山歩きにちょうどいい季節になりました。でも、親子での山歩きは、ちょっとハードル高いなと感じる人も多いかもしれません。そこで、ハイキングイベントなどを開催している「外あそびtete」の東麻吏さんに、子連れでの山歩きの基本について聞いてきました。
第2回は、服装や持ち物、当日の注意点などについて教えてもらいます。
服装はスポーツウェアなどで代用しても
相馬 山歩き初心者が最初に悩むのが服装や靴だと思います。子どもに最初から本格的なアウトドアウェアを購入することを躊躇する親御さんもいると思いますが、そんな時にはどうしたらいいのでしょうか?
東 標高差のある山を登る際には、急な天候や気温の変化により、体温を奪われることを防ぐために、速乾性や通気性の高いアウトドア用の素材を身につけるのが基本です。しかし、外あそびteteのハイキングイベントで標高差のない里山を歩く場合には、子どもは、スニーカーに動きやすい服装でいいとしています。スポーツ用のTシャツや、夏なら、海水浴の時に使うラッシュガードも速乾性があるのでおすすめです。
また、汗をかいたらすぐに着替えられるように、着替えは多めに持ってきてもらうようにお願いしています。朝夕と昼の気温差がある季節は、フリースのような防寒着を持っていくといいでしょう。
相馬 靴は普通のスニーカーでいいのでしょうか?
東 はい。子ども用のスニーカーで特におすすめなのが、アシックスから出ているゴアテックス素材のスニーカーです。防水性があるので、ぬかるみなどが多い里山を歩く時にも、これなら安心です。
相馬 では大人はどんな服装をすればいいでしょうか?
東 大人も基本は子どもと同じです。ただし、大人の場合、子どもよりも体重が重く、足に負担がかかるため、できれば、底が固く足首を固定できるトレッキングシューズのほうが疲れにくいと思います。また、歩くのに自信がない方やベビーキャリーを背負う方は、トレッキングポールもあったほうが楽ですね。
[服装の注意点]
- 標高差の無い里山を歩くなら、アウトドア用のウェアでなくても、動きやすい服装ならいい。
- 大人も子どももジーンズは避けよう(意外に動きにくい素材のため)。
- スポーツウェアなど、速乾性のある素材を選ぶとベター。
- 大人は、できればシューズは、底が固く足首を固定できるトレッキングシューズを。
- 汗や雨で濡れた時には、そのままにしない。
- 季節によっては体温調整できる防寒着を持参。
エネルギー切れを防ぐおやつも重要
相馬 では必ず持参する持ち物は?
東 レインウェアと食べ物、飲み物、着替え、救急セット、地図ですね。レインウェアは、アウトドア用の上下セパレートのものが理想ですが、普段使っているレインコートやポンチョなどでも最初はいいと思います。
このほか、私は万が一の時のために、ヘッドランプやエマージェンシーシート(体温を保持する銀色のシート)も、持参しています。
相馬 食べ物はどんなものを持っていくといいでしょうか?お弁当のほか、おやつも必要だと思いますが。
東 お弁当は普段通りの、子どもの食べ慣れたものを入れてください。山歩きでは、おやつも重要です。歩くとエネルギーをいつもより消費するので、休憩の時におやつでカロリーを摂取しないとバテてしまうのです。こちらも、子どもが好きなものを用意して下さい。
子どもの好きなお菓子などを何種類か混ぜて、ジッパー付きビニール袋などに小分けにして持っていくと、食べ過ぎることもなく便利ですよ。おやつは、子どもと一緒に選ぶといいでしょう。おやつの時間が楽しみになって、歩くモチベーションも上がりますから。
相馬 汗をかくので水分補給も大切ですよね。何をどれくらい持っていけばいいでしょうか?
東 母子2人で3~3時間歩く場合なら、350mlのペットボトル2本に、できれば子どもの水筒も本人に持たせるほうがいいと思います。中身は、ペットボトルの1本は水にしたほうがいいでしょう。もし転んだりした時に、傷口を流したりもできるので。
一気に飲みすぎないように、子どもの様子を見ながら少しずつ水分補給させて下さい。
[必須の持ち物]
- レインウェア(レインコートやポンチョでも可)
- お弁当、おやつ
- 飲み物
- 子どもの着替え
- タオル、救急セット
- 地図
東 持ち物について、もう1つ重要なことは、できれば子どもの荷物は自分で持たせるということ。無理のない大きさのリュックに、防寒着とおやつ、水筒を入れましょう。万が一はぐれた時にも、これらがあれば助けが来るまで待つことができます。
相馬 確かにそうですね。いくら高低差の無い里山でも、そういうことが起こりうるということですね。では、安全に歩くために、心がけたほうがいいことは?
子どもが必ず視界に入る距離感を保つ
東 活発な子だと、どんどん先に行ってしまうことがあります。そのため、絶対に親が見えない場所までは行かないことを、最初に子どもに言って聞かせ、親も目を離さないようにしましょう。大人が複数いる場合は、先頭と最後を大人が歩くほうが安心です。また、4~5歳くらいになれば説明すると理解してくれるので、危険な場所はきちんと説明するほうがいいでしょう。
相馬 子どもだと、転んで怪我をしてしまうこともよくありますよね?
東 軽い擦り傷程度なら、親がケアしてあげればいいですが、その時に、ちょっとした怪我でもきちんと手当してあげることが大切かなと思います。というのも、慣れない場所で転んだりすると子どもも不安になってしまいます。親がきちんと手当してあげるだけで子どもは安心するものです。
標高差の無い里山を歩くなら、基本を押さえればそれほど難しくはなさそうですね。基本を守って、安全な外遊びを楽しんで下さい。次回は子連れ山歩きにおすすめのフィールドを教えてもらいます。
※画像提供:外あそびtete
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登山ガイドの栗田朋恵とフリー編集者の東 麻吏によるアウトドアユニット。子どもと一緒に自然遊びをしたいけれど、どうすれば?という母親や父親に、最初の一歩を踏み出すお手伝いができればと結成。「母による母(父)のための自然あそびワークショップ」を開催している。鎌倉、逗子の親子ハイキングイベントを中心に、ハイキング講座、都市公園でのネイチャーゲームなども。
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相馬由子 Yuko Soma
ライター
1976年、埼玉県生まれ。夫と7歳の娘との3人暮らし。編集プロダクション、広告系出版社を経て独立。ウェブ、雑誌、書籍などで編集、執筆を手がける。最近では、子育て、アウトドア、旅、食などのテーマを担当することが多い。合同会社ディライトフル代表。