安かった新ジャンルが狙い撃ちに!?
様々なものの値上がりが止まらない今、気になるのが10月の酒税改正です。
特に、ビール系飲料の税率改正は、宅飲み家計に大きな負担となりそう。
ビール系飲料は麦芽の比率や主原料に応じて、ビール・発泡酒・新ジャンル(第三のビール)の3分類に分かれています。そもそもビールの税率が高かったため、税率をもっと低く抑えられる発泡酒・新ジャンルが開発されました。
税率が低い分、販売価格も安くできるため、庶民の味方などと呼ばれたのですね。手元にあるスーパーのチラシを見ても、350mlビール6缶パックは1069円、新ジャンルだと709円です(いずれも税抜き)。この金額の差は大きいですよね。
ところが、国はこの3つの税率差について、こんなことを言っています。
『類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、税収中立の下、酒税改正を実施します。』(財務省HPより)。
つまり、税率の低い新ジャンルばかりが売れて、ビールが売れないのは問題がある。だったら、税率も公平であるべきだというのでしょう。
とはいえ、安いモノが売れるのは当たり前で、難癖をつけられているような気もするのですが…。
そんな理由で国はビールの税率を下げ、新ジャンルは上げ、2026年にはすべての税率を統一するとしています。
具体的には、どう変わるのでしょうか。
9月末は駆け込み購入が想定される
現在の酒税は350ml換算で、ビール70円、発泡酒46.99円、新ジャンル37.8円。
酒税改正は2020年10月にも行われ、その時はビールが7円下がり、新ジャンルは逆に10円近く上がりました。
2023年10月の改正ではビールが63.35円に、新ジャンルは46.99円と発泡酒と同率まで上がる予定です。
これって、どう見ても安い新ジャンルの狙い撃ちですよね。そもそもビールが高くて手が出ないからと懐に合わせて新ジャンルを買っていた庶民は、はしごを外された気分です。
3つのビール系飲料の税率が統一された暁には54.25円となりますが、もともとの新ジャンルが28円だったことから考えれば、2倍近い値上げになるのですから。
前回の2020年10月では、かなりの駆け込み購入が見られました。今回もそうなるでしょう。
ただし、販売価格は販売店によって、また時期によっても細かく変動します。9月末が迫るほど、じわじわ高くなっていく可能性が。もし、買いだめを考えているなら、お早めにご購入を。
ただし、ストックがあるほど気が緩んで消費してしまうのが人の常。せっかくストックを買ったはずが。早々に飲んでしまった――なんてことにならないよう気を付けて。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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