性別で症状の違いも
知っておきたい男性更年期の基礎知識
男性更年期のメカニズムを専門家が解説。女性と男性、お互いに“正しく知る”ことが、夫婦で理解し合う第一歩に!
教えてくれたのは
佐々木春明さん
HARUAKI SASAKI
昭和大学藤が丘病院 泌尿器科教授
男性更年期症状に詳しく、数多くの男性の診療を担当。世界男性更年期障害学会ほか、国際学会にも多数参加。監修に『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』(主婦の友社)。メディア出演や講演活動も多数。
●加齢による男性ホルモン(テストステロン)分泌量の減少
20歳頃をピークに、通常は点線のようにゆるやかに減っていくテストステロン。長時間労働や仕事でのプレッシャー、睡眠不足などでストレスを感じると急減して、更年期症状が。
ストレスで男性ホルモンが急減。目安の時期がないのでわかりにくい
男性更年期はどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?
「男性ホルモンである“テストステロン”は20歳ぐらいをピークに減少していきます。変化がゆるやかなのでそのまま症状がなく経過することが多いのですが、強くストレスを感じるとテストステロンの量が急激に減り、心身に不調が。女性の更年期は閉経前後と期間が決まっていますが、男性は過度なストレスにより30代でも60代でも、年齢に関係なく症状が出るのでわかりにくい。うつ病などと勘違いする人もいます。症状としては、中途覚醒のような睡眠にまつわるものや、イライラ、疲れやすい、以前より記憶力が落ちるといったケースも。さらに性欲も減退し、特に性行為の途中で続けられなくなり男性が自信を失い、セックスレスになってしまう夫婦もいます」(佐々木春明さん)
少しでも気になる症状があれば、ぜひ泌尿器科の受診を。
「できれば、男性更年期外来がある医療機関を選んで。“日本メンズヘルス医学会”のサイトで調べることができます。受診すると、原因となるストレスを知るために、時間をかけて問診と、原因に合わせた生活指導を。また、血液検査で男性ホルモン量を確認し、数値が低ければ、テストステロン補充療法をすすめます」(佐々木春明さん)
Point
- 一般的には、男性ホルモン(テストステロン)は徐々に減少するため症状の出方もゆるやか
- ストレスの影響でテストステロンが急減すると、症状が強く出る
- 早いと30代から始まり、50~60代まで続くケースも
●男性更年期に出やすい症状チェックリスト(AMSスコア)
更年期症状の程度を判断するのに活用できるAMSスコア。それぞれの症状を感じる度合いをなし(1)〜非常に重い(5)から選び、合計得点が50点以上の場合は医療機関の受診を。
・17~26点
男性更年期症状はなし
・27~36点
軽度
・37~49点
中等度
・50点以上
重症
できる対策は?
テストステロン補充療法(TRT)
2〜4週間に一度通院し、合成テストステロンの筋肉注射を投与。注射に抵抗がある場合は、テストステロン配合の塗り薬も。3カ月ほどで更年期症状が改善し、治療を終了する人がほとんど。副作用もあるので、方法や期間は主治医とよく相談しましょう。
漢方薬
ホルモン値は基準値以上でも、更年期症状が出ている場合などに使われるのが漢方。男性更年期の治療でよく処方されるのは「補中益気湯」「当帰芍薬散」「八味地黄丸」など。テストステロン補充療法のような即効性はないものの、継続することでじわじわと不調を改善。
サプリメント
コエンザイムQ10やロイヤルゼリーには、テストステロン値を上昇させる可能性があるという研究結果が。また更年期症状の中でもEDやセックスレスの悩みには、バイアグラやシトルリン、レスベラトロールなどのサプリの活用も。いずれも主治医に相談を。
Staff Credit
イラストレーション/SAKIPON 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE8・9月合併号(7/5発売)「二人で考えませんか?「夫婦の更年期」」に掲載の記事です。
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