高額療養費制度の対象外になるのは?
前回「マイナンバーカードを保険証として使うと、何が便利なのか」というテーマを取り上げましたが、中でもメリットとして大きいのは「高額療養費制度」の利用が楽になる点でした。
おさらいをすると、私たちが多額の医療費を払うことになった場合、自己負担する金額には年齢や所得に応じた上限が設けられています。
もし、支払う医療費が上限を超えてしまった場合は、自分が加入している公的健康保険(会社員なら勤務先が加入している健康保険組合や協会けんぽ、自営業なら自治体の国保など)に申請すれば、負担した額との差額を支給してくれるのです。
ただし、その支給までには3か月程度かかってしまうことも。そこで、事前に「限度額適用認定証」を申請して病院に提示すれば、自己負担金額までの支払いで済むのです。
とはいえ、急な入院などで事前に申請手続きができないこともあるでしょう。
それがマイナ保険証を使えば、認定証がなくても同じく上限までの支払いが適用されるというのが政府の説明です(現時点では病院側の対応が追い付いていないようですが)。
うれしい機能ですが、実は入院しても高額療養費制度の対象にならない費用もあります。それを見ていきましょう。
入院中の食事は医療費に該当しない
まず、入院中に出される食事は、医療費にはカウントされません。
私も先日、1泊2日で入院をしたのですが、昼・夜・朝の合計3食が出されました。一般の入院患者の場合、一食あたりの負担額は460円で合計では1380円です。
最近では入院の短期化が進んでいますが、もし1週間も入院するとそこそこの金額になりそうですね。
また、差額ベット代も高額療養費の対象外です。
有料の個室を希望した場合、1日当たり数万円かかる場合も。この費用が心配で入院給付金を受け取れる医療保険に入った人もいるでしょう。
ただし、個室に入ったら必ず差額ベット代がかかる、というわけではないのです。
「有料の個室を希望した場合」とあるように、患者は望んでないのに個室しか開いていなかったなど病院側の都合であれば、差額を負担する必要はありません。
私の体験では、入院が決まり、その手続きする際に、まず病室の希望を聞かれます。それも第二希望、第三希望まで聞かれるので、「無料の病室があいていなかったら、有料の病室でもいいです」と言ってしまうと、それが「患者が希望」となるのです(もちろんこれだけではなく、同意書にサインするのですが)。
ここがなかなか難しいのですが、私の場合は「第一希望は無料、第二は有料でも仕方ないですが、個室ではなく安い病室にして下さい」とお願いします。そのせいか、これまで有料の病室になったことはありません。
むろん、療養面を考えるとゆっくり休める個室のほうが安心ですし、お金だけで判断すべきでもないでしょう。
ただ、「患者が希望しなければ、差額ベット代は支払わなくていい」ことは覚えておきましょう。
【連載】 松崎のり子さんの「知らなきゃ損するお金の話」
松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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