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LIFE

令和のPTA、進化しています!

“やらされ感”という呪縛を取り払ってみたら...

「PTAが地域とつながれるチャンスに」大学教員の遠藤晃弘さんの考える理想のPTAとは?

2024.04.09

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声に出せば、行動すれば
ちょっとずつでも変わる!

みんなのPTA奮闘記

昭和の時代から脈々と引き継がれてきたPTAのルールややり方に、これおかしくない?と疑問を感じ、それぞれのやり方で、よりよいほうにと動いた遠藤晃弘さんにインタビュー。理想のPTAとは、どんな形なのでしょう?

PTAは地域の力を活性化する可能性も秘めている

大学教員

遠藤晃弘さん

遠藤晃弘さん

3児の父。自身も上ノ原小学校、神代中学校を母校とする。両校のPTAで使っているグループ運営アプリ「Hi!(ハイ)」は無料でダウンロード可能。(https://hi.open-dna.jp/

実は多くの保護者が、学校へのサポートに好意的

現在、お子さんが通う東京・神代中学校でPTA会長として活動する遠藤さん。PTAとのかかわりは、当時お子さんが通っていた、上ノ原小学校の頃から。

「そもそもわが家も、かかわらなくていいならかかわりたくないというスタンスだったんです。ところが小学校のくじ引きで委員となり、思いがけず副会長までやることになってしまって……さらに子どもが中学校に進学すると、どうしてもなり手がいないということで、今度は中学校のPTA会長も引き受けたという状態です」

小学校の副会長時代に感じたのは、“やらされ感”という呪縛を取り払ってみると、実は「学校をサポートしたい」と思っている人が予想以上に多かったこと。彼らを怯(ひる)ませていたのは、PTAという団体に対するネガティブな先入観。「一度手を貸すといろいろ強制されそう」「忙しいのに、やたら会合に招集されるのでは」……。そこで当時の上ノ原小学校では、すべての活動をエントリー制にすることを決断します。

「同じ学校の保護者でアプリの開発をしている友人がいたので、彼にそのシステムづくりをお願いしました。『今度、学校で○○があります。お手伝いできる方いますか?』と呼びかけると、気軽にエントリーできる仕組みです。皆さん、希望しての活動ですから楽しんでくれるし、言い換えれば希望者がいない役割は、継続の必要性をもう一度見直してみるべきなんですね。このシステムにより、うちの小学校のPTAに関するイメージは大きく変わりました」

会長を務める中学校でも、“希望者による活動”は踏襲。前向きな人々が集まった結果、活動も活発化しています。

「学校と協力して、進路に迷う子どもや保護者に向けたイベントを開催できました。また、役員でない保護者から起立性調節障害に関する映画上映会の提案をいただくなど今までになく会員同士で意見を言いやすい空気が生まれました」



入会の意思確認には、課題もまだ多くある

実は昨年度から、PTAの仕組みが変わった神代中学校。

「まず、入会の意思確認をきちんとやろうと。活動に納得したうえで会費を払ってもらい、会員はみんな、子どもたちを支えるサポーターになる。その中で、委員は立候補で募るという形です。結果、うちでは9割が入会となりました」

ただ、遠藤さんとしては、この選択が本当の意味で正しかったのかは、正直迷いがあるそう。

「この先、加入者が7割、6割に落ちていくかもしれない。それは個人の選択の自由という意味では正しいとは思うのですが……“入る派”“入らない派”に分断されてしまうのは、どうなんだろうと。PTAというのはそもそも、同じ学校に子どもを預けている保護者と教員が、みんなで学校のために話し合いましょう、という場なんですよ。その目的自体はよいものだと思うし、そこで保護者が分断されてしまうのは残念なことだと思うんですね。

あと、これはおまけ的なことですが、拾えなくなったマンパワーがあるのも事実。『委員をやってみたら、意外に楽しかった』なんてことも、実はよく聞くことなんですよね。これまでかかわることがなかった人たちとのつながりができるし、それがこの先長く地域で暮らすうえで心強い存在になることもあるはずで」

親世代が地域でつながることの重要性

PTAは、学校を通して地域とつながった組織という側面も持っています。

「コロナ禍以降、社会を支える共同体がどんどん空洞化、弱体化していると言われています。そう考えるとPTAというのは、子どもをキーワードにして、みんなが地域でつながれるチャンスを持った集団であるとも言えるんですよ。子どもが同じ学校に通っているというのは強烈な共通項だと僕は思っているし、この強いつながりを持つはずの共同体が協働できないとなると、街づくりはもとより、それこそ災害などがあったときに、難しい局面を乗り越えられない気もするんです。

今後、学校をサポートする力は、PTAという保護者と教員だけの組織にとどまらず、地域全体を巻き込んだもっと大きな集団となる可能性にも期待しています。地域に暮らす保護者たちが学校を中心に集まるって、これからの社会にとっても大きなプラスになると、僕は考えています」

私がやったこと、続けたいこと

  • “希望者が楽しく活動”を軸にしたシステムづくり
  • 地域を動かす共同体としてのPTAのあり方を考える

Staff Credit

撮影/柳 香穂 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「令和のPTA、進化しています!」に掲載の記事です。

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