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働きながら“不妊治療”をするということ

通院がストレスにも…「不妊治療」病院の選び方、夫の心境・できること【仕事と両立、経験談】

2022.08.24

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これから治療する人も、当事者でなくても知っておきたい 具体的に何が大変? 不妊治療「仕事との両立」、私の場合

通院のスケジュール調整、体への負担、授かるかどうかわからない不安。働きながら治療を行った読者の経験談には、当事者以外がなかなか気づけない苦労が。

お話を伺ったのは
LEEメンバー naruさん夫妻

妻36歳、夫35歳・’17年に第1子出産。23歳で結婚後すぐは子どもを望まず、27歳で受診し男性不妊が判明。顕微授精の2回目で妊娠。

僕に不妊の原因があるのに、妻ばかり負担が大きいのが心苦しかったです

県外の病院へバスで通院。結果が悪いと帰路の空気が重く

今回、夫婦2人で取材を受けてくれたnaruさん夫妻。25歳で妊活を始めて約2年間妊娠せず、27歳で専門院を受診することに。

「地元の不妊専門のクリニックを受診しようとしたら、予約がいっぱいで初診が9カ月後……。検査をして特に原因がないことがわかり、先生から夫も調べたほうがいいと言われました」(naruさん)

夫は近所の泌尿器科で検査を。

「精液検査などをしたところ、精子の運動率が悪く妊娠しづらいと原因がわかりました。僕も一緒に不妊専門クリニックに行くと、顕微授精でないと妊娠成立が難しいだろうと。すぐにステップアップを決めました」(夫)

この頃、周りの友人が妊娠をし始め、焦り出したというnaruさん。高度な医療を扱う県外の不妊専門クリニックに転院することに。

「交通費も治療費にあてたかったので、毎回バスで2時間以上かけて通院しました。近隣から人が殺到し、朝10時に受付して診察が18時なんてことも。疲れ果ててしまい、地元でも顕微授精はできたので、結局、元のクリニックに戻りました」(naruさん)

「その県外のクリニックは夫婦で受診が基本だったので、毎回有休を取って一緒に行きました。せっかく仕事を休んで行っても、今回は精液検査で次回に結果、またその次に妻の卵管造影検査で、さらに次回に結果……となかなか進まないのがもどかしく。結果がよくないと、帰りの長時間のバスは落ち込んで空気が重く、病院は近所のほうがいいと思いました」(夫)

朝6時に起きて8時に病院へ。注射をしてから仕事に直行

Express Bus 検査結果

当時、接客業をしていたnaruさんは、治療中に仕事を辞めようと店長に話したと言います。

「店長の妹さんが不妊治療をしていたそうで『辞めてどうするの? 治療費も大変でしょ』と引き止めてくれて。仕事は好きだったので、理解のある職場でありがたかったですね。ただ、やはり両立は大変で、1週間毎日、出勤前にホルモン注射をしに通院したことも。朝6時に起きて7時半に家を出て、8時にクリニックに着いて。注射が終わったらすぐに仕事に直行するのはハードでしたね」(naruさん)

「妻は楽しそうに仕事していたので続けてほしいと思いつつ、通院は忙しいし、注射後は体がつらそうで。僕に原因があるのに、妻の負担が大きいのが申し訳なかったですね。僕ができるのは精子の運動率を上げるためにタバコをやめたり、ビタミン剤を飲むぐらいで……。不妊治療の大半は女性が大変で、男性にできることは少ないと痛感しました」(夫)

最終的に、2回目の顕微授精で妊娠が成立したそう。

「1回目がダメだったときは特に私がショックを受けて、仕事中に泣き出したことも。夫も落ち込んでいましたが、わりと淡々と受け止めて、励ましてくれました。全体をとおして、夫とよく話したり、コミュニケーションが取れていたので、夫婦で足並みをそろえて治療を進められたのはよかったなと思っています」(naruさん)

まとめ「仕事と両立、私の場合」

  • 夫も有休を取り、夫婦で一緒に通院
  • 上司に治療のことを話し、休みやすい環境に
  • 高度な医療よりも近所の病院で通いやすく

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詳しい内容は2022年LEE9月号(8/5発売)に掲載中です。

イラストレーション/きりふみこ 取材・原文/野々山 幸(TAPE)

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