「相貌(そうぼう)心理学」とは、フランス発祥の「顔」からパーソナリティーがわかる心理学。輪郭・パーツ・肉付き・左右の非対称・顔のゾーン等を分析し、相手および自分自身を理解するアプローチです。世界で16人、日本人初の相貌心理学スペシャリスト・佐藤ブゾン貴子さんが相談者の「顔」を分析し、解決に向けたアドバイスと前進する勇気をくれる連載です。今月は「実母に依存し過ぎ?問題」と、それにまつわる諸々のお悩みを、ブゾン先生がズバリ解決します! 今回の相談者はLEE100人隊のロンゴアミーゴさんさん(隊員番号035)です。
仲良しの母が高齢に。このまま頼り続けてもいいの?
ロンゴアミーゴさん(以下ロンゴアミーゴ):母とは仲が良く、悩みごとがあるといつも相談に乗ってもらっています。母に不安を吐き出すことで気持ちが楽になれる、「母だったらこう言ってくれるだろうな」と安心感を求めているんだろうな、と自分なりに分析しています。でも母も今年77歳、その日のテンションによっては悲観的だったり、沈み込んでしまったりすることが少しずつ増えてきました。そんなときはできるだけフォローしてあげようと思うものの、私自身が思春期真っ最中の双子を抱えあまり精神的に余裕がなくて。とはいえ年齢的に母がいつまでも元気であることはあり得ないし、いつか訪れる別れのときに後悔したくないし、そのときのためにどうやって心の準備をしたらいいのかわからなくて……どのように母と接したらいいのでしょうか? アドバイスをお願いします。
佐藤ブゾン貴子さん(以下ブゾン):わかりました。ところで、お父様はどんな方ですか?
ロンゴアミーゴ:父は典型的な「昭和の親父」というか、いわゆる亭主関白タイプ。愛情ゆえだとは思いますが、結構厳しく躾けられて育ちました。その点、母はやっぱり優しかったな、と。父は母にすごく強く当たる傾向があり、母もそれで悩むこともあり、話を聞いてあげることもありました。
ブゾン:お母様は輪郭がどっしりしたディラテで、とても体力があり、みんな時間優先。なので、これからもどんどん頼って大丈夫。感情ゾーン拡張タイプで承認欲求を満たされることに何よりも幸せを感じるので、むしろロンゴアミーゴさんに頼られることが、お母様にとっては喜びになります。困ったことがあったらどんどんお母様に相談して、何でもお話ししてOKです。そしてお母様の承認欲求を満たすべく、なるべく褒めてあげましょう。お父様と何かあったら「大丈夫だよ、お母さんこんなに頑張ってるんだから」と褒めてあげること。ディラテのお母様は豊富な体力が下支えになり、嫌なことがあってもケロッと忘れられるし、あんまり根に持つタイプじゃないので、そんなに心配しなくても大丈夫。もちろん親しき仲にも礼儀ありではありますが、嬉しいことも悲しいことも嫌なことも、全部お母様に伝えてあげましょう。
今は遠慮は無用。立場が逆転したときは助けてあげる
ロンゴアミーゴ:そうなんですね、何かホッとしました(笑)。私は三人姉妹の末っ子なんですが、母は三姉妹のそれぞれのことをいつも気にかけてくれています。私の双子の息子達にお小遣いをくれますし、中3になって塾に行くようになったら「塾代の足しになれば。双子のために貯金したお金だから」と、ある日突然まとまったお金をくれたことも。自分から「お金貸して」とお願いしたことはないですし、自分達で貯蓄ももちろんしていますけど、それでもやっぱりすごく助かりました。
ブゾン:そうやってロンゴアミーゴさんやご家族を援助することも、お母様にとっては何よりも幸せ。今はきちんと「ありがとう」と伝えてあげて、遠慮は無用です。そしていつか立場が逆になるときが来ますから、そのときは、今度はロンゴアミーゴさんがお母様に「これ使って」とできるようにしていけばよろしいかと。何かあったら「今度は私がお母さんの面倒を見るかた大丈夫だよ」と言えるようにしておくのが、一番の親孝行だと思うんです。いつか訪れる別れについて心配されているけど、そんなものはその時にならないとわからない、というのが現実。人間、感情の準備はできないものですし、今が明日を育んでいくから、今のお母様との関係を大切にすること。それによって、その時にベストな対応ができるようになるんじゃないでしょうか。
ロンゴアミーゴ:なるほど、とてもわかりやすいです! 気持ちの面だけでなく、物質的にも母に恩返しができそうですね。母との関係性についても、そんなに心配しなくても良さそうでホッとしています。
ブゾン:全然心配する必要ないですよ。今を楽しむ、それが一番。ロンゴアミーゴさんは額の高さが高く想像力が豊かな傾向が表れていて 、その上感情ゾーン拡張タイプなので感情の動向によって行動や思考が影響されがち。今から余計な心配をすると、どんどん悲観的になってしまいますよ。感情ゾーン拡張タイプの方はロジカル思考が苦手なので、心配事や不安があったら頭の中だけで完結させず、しっかり書き出して問題点を明確にしていきましょう。そして横顔が「く」の字の形状で、何事においても答えを急いで出したがる傾向も表れています。仕事の場ではメリットになりますが、今回の問題については結論を急いで焦り過ぎちゃって、どうしたらいいのかわからなくなっています。「なんで私、こんなに焦ってるの?」、その理由を書き出して見極めるが大切です。そして焦ったら深呼吸! そうすれば何事も上手くいきますよ。
長男と次男をどうしても比べてしまい、自己嫌悪に…
ブゾン:ロンゴアミーゴさんは事務のお仕事をされているとのことですけど、顔タイプ的に例えば営業とか、人と接する仕事の方が向いていますよ。
ロンゴアミーゴ:営業ですか? 考えたこともなかったです。ただ、以前はずっと保育士の仕事をしていたんです。でも体力の要る仕事ですし、それ以上に、自分自身の子育てに自信がないのに、仕事の場では教科書通りに子どもと接していることで、自分の中に矛盾を感じてしまって、「こんなんで保育士の仕事なんてできない!」と。器用なタイプじゃないので、仕事に行っても結局家のことがずっと気になってしまうし、家のことが落ち着かないと外で切り替えができない。40歳目前で一旦違う仕事も経験してみよう、と今の仕事に転職しました。家庭とのバランスを考慮して転職したようなものですね。今現在は双子が思春期真っ最中。長男は落ち着いて物事を考えられるタイプなんですが、次男は最近になって反抗というか自己主張をするようになってきて。「部屋を片づけなさい」等、小さなことからなんですけど、言っても言っても響かない。どうしても長男と次男を比べてしまい、それが自分の悪い所だとわかっていて悩んでいます。
ブゾン:目がパッチリして視覚から入る情報にとても影響されやすい傾向があるので、息子さんの一挙手一投足が気になってしまうんでしょうね。言い方が良くないかもしれませんけど、感情ゾーン拡張タイプのロンゴアミーゴさんは自分の感情を相手にも押しつけやすい傾向があります。自分が「楽しい」と思ったら、相手にも「楽しい」と思ってもらいたい。その割に、相手との感情の距離感を上手く保てない。もちろん息子さんを大切に思い、守っていきたいという気持ちはわかります。でもそうすることで、ロンゴアミーゴさんの感情を息子さんに押しつけていることになります。お子さんは感受性が敏感なので、たとえ口に出さなくても、お母さんのそういった感情をキャッチします。横顔が「く」の字の形状で、成功欲求量をあらわす頬骨がしっかり張っており、競争好きなロンゴアミーゴさんは、息子さんにも一番になってほしい、失敗してほしくない。そんな「理想の息子像」を押しつけてしまうんです。このままでは息子さんの可能性さえも潰してしまいます。
子どもと距離を置き信じてあげて、自分の人生にフォーカスを
ブゾン:なので、息子さんとはもっと距離を置いて、もっと外に出て、仕事に集中したほうがいい。お子さんとの適切な距離感を取るためには、お子さんのことを信じてあげること。そして、自分をしっかり信じられない人は他者を信じることもできないので、まずは自分自身を信じてあげること。お子さんたちももう14歳だし、自分である程度の判断はできるはずなので、放っておく。その分、自分自身の人生にフォーカスしてみて。感情ゾーン拡張タイプの方は、自分の好きなことをやっていないとダメなんです。このまま大して思い入れのない仕事を続けていたら、後になって「あの時家庭優先にしたらから私、好きなことができなかった……」と後悔するのが目に見えています。お母様には何でも相談できて、信じてあげることができているわけですから。その関係をぜひ息子さんとも構築していただきたい。
ロンゴアミーゴ:ブゾン先生のお話を聞いているうちに、私も夫も、次男に対してすごく圧をかけていたんだろうな、と反省しました。そして何となく、息子のことを誘導しがちだったな、とも。やっぱり「失敗しないでほしい」という思いが強くなってしまい、つい「こうしたら? ああしたら?」と言い過ぎてしまっていました。もっと次男のことを尊重してあげないと、と思いました。そして自分が母を頼っているように、自分も息子たちにとってそういう存在でありたいと思うものの、なかなか……私と母と、一体何が違うんだろう?
ブゾン:何事も1回失敗してもいくらでもやり直せますし、失敗を恐れると安パイを踏んでばかりの人生になってしまいます。失敗は決して悪いものとは限りません。失敗することによって学び、「次は失敗しない」という素晴らしいモチベーションを生み出します。失敗は成功のプロセスですから。そして息子さんに「困ったな。ママ、どう思う?」と意見を求められたら答えてもいいけど、聞かれてもいないのに口出ししないこと(笑)。それはただのおせっかいです、感情ゾーン拡張タイプの方はおせっかいになりがちなので。お母様とは体力量が違うだけ。体力少なめのレトラクテのロンゴアミーゴさんは自己防衛力が高く、どうしても息子さんのネガティブな点が目につきやすいんです。でもそのネガティブな点って、息子さんの改善点でもある。それをロジカルに分析して、ポジティブ変換して、しっかり見極めてあげて、改善方法を伝えてあげてほしい。お話しを聞いている限り、息子さんは思考ゾーン拡張タイプのようなので、何かを伝えるときも感情的にならず、ロジカルに伝えることを心がけると良いでしょう。子どもの疑問に的確に答えること、それって養育者ができる教育の一つ。改善点があったら、その理由もきっちり教えてあげてくださいね。
ロンゴアミーゴさんアフタートーク
ブゾン先生、LEEスタッフの皆さま先日はステキな時間をありがとうございました。
ブゾン先生に頂いた数々のお言葉は、普段の生活の中でふと立ち止まった時、前向きに思考できるキッカケになったなぁと感じています。
例えば、母との関係。
意識して〝依存している〟つもりはなかったですが、母を頼る事は母にとっても幸せなんだと知れた事で〝依存〟と言うマイナスワードではなく〝信頼〟し合えているという、時間をかけて今に至った経緯ではありますが、母と良い関係でいられる事自体が有り難く、自分もそんな母親になれるように…と身近な母がお手本でいてくれる。そんなふうに思えるようになりました。
母との関係が、この先年齢的にも今とは違う形になるかもしれませんが、その時の感情はその時にしか分からないのだからと言って頂けて、気持ちも軽く今を大切に過ごしたいとより、思えました。
息子(次男)との関係も、思春期のやりにくさはありますが、ポジティブな面に目を向けてやると私自身も楽になれるような…そして、改めて彼の良いところっていっぱいあるやん!ってしんどい部分ばかりを悩まなくなりました。
もちろん、まだまだ子どもで未熟ですが、それは当たり前で私の〝すぐ答えを出したい〟は通用するようなもんじゃない。子育てってそんな簡単に結果は出ない。
感情をすぐ言葉にして、ぶつかるのではなく、彼の考えや思い、理由を一旦、私の中で考えてから関わるよう意識するようになりました。
漠然とそうすべきだと、どこかでは分かっているようで…でも出来ていなかった事。
ブゾン先生から優しく、楽しく、的確にお話ししていただけた事で〝悩み〟自体もアヤフヤだったものが、パァ〜ッと晴れ間が広がったような、スッキリしたような、そう考え行動する事で少しずつ変われるかも!
そんなふうに思えました。
実際、次男への関わり方にはお互いに沢山話し合えるような…今のところ以前のような難しさばかり感じる事が減りました。
受験もあるので、自分の母がしてくれたように、大らかに息子達に寄り添ってやれるよう今後も意識して、自身の感情のコントロールを上手く出来たらなぁと思います。
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撮影/山崎ユミ イラスト/つぼゆり 取材・文/露木桃子
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佐藤ブゾン貴子 Sato Bouzon Takako
相貌心理学スペシャリスト
相貌心理学スペシャリスト、1975年生まれ。アパレルの勉強のため渡ったフランスで相貌心理学に出会い、世界で16人、日本人初となる相貌心理学教授資格を取得する。帰国後は相貌心理学の顔分析を用いてセミナー、講演、メディア出演など、多角的に活躍。近著には『あなたの顔には99%理由がある』(河出書房新社)『ビジネスは顔が9割』(祥伝社)がある。問い合わせはhttp://a-cura.net/bouzon/まで。
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