LIFE

令和のPTA、進化しています!

「PTA」をよりよいほうにしていきたい!

「PTAの本来あるべき姿って?」PTAに詳しいジャーナリスト大塚玲子さんに伺いました

2024.04.07

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声に出せば、行動すれば
ちょっとずつでも変わる!

みんなのPTA奮闘記

昭和の時代から脈々と引き継がれてきたPTAのルールややり方に、これおかしくない?と疑問を感じ、それぞれのやり方で、よりよいほうにと動いた大塚玲子さんにインタビュー。理想のPTAとは、どんな形なのでしょう?

PTAを、本来あるべき自由な団体にしていきたい!

大塚玲子さん

教えてくれたのは…

大塚玲子さん

ジャーナリスト

PTAなどの保護者組織や、多様な形の家族についての取材、執筆を続ける。新刊は『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)。



意思の確認もなく、会員になっているのが問題

大塚さん自身、学年代表を4回、さらに卒業対策委員など、PTAの活動を多く引き受けてきました。特に、PTAそのものを否定しているわけではないと話します。

「私が考えているのは、とてもシンプルなこと。“やりたい人が、自分の意思で参加する団体”として活動しましょうよ、というだけなんです。現状、PTAって都合よく誤解されていることが多いと思うんですね。入学すれば、入会が義務だと思っている人が多いでしょう。まずその誤解を解いたうえで、あなたはPTAに入ろうと考えますか?と問いかけることから始めたいんです」

大塚さんが役員となったときにまず実行したかったのは、間違いなく改革の大きな一歩となる、全保護者への入会の意思確認。それができれば、あの悪名高き“新年度の委員選出の重い空気”もなくなるはず。なぜなら、その場には「やりたい」と思っている人だけが集まっているはずだから。

「PTAの本来の形って、そういうものだと思うんですよ。ただ現状、入会の意思確認という簡単なことすらハードルが高い。不思議と多くの学校が、慣例を変えることを嫌がるんですね。結果、何も事態は変わらずに、やりたくない人がいやいや委員を引き受ける羽目になり、委員をやらなかった人を“ずるい”という目で見るようになる。保護者同士の関係にも悪影響を及ぼすし、いらぬトラブルの原因にもなっていると思うんですよね」

敵は具体的なものではなく、旧態依然とした“空気”

息子さんの小学校の卒業式では、卒業対策委員として活動した大塚さん。恒例となっていたPTA学年長の謝辞を廃止しました。さらに中学校や高校では、PTA入会の意思確認を呼びかける活動を実施。ただ、そこでぶつかった壁は具体的なものではなく、もやもやした“空気”。確固たる意志を持って臨もうと思っても、その旧態依然とした「余計なことをしてくれるな」という空気に、常に押し返されるような感覚に悩まされたと言います。

「向かうべき問題が具体的でないだけに解決策が立てられず、すごくもやもやしたんですね。今の保護者はただでさえ忙しいのに、意に沿わない活動までさせられて疲弊している人が多い。本当は、『この時間をほかのことに使いたい』と思っている人もたくさんいるはずなのに、そのリアルな思いが届かない。これは、私個人で活動してもどうしようもないな、と実感しました。

自分がかかわるひとつの学校が変わったとしても、私の子どもが卒業したら、私自身はもうそこにかかわることはできない。実際に、わが子が通った高校のPTAでは入会意思の確認が行われるようになったけれども、今でもそれが本当の意味での意思確認になっているのか、あるいは形骸化しているのかは確認しようがないし、口は出せませんから」

たった一人で声を上げて、長く続いてきた組織を変えるのは、正直難しいこと。

「それを痛感していたので『この社会の空気自体を変える』ことに集中したほうがいいのではと考えて、さまざまな学校を取材して、それを発信するということを続けてきました」

さまざまな学校を取材して、それを発信するということを続けてきました

PTAに泣くのではなく、楽しめる場になるように

大塚さんが目指すのは、みんながPTAをもっと柔軟な組織としてとらえられるようにすること。本来は任意団体なのだから、入会も退会も自由。やりたいことは会員みんなで決め、むだな活動は省いていく。これは、社会生活では実に当たり前のことのはず。

「それが不思議と、PTAに関しては長らく治外法権になっている。私が『PTAって本来、もっと自由な団体なんですよ』と発信することで、『うちの学校も変えていいんだ』『もっと効率的になる提案をしよう』と、気軽に動ける流れが生まれればいいな、と思っています。PTAに違和感があるなら、それを見て見ぬふりはせず、ほんのちょっと、声を上げるだけでもいいんです。同じ学校の保護者でつらい思いをしている人がいるなら、それを解決するのは当然のことだと、みんなが思えるように。最近ようやく、全国的にPTAの活動が多様化してきたなと感じます。この流れがより大きくなり、皆さんそれぞれのあり方を考えるきっかけになればと思います」

私がやったこと、続けたいこと

  • 中学校、高校のPTAで、入会の意思確認を提案
  • こんなPTAもあるよ!と、さまざまな取材事例を発信

Staff Credit

イラストレーション/pum 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「令和のPTA、進化しています!」に掲載の記事です。

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