産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」は、宋さんと元LEEweb編集長・現集英社デジタルソリューション部の畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。今週は久々の時事ネタウィーク!「ドラッグラグ」「ドラッグロス」について宋さんがわかりやすく解説します。
宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#110
今週のよりぬき
- 「ドラッグラグ」とは、海外で承認済みの新薬が日本では承認されるのに時間がかかる、そのタイムラグのこと
- 「最近は一般的な薬すら手に入りにくいそうですね。喘息防止のホクナリンテープが手に入りにくくなった、と聞いて戦慄しています……」と畑江
- 「いわゆる風邪症状で使うような、価格もそこまで高くない、一般的な薬すら手に入らなくない状態=ドラッグロスになっていますが、一体なぜですか?」と畑江
- 「日本では薬価をどう決めているのか不透明な部分ありますが、新薬開発等にそれなりの費用がかかっているので、製薬会社はそれを回収できる値段をつけたい。でも日本では薬価は年々値下げされるんです」と宋さん
- 「医療費は国の財政を圧迫しているイメージがあるかと思いますが、医療費を下げるべく、薬価を下げています。でもそれでは製薬会社が儲からないですよね」と宋さん
- 「そうなると日本で承認されてもどんどん値下げされてしまうので、製薬会社としてはメリットが無くなります。何十年前からある薬は値段下げられまくっていて儲けにもならないので、製薬会社は『もうこの薬、作るのやめようか……』となりますよね」と宋さん
- 「今年に入ってからは物価や光熱費がどんどん高騰しているのに、薬だけは値下げさせさせられている。インフレになって経費はかかるけど、収益は国に首根っこ抑えられている。製薬会社的には作らないで自衛するしかない、と」と宋さん
- 「風邪薬や咳止めなどの日常使いの薬の価格について、どう考えたらいいのでしょう? 一方で先進医療はすごく高いですけど」と畑江
- 「でも先進医療が効いて元気になる患者さんもいる。患者さんが少ないと、どうしても価格は上がりますよね」と宋さん
- 「風邪薬や湿布薬等は薬局でも買えますけど、同じものが医療機関だと3割負担で買えます。保健医療でないと買えない薬は保険負担にする、など考える余地があると思います。薬局にあるものが病院で処方されると安くなる仕組みがそもそもおかしいですよね」と宋さん
- 「このままだと破綻する仕組み、その一端がドラッグロスなのでは?『高い物=悪』という考え改めて、持続可能な制度を考えるきっかけにしてみてください」と宋さん
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イラスト/小迎裕美子
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宋 美玄 Song Mihyon
産婦人科医
セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/
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