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LIFE

飯田りえ

もし日本に憲法がなかったら…?!「憲法ボードゲーム」で遊びながら親子で学ぼう

  • 飯田りえ

2019.05.30

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気になっていた日本国憲法の学び直しは子どもと一緒に!

10連休の中盤、夕方のニュースを見ながら「憲法記念日ってなに?」と子どもに聞かれました。

「日本のいちばん大事な規則がスタートした日だよ」「どんな規則?」戦後に作られたルールで、3つの基本原則があってね。その時、生まれ育った自分の国のルールにもかかわらず、テストの暗記レベルでしか話せない自分に驚愕しました。しかもその憲法が改正されるかもしれない大事な時期。大事だとはわかっているけど、難しそうで避けてきた自分に対して、嫌気がさしてきました。(こうして、いつも私の学び直しは、子どもと一緒にスタートするのですが)

でも、憲法ってどこで学べば良いのでしょう。どうしても憲法=9条のイメージが強く、講習会などに行くと政治論などを聞かされそう?なんだか重たそう?(勝手な思いこみで大変申し訳ないのですが)そんな理由で足が遠のいていたのも事実。

そんな中、ある新聞で「ボードゲームで憲法を学ぼう」という記事に目が止まりました。

憲法×ボードゲーム?! 子どもと一緒に学ぶにはすごく入りやすいし、遊びながら体感できるなら、難しい講義を聞くよりも自分ゴト化できそう。しかもゲームの舞台は「悪い魔法使いによって”憲法”が奪われた、とある時代の日本」。もしこの世に憲法がなかったら?そんな世界、どうなるのでしょう。この憲法×ファンタジーな世界観にもワクワクしてきました。

ゲームを共同製作されたのは「明日の自由を守る若手弁護士の会」(通称あすわか)とボードゲーム開発者の安藤哲也さん。ちなみに現在はまだ試作段階だそうで、クラウドファンディングで制作費を募り、8月に商品化を目指しているのだとか。これは是非、話を聞いてみたい!ということで、あすわかの武井由起子弁護士と安藤哲也さんにお話を伺ってまいりました。

プレイヤーそれぞれの能力を活かし、チーム協力型で街を救え!

__とにかく「憲法がなかったら」と言う設定がものすごく斬新でした。

安藤哲也さん(以下、敬称略):僕たち自身が憲法を知らないので「どうやって守られているのか」と言うことが想像できないと思ったのです。だから憲法がない ”ifの世界” を表現して、体感してもらおうと。ただ、テーマが憲法でなくても面白いゲームでないといけないので、そのためには歯ごたえがあって、何度も遊びたくなるのを目指しました。

__なるほど。だからこそファンタジーなストーリーをもたせたのですね。

安藤:舞台は悪い魔法使いが憲法を消してしまった、とある時代の日本です。憲法がないために、市民に様々な不幸が襲いかかってきます。消された憲法を復活させるには、良い魔法使いを呼んで憲法のバリアを張り、みんなで相談して街を守ろう!と言う、プレイヤー協力型のゲームとなっています。

まずはそれぞれの街に不幸が襲ってくる「poorカード」を引き、そのカードが4枚(大都市は5枚)溜まったら滅びてしまいます。その不幸から救うためにはそれぞれのプレイヤーが街に行き、市民の声を集めなくてはなりません。市民の声というのは、ここではサイコロの数なのですが、それぞれ指定条件があります。それが無事クリアされると良い魔法使いを呼ぶことができ、バリアを張る=街を救うことができるのです。

__そのバリアが憲法なのですね!プレイヤーにも特徴があると聞きました。

安藤:弁護士、ジャーナリスト、学者、エスパー、政治家、官僚と全部で6設定ありまして、プレイヤーは最初に好きなキャラクターが選べます。それぞれの得意分野を活かせるように、能力が異なります。政治家はたくさん動けるので人より1回多く行動できたり、ジャーナリストは未来を予測して人に伝えることができたり

__面白いですね!毎回するたびに、違った能力を使ってみたくなります。それぞれの能力を活かすためのチームプレイが非常に大事ですね。

武井由起子弁護士(以下、敬称略):「みんな違ってみんないい」という憲法的な考え方がここでも現れています。安藤さんの統計結果では、チーム内で相談すればするほど勝率が上がるそうですよ!

安藤:協力しないで誰か一人が仕切ったりボーッとしたりしていると、あっという間にpoorカードが溜まって、街は滅びてしまいますよ。

憲法がないと襲ってくる不幸がリアルにひどかった

__ちなみにそれぞれの街には、どんな不幸が襲ってくるのですか?

安藤:「仙台:お金がなくて、可愛い我が子を売りました」「東京:政府のやっていることを知ろうとしたら捕まります」「広島:武器を買いすぎてお金がなくなったので、保険代が100倍に」

__えーー!!なにこれ、ひどいですね(苦笑)!これはバリアを張ってもらわないと困る!

安藤:ここにバリアが張られると、仙台は25条の生存権「みんな人間らしく生きていくことができる」で守られますし、東京は21条の「表現の自由」、広島は9条の「戦争放棄」で守られます。

武井:そうやって「憲法がない世界をおかしい」って思えるのは、実は、自分の中に憲法の価値観を持っている証拠なのです。憲法の恩恵を受けてきているのに、気づいていないだけ。ただ、全ての人が恩恵を受けられていないので、みんなの生活が守られないといけない、という感覚を大事にしないといけないのです。

__本当ですね。今まで、憲法を意識したことがなかったけど、この世界をリアルに置き換えてみると本当に笑えないです。これはまず、私たち大人が学ぶ必要がありますね。



”憲法“ をどうやったら知ってもらえるか、みんなが模索していた

__それにしても ”憲法“と聞くと身構えてしまうのですが、ボードゲームとなると一気にハードルが下がりますね。このアイデアはどこから?

武井:このゲームには様々な人が携わっているのですが、まず発端は、元・目黒区議会議員の広吉敦子さん。彼女は憲法をカフェなどでわかりやすくお話しする「憲法カフェ」などにもよく来てくださっていて「いつも憲法を口に出すと難しがられる、この現状をどうにかできないか?」と頭を悩ませていました。もう一人、学童クラブで働く目黒区の森本千絵さんも「憲法を子どもたちの放課後の遊びに取り入れられないか」と考えていました。みんな、どうやったら”憲法”を知ってもらえるか、模索していたのです。広吉さんから「憲法をボードゲームにしては?」と紹介してくださったのが、安藤さんでした。

__なるほど。これまで憲法をゲーム化したものはあったのですか?

武井:あすわかと森本さんで一緒に作った「憲法ビンゴ」が最初ですね。森本さんと一緒にお子さんと遊んでみて、憲法×ゲームの相性の良さは実証済みで、プチ成功体験していたのです。

__憲法ビンゴ! これもまた斬新ですね!

武井:とにかく憲法を”知る”という目的で、最初あすわか兵庫の弁護士がビンゴとしてやっていたものを商品化しました。生活に近いところにある27の条文をカードにわかりやすく書き、用紙にその数字をならべ、カードを順に引いてビンゴをするという、年齢も全く問わない簡単なゲームです。引いた時に解説を読み上げていくことで、知らなかった憲法がスッと耳に入ってくる。こちらも好評でして、HPでもよく売れています。イベント会場で憲法ビンゴをすると、非常に子どもたちも喜んで、一緒に盛り上がれますよ。

__文章も端的でわかりやすいですね!遊びながら覚えられそう。

武井:そうなのです。これがあすわかサイドからの経緯です。安藤さんは?

突如始まった「憲法ボードゲーム」プロジェクト、これが有機的に広がりを見せた

安藤:そうですね。僕からの経緯は’174月に広吉さんから突然メールが来まして。広吉さんとはFBで繋がっていたので、僕のボードゲーム制作の活動は知ってもらっていました。「憲法をボードゲームにしたいのですが、今日の夕方来られませんか?」と。夕方お会いすると、先ほどの3名の女性陣がいらっしゃって「ボードゲームってどう思う?」と。謎の仕切りのままスタートしました(苦笑)。

__えっ?! そんな唐突に始まった感じですか?! てっきりあすわかサイドから何かアイデアがあって、いろいろ構想やらリクエストがあったのかと。

安藤:「憲法でボードゲームを」と言うお題だけでした。武井さんのお話を聞きながら、誰もが「憲法=大切」だと分かっているのに、なぜ、その中身を知らないのか疑問に思っ他のです。そこで、憲法が存在することの有難みや、意義が理解されていないからでは?と考え「もしも憲法が無かったら、どういう日本になるのか?」を体感するゲームにしようとひらめきました。架空の日本を体験することで、逆説的に憲法の存在する意義を知ることができる。それがこのゲームの根幹です。

その後、とりあえず自分なりに憲法を勉強してサンプルを作り、大人や子どもたちともテストプレイを重ね作り上げました。

武井:ゲーム自体は安藤さんが学んだ中でデザインしてくださったので、彼のドライブ感を活かした内容になっています。あすわかからは、ボードゲーム好きなメンバーたちに体験してもらい、の考え方とマッチしているか、カードの文章を考えたりアイデアをたくさん出し合いました。そういう意味では、みんなで作り上げました。今回のプロジェクトは非常に有機的に広がっていったのです。

__結果的には、とても理想的なプロジェクトの進め方になったのですね!

安藤:そうですね。あと、僕自身もこれをきっかけに憲法を勉強しようと思ったのです。僕自身も受験レベルの内容と、9条ぐらいしか知らなかったので。

__最初どのように憲法を勉強されたのですか?

安藤:武井さんに教えていただいた入門書『だけじゃない憲法』(種田和敏著)を読みました。まさに「憲法は9条だけじゃない」と言うことを教えてくれました。中でも印象的だったのが「今電車に乗れているのは、華族制度がないから乗れているんだよ」と言う内容。これが、ゲームに登場してくる「poorカード」のヒントになったのです。

クラウドファンディングがスタート!リターン特典でボードゲームを入手しよう

__今後の展開としては、まずはクラウドファンディングから?

安藤:クラウドファンディングの専用サイト・CAMPFIREで、本日5月30日からスタートしています。支援いただいた方へのリターン特典としてボードゲームはもちろん、キャラクター内に「エスパー」が存在していますよ。

__「エスパー」欲しいです!家庭だけでなく、学校の授業にも取り入れて欲しい。

安藤:そうなのです。6月から川崎の小学校がモデル校となってテストプレイを始める予定です。授業時間内でプレイするためには時間が足りないので、もう少し都市を減らした簡易バージョンを作成するつもりです。あとは、都内でも6月中テストプレイをするので誰でも自由に参加できますよ。日程はFBなどで告知しますのでぜひ!

__テストプレイ、ぜひ行きたいです。クラファン後はどこで購入できますか?

安藤:あすわかのHP私のコミュニティーデザインラボ machi-kuのHP より購入可能です。8月以降に販売予定なので、ぜひ夏休みにお盆で帰省の時などにご家族みなさんで遊んでみてください。

武井:何事も勉強する時に、ハードルを下げることがすごく大事じゃないですか。こうやって楽しく遊んで勉強になればいい。ママの頭に入らなければ子どもにも伝わりませんし、ぜひ一緒に遊びながら憲法を知ってください。あと、中学受験生の子をもつお母さんにもオススメ! 勉強の息抜きに使ってもらえれば。これは「罪悪感のないゲーム」ですから。

__まさにギルティフリーなゲームですね!夏休みの自由研究にも使えそう。

安藤:そうそう。自分なりのpoorカードを考えてみるとか、家族の憲法を作るとか。そうすると主体的に考えられるので得るものが違いますよ!

__いいですね!まずはクラファン達成できるよう、応援しています!

これまで「大切なのはわかっている、でもどこから入ればいいのか」と足が遠のいていた憲法について。ボードゲームの世界観を知ることで、初めてその入り口に立つことができたと思います。まさにゲームはインターフェイスとしての機能は抜群ですね!まずは子どもたちと一緒に、遊びながら憲法の価値を知ることからはじめませんか?

あすわかHPhttp://www.asuno-jiyuu.com/

憲法ボードゲームFBhttps://www.facebook.com/kenpogame/

コミュニティデザインラボmachi-ku HPhttps://www.machi-ku.com/

 

撮影/齊藤 晴香

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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