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LIFE

飯田りえ

NPO法人カタリバが、コロナで困窮する子供に学びの機会を支援

  • 飯田りえ

2020.08.21

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寄付についてどんなイメージがありますか?


これまでは大きな自然災害や震災の時に寄付をしてきましたが、クラウドファンディングが浸透してきたことによって、より身近になってきたと思います。オンラインで決済ができますし、何よりも「応援しています!」という気持ちを相手に直接届けられ、途中経過や結果報告が知れるのもいいですよね。自分の気持ちが少しでも手助けになれることが嬉しく、クラファンする機会が増えました。

また、お金を寄付するだけではなく、グッズやサービスを購入することで応援につながる購入型だと、自分も「ムーブメントに参加している」気持ちにさせてくれます。(今回のステイホーム中もドネーションTシャツが一気に増えました…!)

そんな中、認定NPO法人カタリバが、今まで以上に生活が苦しい子どもたちへ向けて、学びの機会を支援するあの子にまなびをつなぐ』プロジェクトを立ち上げました。これまで「子どもの貧困問題」と聞くと、報道の話や映画の中の話で終わってしまい…なかなか自分ごととして考えられませんでした。しかし、昨年末、(以前にこちらの記事でも紹介した)『子どもたちをよろしく』という映画に出会ったことで、少しずつ意識に変化がみられるように。そこで今回のプロジェクトについて、代表の今村久美さんにお話を伺いました。

生活の苦しい子どもたちへ、学びを届けるということ

『あの子にまなびをつなぐ』プロジェクトは、生活が苦しい世帯にいる子どもたちにパソコンやWIFI環境を無償で貸し出し、AI教材などを使った学習支援と大学生や大人のオンラインサポートを提供します。これらを長期的に支援しつつ、学習の習熟度を研究者たちとエビデンスを残し、今後の日本の貧困支援やICT教育につなげていくのだとか。学習用のパソコンを貸与するだけでなく、大人がサポートに入って学びにつなげ、貧困の連鎖を断ち切ろう!という壮大なプロジェクトなのです。

カタリバは2001年から活動を続ける教育NPOで「どんな環境に生まれ育っても、未来を作り出す意欲と創造力をつけられる社会」を目指しています。今村さんが教育の機会格差に気づき、大学卒業後に設立。以来、被災地や貧困家庭、過疎地などで、子どもたちへの居場所や学びを届け続けています。

今回のコロナ渦においてもその手腕は発揮され、2月末の一斉休校要請が出された4日後には『カタリバ オンライン』を開設。学校に通えなくなった全国の子どもたちに、安心安全な居場所や学習機会の場を瞬時に作り出すという、このスピード感には、目を見張るものがありました。(こちらの記事でも少しご紹介しています)その活動の中で、パソコンやタブレット、WIFI環境がない生活が苦しい環境にいる子どもたちは「オンライン上に入ってこられない」という問題が浮き彫りになり、今回のプロジェクトが立ち上がったのです。

今の日本の問題は「見えない貧困」と、それが知られていないこと

認定 NPO 法人カタリバ代表理事 今村久美さん:岐阜県高山市出身、79 年生まれ。慶應義塾大学卒。 2001 年に NPO カタリバを設立し、高校生のためのキャリア学習プログラム「カタリ場」を開始。2011 年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じて様々な教育活動に取り組む。「ナナメの関係」と「本音の対話」を軸に、思春期世代の「学びの意欲」を引き出し、大学生など若者の参画機会の創出に力を入れる。地域・教育魅力化プラットフォーム理事。中央教育審議会委員。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会文化・教育委員会委員。

冒頭でも触れましたが、貧困と聞くとどうしても「ニュースの中の話」という印象を受けてしまっていました。しかし、同じ子を持つ親としては、コロナによって生活がより苦しくなっている子ども達のことが気になりますし、このまま格差が広がり続けることは、日本の未来にとって良いことではないのは明らかで…。今村さん曰く、

「まず貧困には大きく分けて2種類あり、生存が厳しいぐらいの『絶対的貧困』と、国の大多数より生活水準や文化水準が貧しい状況にある『相対的貧困』(世帯年収が170万円ぐらい)があります。日本では7人に1人、ひとり親世帯では2人に1人の子どもが相対的貧困と言われています。今はファストファッションやファストフード、フリマサイトなどがありますから一見、『貧困』という印象は受けなくても、生活は苦しく、子どもの教育にかけられる余裕もないのです。それでも子どもの貧困の話をすると、よく『それって日本の話?』と思う人がほとんどですから、日本の貧困は見えにくく、理解がされていないのです。」

なるほど。貧困問題が身近に感じられない理由は、こういうところからもあったのですね。それにしても想像していた以上の割合で困っている子どもたちがいることに驚きました。今回のように学校という居場所がなくなってしまった時、学びの機会は一気に失ってしまいます。そうすると貧困の連鎖は断ち切れず、格差は広がる一方です…。

「ですので、今回はパソコンを手配するだけでなく、学びの『機会格差』を縮めることに着目しました。親子で研修会なども開催し、子どもにはカタリバ オンラインやAI教材で居場所を作ります。それを本人任せにするのではなく、大人が伴走し続けることの大切さを証明したいと思っています。どんな環境で生まれるかで、子どもたちの未来を決めないために」

学びの環境はもちろんのこと、そこに寄り添う大人の存在が大切だということですね。カタリバが大事にしている親でも先生でもない、友達でもない、違った視点をくれる「ナナメの関係」をここでも作り出そうとしているのがよく伝わってきました。

MEGUMIさん、一青窈さん、マザーハウス 山口絵理子さんなど、多くの著名人もプロジェクトに参加

また、今回のプロジェクトには、各界の著名人が設立発起人やドリームサポーターとして参加しています。このためにデザインされたオリジナルのグッズやオンライン講座などにも参加できるリターンがあるので、ビギナーにも入りやすい雰囲気。その甲斐あってか、開始2週間ほどで第一目標の1,500万を達成、8月末までに3000万円というさらなる支援の輪を広げていこうと邁進されています。

「見えない貧困が、日本で現実に起きている問題だということを、とにかく多くの人に知ってもらいたいのです。ですので、仲良くさせていただいている著名な方々にもチャリティでプロジェクトに参加してもらいました。」

丸山敬太さんはじめ、マザーハウスの山口絵理子さん、MEGUMIさんに一青窈さん…、チャリティグッズは全てボランティアで制作されていて、どれも気持ちがこもったデザインです。気になった方はサイトをチェックしてください!

見えない貧困が日本にはあり、さらにコロナによって、生活がより苦しくなる子どもたちがいるのであれば、社会全体としてみんなで少しずつ、支えてあう必要があるのではないでしょうか? そして学びの力によって貧困の連鎖を断ち切るためにも、多くの大人がまずは隠れた貧困について知ること。そして、支援の輪が少しでも広がればいいなぁと思います。私も「カタリバさんの活動を応援したい!」との思いがあり、プロジェクトに参加させてもらいました。8月31日PM11:00まで寄付を募集していらっしゃるので、共感された方はぜひ!

◆クラウドファンディングサイト「あの子にまなびをとどけるプロジェクト」

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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