女性更年期に出やすい症状チェックリストも
知っておきたい【“女性更年期”の基礎知識】その定義とメカニズムを専門家が解説
2024.08.21
性別で症状の違いも
知っておきたい女性更年期の基礎知識
女性更年期のメカニズムを専門家が解説。女性と男性、お互いに“正しく知る”ことが、夫婦で理解し合う第一歩に!
教えてくれたのは
中村名律子さん
NATSUKO NAKAMURA
千葉大学医学部附属病院 産科・婦人科
周産期、女性ヘルスケアの2つの専門医資格を持ち、大学病院にて研究と診療を行う。更年期症状にも詳しく、相談を受けることも多い。
●加齢による女性ホルモン(エストロゲン)分泌量の減少
年齢とともに体内の女性ホルモンは減っていくものの、40代以降では乱高下が激しく、自律神経の乱れを引き起こし、更年期症状につながる。60歳前に落ち着くことがほとんど。
閉経前後の10年間が女性更年期。ホルモンの乱高下で自律神経に乱れが
あらためて女性更年期の定義は?
「一般的に、閉経前後の10年間を指します。年齢とともにエストロゲンなどの女性ホルモン量は少しずつ減っていくのですが、更年期になると上がったり下がったりすることが増え、変化の大きさから自律神経が乱れて、更年期症状が。発汗やほてりなどのホットフラッシュ、イライラ、落ち込み、また手足のこわばりや関節の痛みを感じる人も。閉経しないと更年期がいつ始まったかはわからないのですが、月経不順になったり、月経がだらだらと長く続いたりといった変化が、更年期スタートのサインに。見逃さないようにして、つらい更年期症状を感じたら我慢せずに婦人科の受診を」(中村名律子さん)
どの程度の症状があったら受診すべきか、悩むところですが……。
「生活に支障をきたすほどの“更年期障害”はもちろん、以下のSMIスコアでセルフチェックをすると受診の目安に。受診するとホルモン量を測る検査のほか、更年期と似た症状の甲状腺の病気などもまとめて検査します。女性ホルモンの数値が低ければ、ぜひホルモン補充療法の検討を。更年期症状の改善に効果があり、老年期に起こりやすい骨粗鬆症や動脈硬化、また性交時に腟が痛くなる萎縮性腟炎などの予防にもなり、メリットが大きいと思います」(中村名律子さん)
Point
- 閉経(平均年齢は50.5歳)の前後5年間ずつ、約10年が女性更年期
- 女性ホルモン(エストロゲン)が乱高下しながら減少する時期
- 月経不順、だらだら続くなど、月経の変化が更年期スタートのサインに
●女性更年期に出やすい症状チェックリスト(SMIスコア)
女性更年期の代表的な症状をチェックできて、医療機関でも問診に使われるSMIスコア。各項目の症状の度合いを無〜強でチェックして、合計点数を計算。以下の診断結果を受診の参考に。
・0~25点
上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょう。
・26~50点
食事、運動、生活スタイルに注意をはらい、無理をしないようにしましょう。
・51~65点
医師に診察してもらい、生活改善、カウンセリング、薬物療法を受けましょう。
・66~80点
半年以上の長期計画にもとづく治療が必要です。
・81~100点
各科で精密検査を受け、更年期障害のみである場合は専門医での長期的な治療が必要です。
できる対策は?
ホルモン補充療法(HRT)
エストロゲン剤とプロゲステロン剤を組み合わせるのが一般的。皮膚から吸収する貼り薬や塗り薬は内臓への負担が少なく副作用が出にくく、飲み薬は手軽で薬の増減がしやすい。主治医と相談して、症状に合ったものを。
漢方薬
女性更年期の治療でよく処方されるのは「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」などの漢方。継続することで、自律神経の乱れからくるイライラや不安、また便秘などの長年抱える症状が改善するケースもあります。
エクオール配合のサプリメント
大豆イソフラボンが腸内細菌で分解されることでできるエクオール。体内でエストロゲンに似た働きをして、更年期症状改善の助けに。大豆製品からもとれるが、体内でエクオールを作れる女性は約半数といわれるので、市販のサプリメントで補うのが○。
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Staff Credit
イラストレーション/SAKIPON 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE8・9月合併号(7/5発売)「二人で考えませんか?「夫婦の更年期」」に掲載の記事です。
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