これからの時代、貯金だけを地道にしていれば安心、というわけでもなさそう。ここ数年で、投資について耳にする機会もグッと増えたのでは？
早く始めればそれだけ増える可能性大！未来を豊かにする「投資」の始め方を、ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さんに伺いました!
プロに聞く「老後資金」の不安解消
2000万円必要と言われていますが･･･
教えてくれたのは･･･
ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん
1988年より女性誌やマネー誌でお金の記事を執筆。1999年にファイナンシャルプランナー資格を取得し、執筆に加え、家計相談やセミナー講師も行う。著書に『ほったらかしで3000万円貯める！ お金と投資の超入門』（日本文芸社）等。
公式サイト：http://www.fpsakamoto.jp/
プロに聞く「投資の不安」01
元本割れ、損をするのが不安
Ａ 将来、物価が上がっていくと現金だけを持っているほうが損します
投資に関心があっても、始めていない、という人の中で多かったのが、損をしないか不安、の声。
「とはいえ、現金なら安心とは限りません。今100万円持っていても、物価が上がって買いたいものが105万円、110万円になると買えなくなりますよね。物価が上がると、現金の価値が目減りする＝損してしまうということです。株はインフレに強い資産と言われていて、物価上昇とともに資産も増える可能性があります」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
プロに聞く「投資の不安」02
始め方がわからない、何に投資をすればよいかわからない
Ａ 少額でいいのでとりあえず始めてみて。始めてみてわかることがたくさん
よくわからないからこそ、とりあえず始めてみることが大事だと坂本さん。
「買い物や遊びに1000円や1万円を使う感覚で、楽しみとして始めてみましょう。投資先を分散する投資信託なら、0円になることはないはず。一度買ってみれば、投資とはどんなものかが身をもって実感できると思います。まずは一歩踏み出してみてください」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
プロに聞く「投資の不安」03
だまされないか不安
Ａ 適切な投資を経験している人こそだまされないんです
投資というと、なんとなくだまされるイメージが根強いもの。
「詐欺などでだまされてしまうのは、正しい知識と判断基準がないからです。投資で〝絶対に儲かること〞はありえないのですが、その知識は適切な投資をすることでこそ身につきます。投資を経験すると、社会の仕組みがよくわかるようになるという側面もありますよ」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
なぜ投資する必要があるんですか？
社会的には
資金が必要な会社にお金を回すことで、素敵な商品やサービスが生まれ、より便利に→ 会社の利益の一部が返ってくる
投資をすることは、世の中にお金のいい循環を作ること。
「皆さんの中にも株式会社に勤めている方が多いと思いますが、会社で利益を上げて、従業員として給与をもらい、さらに投資家（株主）に利益の一部が還元される仕組みですよね。
そうしてお金がぐるぐると世の中を回って、よい商品やサービスが生まれ、より便利な世の中になるんです」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
個人的には
インフレ（物価上昇）リスクに備えて、将来の暮らしを守るため
投資は大もうけを狙うもの？
「むしろ〝暮らしを守るためのもの〞だと言えます。資本主義社会では物価が緩やかに上がることが基本。物価が上昇するときは株価はもっと上がっていることが多く、投資をしている人の資産が増えます。
それに対して、貯金だけの人は資産が目減りしてしまいます。投資をしてもしなくても今日や明日の生活には影響はありませんが、投資をしていればずっと先の暮らしは豊かになるはずです」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
坂本さんおすすめ！誰でも、少額から簡単に
すぐ始められる「インデックス投資」って？
株価指数などに連動するので少額で投資先を簡単に分散できる
適切な投資法のひとつとして、坂本さんがおすすめするのが、インデックス投資。
「日経平均株価などの〝指数〞（インデックス）に連動する運用成果を目指す投資法です。
通常は1つの銘柄を買うためには数十万円などの大きなお金が必要ですが、日経平均株価に連動するタイプのインデックス投資なら、少額でも225銘柄に分散投資できます。
そのほか、世界株式や先進国株式などに関係するさまざまな指数があり、指数を選ぶだけで簡単に幅広く投資できます」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
投資信託って？投資のプロにお任せできて幅広い商品に自動で投資
「投資信託とは、国内や海外の株や債券など、さまざまな金融商品に手軽に分散投資できる金融商品のこと。自分で一つひとつの商品を買うことは非常に大変ですが、投資信託なら投資のプロにお任せできて、100円、1000円、1万円などの少額でも世界中の株などに幅広く投資ができます」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
日本の代表的な株価指数（インデックス） 日経平均株価
日本経済新聞社が東京証券取引所プライム市場に上場する225銘柄を選定、その株価を使って算出する株価平均型の指数のこと
なぜインデックス投資がいいの？
値動きを予想する必要がなく、積み立ててほったらかせばよいから
株の値動きを予想して売買するなんて無理！ インデックス投資ならその必要がないんです。
「まず幅広い商品に自動的に分散投資できて、個別の銘柄を選ぶ必要がありません。また毎月自動積立にしておけば、右の表のイメージで、株価が下がったとしてもその時にたくさん買うことで利益が出やすくなります。しかもインデックス投資を長期で続けると、個別の株を売り買いするよりも、成績がよくなることが多いというのが投資の世界でのセオリー。ほったらかしでよくて、絶対ではないですが、成功する可能性が高いんです」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
積立投資を、毎月価格が変わるりんごを1000円分ずつ買うことに例えると…
400円×14.6個＝5840円
使ったお金は5000円なので840円の利益
安いときにたくさん買っておくことで、元の値段より下がっていても利益が出る！
のんびり続けよう！インデックス投資の始め方
１） 生活費6カ月分以上を貯金
まずは生活防衛資金として生活費6カ月～1年分を貯金。
「せっかく投資を始めたのに急にお金が必要になり、値下がりしているときに泣く泣く売ることは避けたいからです。
ただ、インデックス投資は早く始めて長く続けたいので、生活費6か月分が貯まっていなくても、貯金をメインにしつつ投資も少額で始めるといいですね」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
２） 証券口座を開く
つみたてNISAの口座も一緒に申し込む
手軽に始められるのがSBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券。
「店舗に行かず口座開設できますし、主要なインデックスタイプの投資信託がそろっています。証券口座開設と同時にNISA口座も申し込み、つみたてNISAを選びましょう。できればiDeCoの口座も開きたいですね」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
３） 投資信託を選んで、積立設定をする
iDeCoでは、定期預金や保険も選べますが、「今は超低金利ですし、お得とは言えません。せっかくなので投資信託を選びましょう。下記を参照して、投資信託を積み立てる設定を。つみたてNISAは、できれば年間上限額の40万円（月33000円ほど）で投資したいところ。一度手続きをすれば、あとはほったらかしでOKです」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
４） 少なくとも3年以上は積み立てる
投資は元本保証ではないので、相場によって増えたり減ったりするもの。
「絶対に避けたいのが、一時的に減ったときに、怖くなって売ってしまうこと。長い目で見てじっくり育てていくことが大切なので、まずは3年以上、できれば5年、10年と長く積み立てを続けていきましょう」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
月3万円の積立投資を15年続けたとすると……
※年利3%でシミュレーション（過去200年の株の平均リターンは年約6%）。貯金は金利0で試算。税金は考慮せず。
投資信託ってどれを選べばいいの？
よく知っている会社に投資したい人は 日本株50：先進国株50に
「日経平均株価に連動する投資信託と、資産を分散させるために先進国（アメリカ、イギリス、カナダなど）株式インデックスタイプの投資信託に半分ずつ投資する方法。日経平均株価に関係するのはソニーやトヨタ、ファーストリテイリング（ユニクロ）などよく知っている会社です」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
■投資例
「eMAXIS Slim 国内株式（日経平均）」「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」を月16500円ずつ積み立て
できるだけシンプルにしたい人は 全世界株式1本に
「簡単に、シンプルにしたいという人は、1本だけで世界中の株に投資できる投資信託を。日本はもちろん、アップル、アマゾンといったグローバルな有名企業の株に投資できます。
下記の〝eMAXIS Slim〞のほか、〝SBI・全世界株式インデックスファンド『雪だるま』〞がおすすめ」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
■投資例
「eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）」を月33333円ずつ積み立て
値動きを緩やかにしたい人は 株のほかに債券などにも投資できるバランスファンドに
「上記のように100％株式のタイプは値動きがそれなりに大きくなるため、不安な人は債券なども入ったバランス型もありですね。
下で紹介しているのは日本・先進国・新興国の株式と債券、日本と先進国のREIT（不動産投資信託）という8つの資産に均等に投資する投資信託です」（ファイナンシャルプランナー 坂本綾子さん）
■投資例
「eMAXIS Slim バランス（８資産均等型）」を月33333円ずつ積み立て
イラストレーション／taro 取材・原文／西山美紀
こちらは2022年LEE12月号（11/7発売）別冊付録『未来に自信がつくお金のイエローページ』に掲載の記事です。
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