明日の朝も早いのに、なかなか寝つけない。あるいは、眠ったと思ったのに、すぐ目が覚めた。
「寝苦しい……」。
どことなく湿ったふとん、気のせいか痒いシーツ、まくらのにおいも気になります。
夏の寝具周りって、どうしてこうも悩ましいのでしょう!
日々睡眠を上手に取れるかどうか、健康をじかに左右してくる大問題ですよね。
いよいよ気温、湿度が上昇してくる季節の寝具周り。快眠につながるケアのポイントを3つ、ご紹介したいと思います。
1・洗えるものはすべて洗う!
私たちはいつも眠りにつく際、無意識のうちにかく汗を使って自動的に体温を下げています。それに加えて夏は冬に比べて就寝環境自体の気温も高いため、就寝中を通して体温調節のための汗をかきやすい状態となります。
どんなに少なくても一晩でコップ1杯程度、人によっては1リットル近くもの汗をかくというのでその量にはびっくりです。そしてその多くは下着や寝間着を通して寝具に伝わってしまいます。
とくに汗をかきやすい頭部、首、背中、腰のあたりに、朝起きた時に熱と水分がたまってじっとりしている感じ。ああ、と思い当たる方も少なくないのではないでしょうか。
汗そのものは「汚い」ものではないにしろ、湿った布全般、細菌を繁殖させやすいのは洗濯物と同じ。洗濯されて綺麗なはずなのに長時間乾かせずにおくと、雑巾くさくなってしまうあのしくみです。
そして汗のみならず、眠っている間には、よだれも……。それらの水分に垢(皮膚などの常在菌)、ホコリ(空気中や床のカビ胞子)が付着すれば、異臭のみならずシミや異物感を寝具に生じさせてしまうわけです。
お子さんが粗相をしてしまえば、さらに言わずもがな!
寝具周り、あまり「洗う」ということを第一に考えにくいところかもしれませんが、ともかく「洗えるものはすべて」「夏の間、何度か洗う」という心持ちでいてください。もし、これから寝具を新調する場合にも、ぜひ「手軽に洗えるか否か」の優先順位を高く置いておくことをおすすめします。
まくらカバー、ふとんカバー、シーツ、綿毛布など洗いやすいイメージのもののみならず、すでに寝苦しさを感じているなら、とにかくまずは「洗濯・乾燥」。
掛けぶとん、敷きぶとん、ベッドパッド、まくら本体などの「大物」も、洗濯表示で可能ならばコインランドリーへ持ち込んでみましょう。決まった時間に、すっきり仕上がります。
またとくに暑さ、寝苦しさの中で取り入れることの多い吸水速乾や接触涼感を謳う化学繊維の上掛けやパッド類については、できるだけ頻繁に洗濯するようにしたいもの。
涼感のため毛細管現象などを生じさせることから、微細で特殊な繊維が用いられていることが多く、皮脂などが付着してしまうと期待する効果が発揮されないばかりか汚れがこびりついて嫌な臭いのもとになりかねないからです。
吸水速乾や接触涼感を謳う製品の洗濯の際には、せっかくの繊維をコーティングしてしまう柔軟剤は使わないほうが賢明です。洗濯用の洗剤も、就寝中ずっと吸ってしまうためできるだけ濯ぎ残りの成分残留のない、香料の少ないものを選びたいところです。
2・洗えないものは乾燥させる!
洗濯機の容量がいささか小さかったり、忙しすぎてどうしても洗えない、コインランドリーに行く時間もない。あるいは、洗濯不可!(要ドライクリーニングのもののみ)などの場合には、とにかく寝具周り全般「乾燥」させることを優先しましょう。
いやなにおいのもとになる細菌、知らず知らず生えるカビ、増えるダニなど、すべて「水分」「湿気」こそが元凶だからです。
まずは起き抜け、すぐにベッドメイクするのは絶対に避けて。掛けぶとんや毛布は剥いだかたちのままで空気にさらすか、椅子などにかけて「部屋干し」する習慣をつけましょう。
まくらも椅子などに立てかけるなどし、そこに数時間エアサーキュレーターの風など送れればなお良いでしょう。
住まいの環境が許すならベランダなどにふとんを干すのももちろんアリ。ただし急激な天候の変化が多い昨今、ゲリラ豪雨などに遭ってしまうとふとんが大変なことになるので、必ず在宅時に、また湿度の低い昼間の時間帯に短時間で済ませるのがポイントです。
ちなみに、夏の間ふとん乾燥機を使う際には、あまり熱がこもらないようにしたほうが夜の睡眠に影響しません。加熱よりも送風時間を長めに取った夏用のモードで必ず使用し、くれぐれも暑い日に熱いダニ死滅モードなどは使わないようにしましょう。
干したり乾燥機にかけたふとんは、表面を掃除機で吸って細かなホコリが残らないようにするのが「ちくちく」防止には必須です。
3・仕込めるシート、マットを活用する!
汗由来の湿気、気候の影響による湿気、湿気をためてじめっとしたふとんは快眠の敵。干したり洗濯したりと並行して、できるだけ寝具そのものから湿気を移動させ、乾燥しやすく、虫がわきにくくする「仕込み」も大切です。
おすすめはふとんサイズの「除湿シート」。敷きぶとんや、ベッドパッドの下に敷きこむことで、ふとんの湿気が床やマットレスにまで落ちないように吸い込んでくれます。ふとん干しの難しい住宅事情でも、シートのみを天日干しすることで除湿力が戻るため、繰り返し長期間活用することができます。
お子さん用など、ふとんが小さかったり、腰や背中だけ汗をかくような場合には、小さめのサイズの除湿マットを使用しても良いでしょう。
またマットといえば「ダニ捕りマット」も寝具に仕込んでおくとアレルギー対策に有効です。ダニはとくに暖かく湿りやすい頭の近くに潜みがちですが、足元にダニ捕りマットを仕込むことで足方面に移動させることができるのです。薬剤を使用しないタイプを選べばお子さんやペットが寝る寝具でも安心です。
ちなみに、ベッドの下などに水が溜まるタイプの「除湿剤」を置く人がいますが、あれは基本的に扉のついた収納部などの湿気を取る道具で、お部屋空間の除湿をするためのものではありません。
部屋全体の湿気が気になる場合には、まずは窓を開けての自然換気を。温湿度計を部屋に置いて、湿度60%を超えていたら50%台に落ちるまで風を通して換気します。
外出がちで換気が難しい場合には、除湿機を稼働させるのも一手。除湿機はタンクが細菌やカビで汚染されやすいので、溜まった水は必ず都度捨てるようにしましょうね。
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
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藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。
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