長らく超低金利の日本は不健全な状態!?
長らく低金利だった住宅ローン金利ですが、固定金利タイプの動向が気になってきました。
2月・3月にかけてローン金利が上昇したとのニュースを見た人もいるでしょう。
それにはアメリカが利上げに動いたことが影響しています。アメリカでは急激に物価高が進んだため、金利を上げてその加熱を抑え込もうとしました。
私たちは学校で、景気が良くなると金利を上げ、悪くなると金利を下げると習いましたね。
そう考えると、ずっと景気が上向かず、金利も上がらず、住宅ローン金利がずっと低いままの日本は、健全な状態とは言えないのです。
今も景気が良くなっているわけではないのに、アメリカの利上げの影響で、日本の国債の利回りも上がっています。そのため、長期金利(10年国債の利回り)に連動する住宅ローンの固定金利も上昇傾向となったのです。
この上昇を抑えるために日銀が国債の買い入れを行っており、どんどん上がる状況ではないのですが…。
多くの人が利用している変動金利は長期金利の影響を受けてはいませんが、「変動金利に先行して固定金利が上がる」とされているため、注視したいものです。
固定金利のメリット、変動金利のメリットとは
住宅ローンで固定金利を選ぶか、変動金利を選ぶかは、借りる人の考え方や家計の状況によって異なるでしょう。
固定金利は、なんといっても一定期間金利が変わらないのがメリット。
返済計画が立てやすく、金利の動きに一喜一憂したくない人は、固定金利を選ぶことが多いのでは。ただし、変動金利に比べると金利は高めになります。その差は、いわば「安心料」といったところでしょうか。
対して、変動金利は定期的に金利を見直す方式。
ずっと低金利ならいいのですが、借りた当初より金利が上がると返済額も増えてしまいます(ただし、5年間は返済額を変更しない「5年ルール」や、その際の返済額の増加は1.25倍までという「125%ルール」があるので、急激に返済額が増えることはありません)。
ただ、これまで変動金利は1%を切る歴史的な低金利が続いてきたので、「変動でも大丈夫では?」と考える人が多かったのです。
パワーカップルと称されるフルタイムの共働き家計で、変動金利で借りて住宅ローン控除を夫婦で目いっぱい受け、控除期間が終わったら早めに返済するというケースもよく聞きました。
そもそも、こんなに低金利なら無理に繰り上げ返済をしなくてもいいのでは、という声もあったほど。
しかし、これまでのような地面を這うような低金利時代はそろそろ終了するかもしれません。
金利は国内だけでなく、海外の状況にも影響を受けるもの。この先、金利は上がるのか、それともまた低いまま落ち着くのか。その動向には注目しておくべきでしょう。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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