「相貌(そうぼう)心理学」とは、フランス発祥の「顔」からパーソナリティーがわかる心理学。輪郭・パーツ・肉付き・左右の非対称・顔のゾーン等を分析し、相手および自分自身を理解するアプローチです。世界で16人、日本人初の相貌心理学スペシャリスト・佐藤ブゾン貴子さんが相談者の「顔」を分析し、解決に向けたアドバイスと前進する勇気をくれる連載です。今回は「ご近所付き合い」と「キャリアアップ」に関するお悩みを、ブゾン先生がズバリ解決します! 今回の相談者はLEE100人隊のキッキさん(隊員番号018)です。
ほどよい距離感でご近所付き合いしたい
キッキさん(以下キッキ):30~40歳代の子育て世代が多い、比較的新しい団地に住んでいます。ほとんどの世帯が同じ時期に引っ越してきたので交流が多く、団地のイベント部がハロウィンやクリスマス、節分などイベントを企画してくれていて活気のある地域だと思います。地域での交流も多い分、お互いの距離感が気になるところです。各世帯の個人情報をたくさん知っている人もいたり、ほどよい距離感で付き合いたいと思っているので、そのコツがあれば知りたいです。
佐藤ブゾン貴子さん(以下ブゾン):キッキさんは輪郭細めのレトラクテで、体力があまりないんです。少ない体力を無駄に使えない分、状況を見極め、自分を守る力が強い傾向があります。感情ゾーン拡張タイプなので感情の共感共有を重視し、好き嫌いがとても激しい一面も。世話好きで面倒見が良いけど、それはあくまでも自分の選んだ、自分が好きな人に対してのみ。ご近所についてもキッキさんが「好き」な人達だったら「個人情報を多少知っているかもしれないけど、お互い様だし」で済ませられるところが、「嫌い」が先立つと「ちょっと、何であの人うちのことそんなに知ってるの!?」となってしまう。「嫌い」のバイアスがかかってしまうと、心のシャッターが降りちゃうんです。その上、今の環境はキッキさんが自分で選んだものでないのでなおさら。感情ゾーン拡張タイプの方は、感情の共感共有が満足の源であるゆえに、人との距離感を取るのが苦手です。「この人には挨拶だけで充分」等自分の中で「人付き合いのルール」を作り、それに則って行動することをオススメします。
キッキ:仰る通り、「好き」か「嫌い」で、「普通」があんまりないんですよね。
ブゾン:「嫌い!」とバイアスがかかると余計ストレスになるので、「ロジカルに考える」のがコツ。「社会的な顔」のお面を被って「近所付き合いは仕事の一つ」と割り切ることでストレスが軽減され、もっと楽になれますよ。
夫に東京出向の話が持ち上がり、渡りに船?
キッキ:たしかに……仕事の場だと、苦手な人がいても結構割り切れるんですよね。ご近所付き合いに関しても「仕事の一つ」と捉えればいいんだ、と思うと、気持ちが楽になります。実は、夫に東京への出向話が持ち上がっていまして。ご近所付き合いについてもそうですが、今の職場もブラック気味で辞めるきっかけを探していたので、正直なところ「渡りに船」と思っています(笑)。来年から3年の予定なんですが、二人いる子どものうち下の息子が私と似たタイプの顔で輪郭が細く、人付き合いが苦手なタイプ。持病もあり支援も必要だし、息子も「ここにいたい」と言っているのが懸案事項です。
ブゾン:キッキさんもそうですけど、輪郭細めのレトラクテの息子さんは、選択の欲求が強いんです。息子さんが「行きたくない」と言うのであれば、それを尊重してあげるのが良いと思います。
キッキ:ということは……もし息子に「行きたい」という気持ちが出てきたら、それはそれで尊重してあげた方がいいんですか?
ブゾン:その通り。本人が選んだ環境だからこそ「自分はここに馴染みたい」という欲求が出てきます。が、そうじゃないと自分の世界観を優先し殻に閉じこもってしまいます。そうなるとコミュニケーションの形成が難しくなってしまうので、今の環境が息子さんにとって最良であるならば、それを優先してあげては?
キッキ:わかりました。4月に小学校入学したばかりで、やっと新しい環境に慣れてきてお友達もできたタイミングで東京行きの話をしたので、余計「ここにいたい」という反応をしたんだと思います。
ブゾン:子どもは自分主導で環境を作ることができず、親がそれをしてあげないといけないと思うんです。なので東京行きはあまりオススメできません。それに「大好きなお母さんに好かれたい、いつも疲れていて辛そうな顔のお母さんを見たくない」という思いから、息子さんが自分の感情よりもお母さんを優先し、「東京に行ってもいいよ」と言ってしまう可能性も否定できないので。
手っ取り早く状況改善するには「仕事」を変えてみる
ブゾン:もちろん、キッキさんのフラストレーションも理解できますよ。限られた体力を有効に使うためにもまずは自分自身にフォーカスし、可能であれば仕事を変えてみては? 感情ゾーン拡張タイプで、その上額に高さもあり想像力豊かなキッキさんは「嫌だ」と思うことが一つあるとそこから枝葉が生え「近所も最悪! 仕事も最悪!」と、ありとあらゆることが「最悪な状況」になってしまいます。なので、まずは自分が「楽しい」と思える環境に身を置くことが大切です。仕事環境を整えることによって、ご近所付き合いについても「変な人もいるけど、世の中変な人はどこにいても一定数いるものだし、まあいいか」と片づけられるようになると思うんですよね。レトラクテの方は自己防衛能力が強いゆえに、物事や人のネガティブな側面に目が行きやすい。「最悪な状況」にいると自己防衛能力が過剰に働いてしまい、それこそありとあらゆることがネガティブに見えてしまう、「世の中みんな敵!」状態になってしまうので、どうしても生きづらくなる。これを機に「私は物事のネガティブな側面に目が行きやすい」と自覚し、おせっかい→世話好き、といった具合に物事をポジティブ変換する練習を少しずつしていくことをオススメします。
キッキ:一度「嫌い!」と思うとなかなかそれを覆すことができなくて、「これは良くないな」とずっと思ってたんですけど、今説明されてすごく納得しました(笑)。そして夫によく「どうしてそんなに人の悪い所ばかり指摘するんだ?」と言われます。本当に悪い所ばかり目がつきやすくて、我ながら嫌な性格だなと……。
ブゾン:あまり欠点ばかり指摘していると、お子さんの良い所も伸ばせなくなりますよ。例えばお子さんが物事をなかなか決められなかったとして、「なんで早く決められないの? さっさと決めなさい!」と頭ごなしに否定するんじゃなくて、「この子は闇雲に突っ走らない、物事をじっくり考えてから決められる子なんだな」とポジティブ変換してみましょう。
キッキ:気持ちに余裕があったり、自分で意識するようにしていると、「早くしなさい!」と言いたくてもグッと我慢できるんですけど、余裕が無くなると「どっち!?」と感情を出してしまいます……(苦笑)。
仕事自体は嫌いじゃないし、むしろ向いている
ブゾン:感情ゾーン拡張タイプはどうしても感情に行動を引っ張られちゃいますからね。逆に「楽しい!」と思えるときは、全てハッピーに解釈できる。今、キッキさんは感情のリミット間近なので、現実的に可能な部分→新しい職場環境で感情をリフレッシュ&リセットしてみては? 新しい環境で再スタートすれば、きっと全てが上手く回るようになるはず。ブラック気味な職場と仰ってましたけど、どんなお仕事なんですか?
キッキ:元々は看護師として働いていたんですけど、今は教育機関で看護師免許を持っている方向けの研修や育成指導をしています。一度、出産を機に辞めたんですけど、産後に「戻らない?」とお声がけいただき、新しい環境が苦手なこともあったので復職し、今に至ります。人と関わることがそんなに得意ではないんですけど、結局今の仕事を続けていて、そして疲れを感じています。でも、それはあくまでも「環境」に対して疲れを感じていただけで、仕事自体はそんなに嫌じゃないのかも? むしろやり甲斐はあります。ご指摘を受けた通り「ここをもっとこうしたらいいのに」といった所に目がつきやすんですけど、仕事の場であれば割り切って「改善点」として指摘できますし、上司にも評価してもらえています。「この仕事好きじゃない、私向いてないな」と思い込んでいたけど、分解していくと「人に対してどう指導していけばいいか」を考えるのは好き、ということに今、気づきました。
ブゾン:そう、キッキさんは「自分は人の改善点に目が行きやすい、それをフォーカスするのがとても上手」なんです、よく気づけましたね(笑)。職場環境は改善の余地がありそうですけど、仕事内容は向いています。今回の気づきがきっかけで「これって私の素晴らしい才能なんだ!」と、自分のことをもっと好きになれるのでは?「人と関わることがそんなに得意ではない」と仰ってますけど、コミュニケーションは苦手な顔タイプではないんですよ。レトラクテなので不特定多数とのコミュニケーションは苦手ですけど、頬の肉付きも豊かだし、1対1のコミュニケーションはとても得意。むしろ感情ゾーン拡張タイプなので承認欲求を満たされることが、何よりも満足に繋がります。仕事も「キッキさんのおかげで上手くいきました、ありがとうございます!」と直接感謝されるようなものを選ぶと良いですよ。
自分をしっかり理解して、自分を好きになる
キッキ:そういえば看護師時代、先生に「そこの看護師さん」と呼ばれることが多くて、「私じゃなくてもできる仕事だな……」とモチベーションが下がっていました。今の上司は「君じゃないと任せられない」と言ってくれます。部下の操作が上手なのかも(笑)。
ブゾン:今の仕事内容は決して悪くないと思うんですよね、職場=箱が良くないだけで。転職可能なら今と同じような職業、医療コンサルタントのようなお仕事がオススメ。キッキさんは正面から耳がよく見える、いわゆる「ジャンヌ・ダルクの耳」の持ち主で、独立心旺盛なのがわかります。人から命令されるのが嫌い、自分で考えて行動したいタイプなので、独立起業もオススメです。
キッキ:たしかに自分のペースを乱されるのは苦手ですね。今も裁量労働制で比較的働きやすかったんですけど「出来ればフリーで働けたらいいな」という思いもあり、それを視野に入れて資格取得したりしています。
ブゾン:横顔を見ると顎先が目頭から下ろした基準線より出ていて、自分の力で野望や野心を実現できる能力があることがわかります。「目立たずひっそりとするのが得意」と事前アンケートに書かれていましたけど、大間違いです(笑)。先ほど仰った「“看護師さん”じゃなくて名前で呼んでください! 私は私なんです」というエピソードにもそれが表れています。今回を機に自分をしっかり理解して、自分を好きになること。そうすれば、これまで以上にやり甲斐を感じられるし、独立を考慮して準備すればもっと楽しく仕事できますよ!
キッキさんアフタートーク
仕事だとできるのにプライベートになると難しい人付き合いも、付き合い方のルールを作るというブゾンさんの言葉に心が軽くなりました。
なるべく目立たず存在を消したいタイプだと思っていたのに、真逆の診断でびっくりしましたが、思い当たることも多かったです。
自分の裁量で働きたいという思いがありながら自信がなく独立は遠いものだと思っていました。ブソンさんに背中を押していただいたし、コンプレックスだった耳も好きになりました!
まだ東京行きは決定していませんが、セッションの後、子どもにもう一度確認すると「行きたい!」と返事が返ってきました。あとは辞令を待つのみ! 新しい環境に身を置くようになれば、独立を見据えた働き方をしたいと思っています。
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佐藤ブゾン貴子さんがBOUZON LABOをオープン!
佐藤ブゾン貴子さんが相貌心理学研究室「BOUZON LABO」をオープンしました! 相貌心理学を用いた相談室と相貌心理学の入門知識や資格取得のために学べるスクールを併設しています。詳しくは以下のリンクをご参照ください!
BOUZON LABO“顔”で解決したい
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撮影/山崎ユミ イラスト/つぼゆり 取材・文/露木桃子
佐藤ブゾン貴子 Sato Bouzon Takako
相貌心理学スペシャリスト
相貌心理学スペシャリスト、1975年生まれ。アパレルの勉強のため渡ったフランスで相貌心理学に出会い、世界で16人、日本人初となる相貌心理学教授資格を取得する。帰国後は相貌心理学の顔分析を用いてセミナー、講演、メディア出演など、多角的に活躍。近著には『あなたの顔には99%理由がある』(河出書房新社)『ビジネスは顔が9割』(祥伝社)がある。問い合わせはhttp://a-cura.net/bouzon/まで。
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