年の「学校に行きたくない」の大半は、社会への驚き、抵抗なので、原因を追及することは得策ではないかと。
びすこ なるほど。でも難しいですね。学校に行かないとなると周りの目も気になるし、親として重大な何かを見落としているんじゃないかと思ってしまいそう。追及したくなる気持ちはわかります。
みっち あと、私自身の中に“学校は絶対に行くもの”という意識も強くあるんですよね。
tokoa わかる。私も1人目の子どもが小さいときほど、正しく育てなきゃと、几帳面でした。
不登校だと引きこもり……?小中学校で不登校でも25歳で引きこもりは約1割
みっち 今は小学生で、登校をしぶることも大きな問題ではないのかもしれないのですが、例えば、思春期になって子どもの意思で学校に行きたくないと言いだしたらと思うと怖い。受け入れたほうがいいのか、諭してでも行かせたほうがいいのでしょうか?
齊藤 不登校治療をしてきた経験上、諭して学校に行くようになった子どもはほとんどいません。
お母さんは子どもが生まれたときに、こんな子になってほしいという理想を持ちますよね。それは今から考えると、とても現実離れしたもの(笑)。
1年、3年と育児をしていくとどんどん崩れるし、崩れて当たり前。親の理想を押しつけることは、子どもとの争いを生み出しかねないですね。
tokoa 確かに今は生きていればいいや、ぐらいの感覚になりました(笑)。そのせいというわけではないかもしれませんが、今は長男も友達と良好な関係を築けるようになり、しぶることなく、毎日元気に登校しています。
びすこ うちの子はまだ2歳なんですが、お二人の話が人ごとに思えなくて。もっと言うと、ニュースで引きこもりや不登校のYouTuber が話題になったりすると、将来が不安になります。
齊藤 不登校=将来は引きこもりと言われがちですからね。でも、私たちの調査では、小中学校で不登校だった子どもが25歳で引きこもりになっていたケースは約13%。すぐに仕事を辞めてしまうなど不安定なケースが14%、残りの73%は社会適応していたんです。
みっち 少し安心しますね! やっぱり子どもが行きたくないと言うなら、無理させることはないんですね。余裕がなくてついうるさくなってしまうけど……。
齊藤 働くお母さんが余裕いっぱいなんてことはありえないですからね。ただ子どもは離れたかと思うと、またお母さんに甘えて求めてを繰り返して自立します。それは幼児期から思春期まで続きます。
時間がなくても、求めてきたときには、話を聞いてしっかり応じる。「1年生だから」「育児書にこうあったから」とマニュアルにとらわれない。子どもとの関係が築けていれば、学校に行きたくないと言いだしてもそこまで大きな問題になることはないと思いますよ。
撮影/細谷悠美 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2019年10月7日発売LEE11月号『わが子の「学校へ行きたくない」に親ができること』の再掲載です。
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