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【窓の結露対策】悩ましい「結露」撲滅の為にやること・やめること!

  • 藤原千秋

2024.02.19

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「曇りガラス」という言葉にはちょっぴり”エモ”の気配があるものの、「水滴でびしょ濡れのガラス」となってはウンザリするばかり。この窓ガラスを水浸しにする結露水は冬あるあるの風物詩…のようではありますが、じつは「結露」と無縁に暮らすことは可能なんです。

それは、いったいどんな方法なんでしょうか?

そもそも「結露」は、なぜ出現する?

結露

冬の結露は、室内の温かい空気が、外気に冷やされた窓ガラスなどに触れて冷やされ、室内の空気に含まれていた水蒸気が、ガラスなどの上で「水滴になってしまう」現象です。

冬じゃなくても、結露は夏のカフェのアイスコーヒーのグラス上で発生したりもします。垂れた水滴を吸い取るコースターがないとテーブル上がびしょびしょになってしまうアレと、窓ガラスがビチャビチャになってしまうアレは同じだということです。

結露 アイスコーヒー

室内の空気に含まれている水蒸気の量が多いほど、室内外の温度差が小さくても、その境で水に戻ってしまいやすいというのも、押さえておくべき性質でしょう。
この「空気に含まれている水蒸気の量が多い」状態を「湿度が高い」と言います(※湿度には「絶対湿度」と「相対湿度」があり異なる意味をもちますが、本稿では言及しません)。

どうしたら窓の「結露」を撲滅できるの?

そんな結露と無縁になる住まいや暮らし方のためには、一体何をしたらいいのでしょうか?

一戸建てか集合住宅か、築浅か築古か、低層階か高層階か、外断熱か内断熱か、単層ガラスか複層ガラスか、家族数は少ないか多いか、住み手は年少者か高齢者か、自炊がちか外食がちか、風呂は沸かすかシャワーのみか……
建物自体や暮らし方などの条件に左右されるところはありますが、以下の「Do!」と「Don’t!」を、あわせてぜひ試してみてください。



Do!

窓の「結露撲滅」のために、やってみるべきこと

1 温湿度計の設置をする

何より、家の中の温度と湿度を、正確に測って確認するのは、湿度コントロールの基本です。
(相対)湿度がすでに50%あるのに、それ以上加湿するのは無意味かつ害だと心得てください。

厚生労働省の 「建築物環境衛生管理基準」によると、適正湿度は「40%以上70%以下」。
一般的な住まいだったら「相対湿度45%~65%」くらいにととのえておけばOKで、少なくても45%くらいあるならば、加湿は不要ということです。

☑2 換気をする

外出で家を不在にするなら、浴室等の「24時間換気扇」を稼働させたままにするのは基本として、トイレ、キッチンなどの換気扇も「常時換気」にセットして出かけましょう。住まいの吸気口も開いておきましょう

在宅している場合でも、窓を二箇所以上開けての「自然換気」の時間を2時間おきに10分程ずつ行います。湿りすぎた部屋の空気を屋外に逃がすことで結露が起こりにくくなります。

3 「エアサーキュレーター」で家中の空気を攪拌する

暖房をかけている部屋、そうでない部屋。結露の起こりやすい窓、そうでない窓。家の各所で空気の温度・湿度の偏りはありませんか? この偏在が結露の元になるんです。

小型でいいのでエアサーキュレーターを住まいの各所に設置することで家中の空気を攪拌することを試みてみましょう。特に結露のひどい窓ガラスには四六時中、弱風でも風を当て続けていると湿気を含んだ空気の滞りが減るので、結露しにくくなる効果があります。

4 「断熱カーテン」をプラスする

ホームセンターなどでは、レースカーテンとドレープ(厚手)カーテンに加えて、(カーテンフックに引っ掛けるタイプの)「断熱カーテン」が市販されています。
これにより窓周りの空気の層を一段増やすことによって、温かい空気が直に窓ガラスに接することを防ぎ、結露の発生を予防できます。予想以上に部屋の中も温かくなるうえ、さほど高価でもありませんので、試す価値大です。

☑5 窓などに断熱素材を貼る簡易的なDIY

窓を開けていないのに冬、「隙間風」を感じることがあります。築古の住まいでは実際に壁や窓の隙間から風が入ってくることが皆無ではないにしろ、比較的築浅の戸建てやマンション等、気密性の高い住まいにおいては「コールドドラフト」という、冷たい窓の前で冷やされた部屋の空気が壁伝いに床に下降してきたのを、風のように感じる現象が考えられます。

結露ともにコールドドラフトを予防できるのが、窓など開口部の前に「プラダン」「発泡スチロール板」「EVA樹脂によるジョイントマット」を貼るという簡易的な断熱DIYです。
冬の暖房による熱の半分近くは窓から逃げていくと言われています。ホームセンターなどで窓枠のサイズに裁断したプラダンや発泡スチロール板を、寒さを感じる窓に両面テープで貼り付けてみると、驚くほど熱が逃げず、暖かいことに気づきます。案外光も通すので明るいです。光を通さなくてもいい部分は、床敷きに使うジョイントマットを貼り付けるのも一案です。

Don’t!

窓の「結露撲滅」のために、やめてみるべきこと

☑ 加湿器の稼働を止める

「加湿しない」だけで結露がパッと消えることがあります。どうしても加湿しないと乾燥しすぎるのではと不安だったら、<やってみること>⒈の「温湿度計の設置をする」で、ぜひその部屋の湿度を細かくチェックするようにしてください。

洗濯物を部屋干しするだけでも湿度は一気に上昇しますし、最新式のエアコンでは勝手に加湿してくれて、加湿しすぎになっていることも多々あります。

ちなみに筆者宅でも、加湿器を止めただけで毎年悩んでいた結露が嘘のように消え、以降10年近く加湿器を稼働させていませんが特に問題は生じていないので、ご参考まで…。

結露した窓

私たちはとかく、冬は「部屋の湿度を高くしなければいけない!」と思いがちです。
だって乾燥は、美容の敵でお肌カサカサになるし、あのインフルエンザウイルスをも活発化させるっていうじゃないですか? 健康のためにも「うるおい」って大事! だから、加湿すべき!
一理はあります。

でもそうしていて、もし「常に窓ガラスが水滴でビショビショ」な状態だとしたら、逆に結露による害やデメリットについても思いを馳せておく必要があります。結露水に限らず「水」は住まいを傷めこそすれ、全くメリットがないからです。

水は住まいの各所で異臭の元になり、腐朽を促す細菌を育てます。カビ、時にはキノコを生やし、ダニを育み、ゴキブリの水場になり、家を倒しかねないシロアリを呼び寄せます
カビ、ダニが増えれば、住む人のアレルギー疾患も招きます。カビは肺炎の原因にすらなります。

住まいを潤しすぎると健康まで害してしまいかねないのです。


LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住生活ジャーナリスト、ライター

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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