LIFE

LEEスター先輩の笑顔の素―「あの頃と今」

自分の好きを知って軸を持てば、人生が豊かに

【行正り香さんインタビュー】キャリアを諦めずに仕事と子育てを両立

  • LEE編集部

2023.09.24

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LEE40th Anniversary

創刊40周年特別連載
\LEEスター先輩の/

笑顔の素 ─「今」

LEEにて数々の料理特集を担当し、おしゃれな時短レシピで人気を集めた行正り香さんが登場。英語教育やインテリアなどの料理以外の仕事や、子育てについて。ますます活動の幅を広げる今に迫りました。

▶前半:【行正り香さんインタビュー】最低限の労力でも、おいしいものは作れる

〈料理研究家・生活空間プランナー・英語学習教材開発〉

行正り香さん

素敵なものに触れたら、なぜそう思うのか分析。自分の好きを知って軸を持てば、人生が豊かに

Rika Yukimasa

行正り香さん

Profile

料理研究家であり、英語教材「カラオケEnglish」、料理アプリ「今夜の献立、どうしよう?」などを手がける株式会社REKIDS代表。『19時から作るごはん』『行正り香の家作り』(ともに講談社)、『音から学ぶ小学生英語』(新泉社)など著書は50冊以上。

Instagram:rikayukimasa
公式サイト:https://fooddays.jp


「今」の笑顔の素

子どもに学んでほしいと、人生をかけて制作した英語教材。最近では、ずっと好きだったインテリアの仕事もやりがいに

Rika Yukimasa

空間プロデュースの
\仕事も増えています/

京都のアトリエ
京都のアトリエのリノベーション

現在手がけている京都のアトリエのリノベーション。「インテリアは大きな部分から考えるのが大切で、壁や照明が肝心。今回は土壁の風合いをベースに、照明も含めて真鍮をアクセントに」



キャリアを諦めないために、子育てはちゃんと人に頼る

前回の記事でレシピを披露してくれていた頃のお話しを伺いましたが、LEEにたびたび登場してくれていた頃は、現在20歳と18歳になる娘さんの育児真っ最中でもあった行正さん。当時は、出張の仕事や、夕方以降の海外との交渉などもこなしていたそう。キャリアを諦めずに子育てと両立するために「ちゃんと人に頼る」ことを心がけていたと言います。

「アメリカで留学していた学生時代にたくさんの女性に出会って、話を聞いて。お母さんが毎日ごはんを作らなくても、シッターさんなどに任せて四六時中そばにいなくても、子どもはきちんと育つ、という成功例を見ていたんです。ただ、お願いする人が毎回替わると子どもは不安になるだろうと、自分で信頼できる方を探しました。当時の職場で出会った女性の人柄がいいなと思って声をかけ、まずは家事を手伝ってもらい、話をしていると彼女のご家族も素敵だったので、ご両親にうちの子どもたちの面倒を見てもらうようになりました。今でも東京のおばあちゃんとして慕っていて、温かく見守ってくれています」

また、限られた時間の中で、常に自分にできることとできないことのバランスを考えていたとも。

「頭の中に24時間の円グラフがあって、ここは省いてここは増やしてと、脳をくるくると動かしていました。私は料理の仕事をしていても、毎日の負担を考えて子どもたちのお弁当はとことん手を抜いていたし、金曜日の夜ごはんはママ友と一緒にファミレスで済ませたりして。その分、子どもと遊ぶことやコミュニケーションの時間を持ちたかったので、土曜日は家事をせずに、朝から美術館や動物園へ行っていました。

その24時間の円グラフをいつも意識しておかないと、やらなければいけない家事や仕事でいっぱいいっぱいになって、時間が流れていってしまうんですよね。忙しければ忙しいほど、自分や家族にとって幸せなのはどちらか、そのために何が必要かに立ち戻ることは、とても大切だなと今あらためて思います」

20年以上!
\癒されるインコとの生活/

インコ生活は20年以上

インコ生活は20年以上。「掃除はそれなりに大変ですが、心を通わせられる動物が家にいることは癒しに」

小学生でも遅くない! 英語は細く長く続けること

行正さんが、育児をする中で子どもたちに必ず学んでほしいと思っていたのが“英語”ですが、既存の教材や英語教室通いを経験したものの効果が感じられなかったとか。子どもたちをバイリンガルに育てたくて、娘さんのある言葉をきっかけに英語教材の開発を始めました。

「小3の娘に『どうして、英語も漫画で勉強できないの?』と聞かれて、雷に打たれたような気持ちに。漫画で楽しく学べて、多忙な親が付き添わなくても子どもが自分で繰り返して英語が身につく教材『カラオケEnglish』が生まれました。今は幼児期に英語教室に通わせたり、家でできる教材を購入する親が多いですが、大体は小学3年生ぐらいから中学受験などで塾通いを始めて英語をやめてしまうんですね。本当に英語を身につけて、バイリンガルになるためにはそれでは意味がなくて、むしろ3年生ぐらいから細く長くでいいのでやめないことのほうがずっと大事。小学生だからもう遅いなんてことはまったくないので、ぜひ多くの子どもにこの英語学習が届くといいなと思いますね」

イラストまでこだわった
\渾身の英語教材/

カラオケEnglish

 耳で聞いて発音し、録音してお手本と比較。子どもが1人でブラッシュアップしていけるセルフラーニング教材「カラオケEnglish」。

「カラオケEnglish」は、イラストもすべて行正さんがチェックし、制作に携わったのだとか。

「何千種類もの会話のパターンを作るために、毎日日付が変わるまで作業をしていた時期もありました。人生でいちばんつらいけれど、いちばん楽しい仕事だったなと。昔インタビューでやなせたかしさんが言っていた『これは、と思ったら10年は続けること』という言葉がとても印象に残っていて、自分で決めたのであれば、時にはとことんエネルギーをかけてやりきることも必要なんですね。最初は赤字のプロジェクトだったけれど、続けていたらコロナ禍でオンライン教育が普及して需要が増えたりと、環境も変化してきました。

ここ数年は、教材作りも子育ても一段落し、前々から依頼があったインテリアコーディネートの仕事を始めたりして。依頼とこちらが提案したものの組み合わせがぴったりきたときの喜びは大きく、やりがいを感じています」

持ち前のセンスとプロデュース力で、新たな分野にもトライを続ける行正さん。アウトプットするだけでなく、リラックスしながらインプットをする時間も大切にしているそう。

「子どもたちが小さい頃から、寝静まったら照明を暗くしてキャンドルをともして。ワインを飲みながら、大好きな心落ち着くジャズを聴くのが至福の時間でした。映画も好きなので夜の自分時間に見たり、アカデミー賞を取るような話題作は時間を割いてでも映画館に足を運ぶことも

そして、おいしいものや素敵なものに触れたら、なぜいいと思うのかを分析してみるといいですね。例えばワインだったら、少し甘味がないとおいしいと感じないんだなとか、私の中でチャートのようなものがあるんです。昔は、何を食べてどう感じたか、食べ物以外でも心が動いたものはすべて日記のように記録していて。今では、書かなくても自然と分類ができるようになりました。私の場合は、このすべてが仕事につながるし、そうでなくても、自分の好きを知って、軸を持つことは大切。人生をより豊かに楽しくしてくれるのではないかなと思っています」

キャンドルをともしてワインを飲みながらリラックス

子どもたちが小さい頃から今も続く、行正さん定番の夜の過ごし方。キャンドルをともしてワインを飲みながらリラックス。

行正さんからメッセージ

行正さんにとってLEEとは

私が思うLEEは、女性に対して学びを与えてくれる雑誌。仕事や育児を頑張って、暮らしも工夫している、落ち着いたインテリジェントな女性が読むイメージが強いです。料理はもちろん、さまざまな知識を広げられる心強い存在ですね

40年目のLEE読者へ

SNSで発信もできる! 時代の流れにのって変化を
LEEでレシピを紹介していた頃もめまぐるしかったのですが、時代はどんどん進んで変わっていきます。ぜひその流れにのって、読者の皆さんも常に変化していってほしいなと思いますね。今なら、好きなことがあれば、SNSなどで自分から発信もできる。好きでつながれるって素敵なことだし、最近あらためて趣味の合う友達の大切さを実感しています

Staff Credit

撮影/須藤敬一 取材・原文/野々山 幸(TAPE)

こちらは2023年LEE10月号(9/7発売)「LEEスター先輩の笑顔の素―「あの頃と今」」に掲載の記事です。

おしゃれも暮らしも自分らしく!

LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
今読者が求めている情報に寄り添い、LEE、LEEweb、通販のLEEマルシェが一体となって、毎日をポジティブな気分で過ごせる企画をお届けします!

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