宋美玄さんが出産一時金増額後の分娩費用の「便乗値上げ」を叩くマスコミに伝えたいこと【聴く婦人科診察室#113】

宋美玄

2023.08.28

音声

産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」、宋さんと元LEEweb編集長・現集英社デジタルソリューション部の畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。

今回は今年4月からの出産一時金増額後に岸田首相が方針を打ち出した分娩費用の「便乗値上げ」について、宋さんがフラットな目線で解説します。なんと今回の更新で一旦休止です（涙）、シーズン2をお待ちください！　宋さんへのご質問や番組へのご感想は、専用メールアドレス（fujinka@lee.hpplus.jp）宛にお送りください。

宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#113
今週のよりぬき

「2022年4月に不妊治療が保険適用になり、分娩費用も保険適用にしようと。政府はそれを少子化対策と言い張ってます」と宋さん
「妊婦健診は自治体によってチケット発券あり、出産後は健保から出産一時金が42万円出ていたのが、今年4月に50万円に増額しました。が、岸田首相が分娩費用も50万円に値上げする方針を打ち出し、マスコミはそれを『便乗値上げ』と叩いています」と宋さん
「うちのクリニックは分娩してないので当事者じゃないことを強調しますが、ここ6、7年でお産が2割以上減っています。そして昨今のあらゆるものの値上げ！　でもお産ができる体制は維持しなきゃならない。ので値上げは致し方ないかと思うんです」と宋さん
「あと、ネットを見ていて、保険適用＝無料と勘違いされてる方が多いのでは？と気づきました。保険適用では3割負担です。不妊治療が保険適用後、逆に持ち出しが増えたケースがありました。分娩費用についても同様のケースが発生しそう」と宋さん
「という訳で、結局今までとあまり変わらない。政府筋によると、保険適用は政府の出費を減らすのが狙いだそうです。まず支出を固定して、仕組みで産む人を負担する。そうなると産院は収入をコントロールできなくなります」と宋さん
「今回の保険適用が実現したら『お産をやめる』と宣言してる産院も少なくなありません。『保険適用は良いこと』と認識してる方が多いけど、保険診療全体を仕組みをわかりやすくして、解像度を上げていく必要があると思います」と宋さん