冬の暖房費にびっくり仰天してから早半年が過ぎ、そろそろ冷房が不可欠なシーズンがやってきます。そもそもなぜこんなに電気代が値上がりしているの? どうしたら節電できる? プロのアドバイスを参考に、お手頃に涼しさをキープして暑い夏を乗り越えましょう!
お話を伺ったのは
消費経済ジャーナリスト 松崎のり子さん
雑誌編集者として、20年以上マネー記事を担当。消費者の目線でリサーチや取材を続け貯蓄、節約のアドバイスを行う。LEEwebの連載「松崎のり子さんの知らなきゃ損する『お金の話』」が好評。
今後は大手電力会社の規制料金も値上がりの可能性大!
「電気代の値上がりの背景には、世界的に環境負荷が少ないLNG(液化天然ガス)の需要が高まっていたところへ、ロシアとのLNGの取引が制限されたことに大きな要因が」と松崎さん。産油国も原油の生産を制限し、国際的なエネルギー不安が蔓延、日本は円安もあって、価格は一気に高騰……。
「私たちの電気代には、燃料費が上乗せされるため、昨年は電気代が上がったというわけです。それでも大手電力会社の『規制料金プラン』には値上げの上限があったので打撃は最小限に。制限のない新電力会社の『自由料金プラン』は、値上がりを痛感した家庭も多いはず。当分は政府から電力会社への補助金が適用されますが、あくまで一時的な補填。今後も電気代が上がる可能性は高いです。熱中症対策もあるので、過度な節電はよくありませんが、少しでも効率よく電気を使う知恵や工夫をみんなで出し合う必要がありますね」(松崎のり子さん)
電気代が値上がっている要因は主に2つ
原油価格の国際的な高騰
環境負荷の少ない天然ガスは世界中からニーズがあるなか、ロシアの天然ガスの取引が制限。いっぽう原油の生産も絞られ、国際的な価格が一気に高騰。
電力会社がコストを上乗せ
「燃料費調整制度」によって、高騰した燃料費が電気代に上乗せ。「規制料金プラン」には5割の上限があり、新電力会社の「自由料金プラン」は上限なし。
今後の電気代はどうなる?
大手電力会社の電気代もおよそ15〜40%値上がりの見込み
政府の電気料金・ガス代への支援は継続されますが、一時的な措置となります。一方で6月からは大手電力会社7社の規制料金が約15〜40%値上げとの報道も。
※この記事の内容は2023年5月22日時点の情報です。
LEE100人隊にアンケートで調査をしたところ、電気代の値上がりに不安を感じながらも賢い節電術を実践中。でも、見直しが必要なこともあるので、松崎さんのアドバイスを参考に!
松崎さんに教わる
夏の電力まめ知識
消費電力の大きい家電はエアコン、冷蔵庫、照明!
資源エネルギー庁によると、夏の消費電力の大きい家電はエアコン、冷蔵庫、照明。この3つの使い方を意識することで、効率のよい節電対策に。ほかにも、温水洗浄便座などの365日通電しているもの、浴室乾燥機のように熱を生むものは電力を使う設備の代表です!
- サーキュレーターで部屋全体に冷気が届くように併用している。2階がリビング部分で、1階から3階まで階段部分が抜けているので、冷気が下に逃げないよう、1階と2階部分の階段にロールカーテンをしています。(No.049 おみかんさん)
松崎さん’s comment
冷気を逃さない工夫が◎。加えて遮光もぜひ!
風の流れを作り、効率よく冷気を逃さない工夫がいいですね。加えてカーテンやすだれなど、遮光をして室温を上げない対策もぜひ。
- エアコンは自動運転モード、風向きは下がよいと聞き実践しています。(No.008 すずさん)
松崎さん’s comment
夏場は風向きを平行に! 下向きは冬におすすめ
自動運転モードは過剰な冷却を防ぎ、省エネ効果が高いので◎。ただし冷気は下にたまるので、冷やすときは風向きを平行に!
- エアコンが稼働し始めるとき一番電気代がかかると聞いたので、冷房ではなく「除湿27℃〜28℃」に設定して一定時間連続してつけるようにしています。夏場の夜(真夏は避けていますが)は複数箇所で窓を開けて、扇風機を回すと体にも負担が少なく電気代も抑えられます。(No.007 もりおさん)
松崎さん’s comment
除湿と冷房、どちらが電力を使うかは、除湿方式で異なります
一定時間連続してつけるのはOK。ただし、除湿のほうが節電効果が高いわけではありません。気温の高い日は冷房を、ジメッとするときは除湿と、使い分けて。
- エアコンのフィルターが目詰まりすると電気代が上がるようなので、よくエアコンを使う時期はこまめにフィルターの掃除を行う。電気代も上がるし健康にも悪いので、エアコンの設定温度を下げすぎないようにしています。(No.081 springさん)
松崎さん’s comment
フィルター掃除は節電の効果が絶大。フル活用の前にお手入れを
エアコンの効果を最も妨げるのが、フィルターの汚れです。外側から手軽にお手入れできるフィルターはこまめに、内側は業者に依頼するのもアリ!
- 在宅ワークが増えて、日中の電気代が増えました。これから夏場は特に心配。夫と私、別々の部屋で仕事をしているのでエアコンは2台をフルに使っています。おすすめの節電術があれば教えてください。(TB さりいさん)
松崎さん’s comment
外部の人と話す会議や電話以外は、一室に集合するなどの工夫を!
働き方によって難しいケースもありますが、午前や午後だけなど、短くても一室に集まって仕事をする時間や環境を作れると、大幅な節電につながります。
- 夜、洗濯して浴室に干しておきます。乾燥に時間がかかりますが、浴室に干して換気だけしておき、朝、浴室乾燥機を回すと20分弱で乾きます。(TB 季絵さん)
松崎さん’s comment
浴室乾燥を最小限かつ効率よく使う賢い方法
広い空間に熱風を出す浴室乾燥機は電力を消費する代表格です。換気で一晩自然乾燥させ、仕上げに短時間使うのはいい節約法です。
- 洗濯機がだいぶ古くなってきたので、買い替えを検討中! 長い目で見たら節電に!(No.029 みこさん)
松崎さん’s comment
長い目で見ると、最新の家電の導入はいい選択
洗濯機や冷蔵庫など使用頻度の高い家電は、省エネ性能が高いものへの買い替えが節電に効果大。ただし本体価格も高いので慎重に。
- お風呂上がりはスイミング用の吸水性の高いタオルでみんなの髪の毛をふいて、ドライヤーの時間を短縮しています。(No.007 もりおさん)
松崎さん’s comment
ドライヤーは時短で使うのが何より節電に
ドライヤーは電力を消費しやすい家電なので、長時間使い続けない工夫を。髪の水分を吸水しておくひと手間で節電効果アップ!
- なるべく省エネの家電を使う。今使っているオーブンレンジは使うたびに電気代が出るので、意識が高まります。(TB ゆめいさん)
松崎さん’s comment
電気代の内訳を知ることで意識が変わる!
リアルタイムで消費電力量をチェックできるスマート家電もあります。数値化できると家族の意識向上にもつながりやすいです。
- 夜間(23時~7時)の電気料金が安いので、食洗機のタイマーを23時以降に合わせる、起きて7時までにお弁当作り、晩ごはんの準備まで終わらせる。(No.018 キッキさん)
松崎さん’s comment
生活スタイルに合った料金プランの活用を
夜間電力が安いプランを有効に活用する賢いテク。ライフスタイルに合わせたさまざまな料金プランを検討するのも一案ですね。
- ソーラーパネルを設置しています。(No.083 nattiさん)
松崎さん’s comment
パネルの価格と設置できる面積で検討を!
各自治体が補助金に力を入れているので導入のチャンス。ただし屋根の大きさや立地によって発電量は変わるので注意!
イラストレーション/伊藤美樹 取材・原文/田中理恵
こちらは2023年LEE7月号(6/7発売)「夏の電気代、なんとか安くしたい大作戦」に掲載の記事です。
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