失業給付を受け取れない期間が2か月→1か月に短縮

会社を辞めようかと悩んでいる人は、制度の面では4月まで退職を待った方がいいかもしれません。
4月から失業給付のルールが変わるからです。
会社を辞めても、失業保険(失業給付)がもらえるからとりあえず安心、と思っている人は多いかもしれませんね。ですが、自己都合で退職した場合、給付を受け取るまでにはしばらく期間が開いてしまいます。
手続きをしてから7日間の待期期間に加え、その後2か月の給付制限期間があるからです。それも、その期間内に求職活動等をするのが条件で、「しばらくのんびりしよう」というわけにはいきません。
失業給付とは、あくまで再就職の意思がある人を対象とするものだからです。
とはいえ、仕事が見つからないまま2か月以上もお金が入ってこないという状況は不安なもの。
そこで、2025年4月からは給付制限期間が2か月から1か月に短縮されることになりました(ただし、5年間で3回以上の自己都合でやめた場合は給付制限期間が3か月になる)。
給付制限なしで受け取れる場合もある

さらに、給付制限期間が解除になる条件も追加されます。
それは「離職期間中や離職日前1年以内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合」です。
これまでも、ハローワークの指示を受けて公共職業訓練等を受講した場合には給付制限が解除されていました。
4月からはさらに、自分で教育訓練を受けた場合も加わります。
この「教育訓練」とは、1年以上雇用保険に加入している人、あるいは離職して1年以内の人が利用できる「教育訓練給付制度」の対象となっているものが該当します。例えばファイナンシャルプランナーや保育士、管理栄養士など、さまざまな種類の講座が揃っています。
もし、会社を辞める1年前、あるいはやめてすぐにキャリア形成に役立つ教育訓練を受ければ、期間の制限なしで失業給付を受け取れるようになるのです。
「教育訓練給付制度」では受講費用の一部(特定一般教育訓練では受講費用の40%、上限20万円)が支給されるため、この制度を利用してキャリアアップにつながる勉強をしながら、制限期間なしで失業給付も受け取れるということに。
ただし、先に書いた通り求職活動は必須なので、受講がその妨げにならないような時間のやりくりが必要になるでしょう。
4月からの変更は自己都合退職を考えている人は朗報となりそうですが、制度を知らないばかりに損をしてしまった、ということのないようによく内容をチェックをしたいものです。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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