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「卵子凍結に公費活用」は「少子化対策」になるのか(いや、ならない)【宋美玄さんの聴く婦人科診察室#79】

  • 宋 美玄

2023.01.02 更新日:2023.09.05

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産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」。宋さんとLEEweb編集長・畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。2023年最初の放送は、昨年末に飛び込んできた「小池百合子東京都知事が少子化対策として健康な女性の卵子凍結支援の対応を検討する」というニュースについて取り上げます。

宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#79
今週のよりぬき

宋美玄さん79

  • 日本テレビの報道では、健康な女性が「将来の備え」として卵子凍結を選択したのが、去年1年間に都内だけで1135件あったそう
  • 健康な女性の卵子凍結は以前より認知され件数も増加。がん患者が治療の影響を避けるために行った136件の8倍以上、生み時を逃したくない人が増えている
  • 「卵子を取っておいたら子ども出来るかというと、そこまで成績の良いものではない。ので、女性の多様な生き方を支援することではあるけど、少子化対策の大義名分でやるのはちょっと違うかな。不妊治療の保険適用も同様ですが」と宋さん
  • 卵子凍結は体外受精・不妊治療の専門クリニックと連携して行う。これらのクリニックはほぼ都市部に位置する
  • 卵子凍結の費用は数十万縁〜100万縁程度、卵子の保管料も毎年発生する
  • 冷凍、解凍で卵子がダメになることもあるので、受精卵保存より難しい
  • 卵子凍結時にパートナーがいれば、受精卵を保存した方が成績は良い
  • 「パートナーがまだいない、でも年齢的に凍結しておきたいって方が結構多いけど、その後パートナーが見つがると、冷凍保存していた卵子を使う人は少ないですね、自然妊娠するケースが多いので。となるとコスパはあまり良くないかな」と宋さん
  • 海外では20歳そこそこで卵子凍結するケースも多い(若い卵子の方が成績も良いので)。企業が福利厚生で卵子凍結保存して、キャリアを促すケースも
  • 「企業が主導ならいいけど、都が支援って……今、コロナの影響や物価高で貧困問題の方が優先順位が高いのでは。それ、今やること?って思います。もちろん女性の健康に関心を持ってほしいけど、だったら生理痛で医者にかかる負担を軽減するとか、もっとやり方はあるのでは」と宋さん
  • 「公費だと卵子凍結を選択しやすくなるけど、『凍結できるんなら今産まなくても良くない?』と会社にプレッシャーかけられるケースがありそうで、なんか引っかかります……」と畑江

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イラスト/小迎裕美子

宋 美玄 Song Mihyon

産婦人科医

セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/

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