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1980年代NY、地下生活者母娘の営みと現代ホームレスの声なき声。『きっと地上には満天の星』監督インタビュー

  • 金原由佳

2022.07.30

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1980年代、ニューヨークの地下に暮らした人々の営みを、現在のホームレスの現状と掛け合わせて、新しく作り直す。

わけがあって地下での生活を選んだニッキーとリトルの母娘。 リトルは生まれてから一度も、地上に出たことがない。 ニッキーを演じるのは共同監督も務めたセリーヌ・ヘルド(写真右)

ここ数年のニューヨークしか知らない若い人たちからすると、1980年代のアメリカ、ニューヨークが「世界一危険な街」と言われていたと聞いて驚くかもしれません。タイムズ・スクエア周辺は観光客にとってはひったくりとドラッグのバイヤーが跋扈する危険な場所であり、ストリートで発砲事件が起きることも珍しくありませんでした。

当時の治安の悪さを象徴する出来事が、1985年の全米のマフィアを仕切るコミッション(全国委員会)の議長で、ニューヨークマフィアのガンビーノ一家のボス、ポール・カステラーノが、配下のジョン・ゴッティが差し向けたヒットマンによってステーキハウスで銃殺された暗殺事件(後に『ドン・カステラーノ/N.Y.の帝王』というドラマになっています)。ニューヨークの5大ファミリーのボスや幹部が麻薬の取引で次々と検挙されていた背景もあり、この混乱は1990年代まで続くことに。1993年にルドルフ・ジュリアーニがニューヨーク市長となり、猛烈な勢いで治安回復に手を付けたことから、街の雰囲気が変わっていくのです。

この80年代から90年代、ニューヨークの地下には、ドラッグ中毒やアルコール依存症、家庭崩壊、犯罪による逃亡、貧困など、様々な理由から地下での生活を選んだ人たちのコミュニティがありました。未だにその実態はよくわかっておらず、3,000人とも、5,000もの人が、地下鉄のトンネルが、下水道などの地下空間を利用して、日常生活を送っていたと言われています。

昨夏、第77 回 ヴェネチア国際映画祭の国際批評家週間に出品された『きっと地上には満天の星』は、かつて、ニューヨークのアンダーグラウンドで暮らしていた人たちの生活に思いを馳せ、同時に未だ解決に至っていないホームレスの人々の声なき声を丁寧に掬い取った秀作です。現在、ニューヨーク に存在するホームレスの子どもたちは約 22,000 人とか。

公私ともにパートナーであるセリーヌ・ヘルドとローガン・ジョージは、2015 年から 18 年にかけて、ニューヨークの 50 人以上のホームレスにインタビューした『50 Moments』と、ファミリーシェルターで暮らすニューヨークの3家族に密着した『Mornings』の短編を経て、初の長編映画『きっと地上には満天の星』を発表。セリーヌは娘リトルと地下に暮らすニッキー役を、主演女優として演じていて、切迫した状況に置かれた母親の心理を見事に表現もしています。

独立記念日の花火の音が鳴り響く楽しい雰囲気の中、二人にリモートインタビューで制作意図と演出について聞きました。

●監督・脚本/セリーヌ・ヘルド(左)&ローガン・ジョージ(右)(Celine Held & Logan George)

ニューヨーク大学の演劇コースで同級生だったセリーヌ・ヘルドとローガン・ジョージは、2015 年に共同監督&脚本家として活動をスタート。2017 年から『Mouse』『Caroline』『Lockdown』など短編映画を次々に発表。特に『Caroline』(2018)は、カンヌ国際映画祭で注目を浴び、アカデミー賞®短編実写映画賞の最終選考にも残った。本作で長編デビューを果たしたあと、ジョン・カーニーが手掛けるアンソロジー・テレビドラマシリーズ「モダン・ラブ」に呼ばれ、シーズン 2 第 5 話“本当の私は心理テストでわかるかも”(2021) の監督・脚本を担当。また、M・ナイト・シャマランがショーランナーを務めるドラマシリーズ「サーヴァントターナー家の子守」(2019-)に監督としてシーズン 3 より参加している。 その M・ナイト・シャマランをプロデューサーに迎えた長編映画 2 作目となるスリラー『The Vanishings at Caddo Lake』を現在制作中。

ニューヨークのトンネルで暮らしていた人々の生活はまだあまり知られていない。

かつてトンネルに暮らしていた実在するストリートのグラフィックアーティスト、クリス・ペイプ(通称フリーダム)の協力を得て、 映画美術で当時の空気をリアルに再現した。

──『きっと地上には満天の星』は1980年代から90年代のニューヨークの地下に、かつて暮らしていた人たちに思いを馳せて作られた作品だと思います。ジュリアーノ市長による浄化作戦で地下で暮らす人々は消えてしまいましたが、あなたたちが埋もれてしまった声や営みに耳を澄ませ、リサーチをし、考古学的なアプローチで、ゼロから形にしていったのではないかと思うのですが。

セリーヌ・ヘルド(以下、セリーヌ)「今日はアメリカの独立記念日で、花火が上がっていて、うるさくてごめんなさい。そして私たちの制作について詩的な表現をしてくれて嬉しい。ニューヨークのトンネルで暮らしていた人々についての本は結構少なくて、4冊ぐらいしかないんです。私たちは製作にあたってかなりサーチしましたし、その4冊の本も参考にしました。1冊は日本でも発行されたジェニファー・トスという女性が実際に、地下に暮らす人々に取材して書いたルポルタージュの『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』(集英社)。

私はニューヨーク大学の1年生だった2009年から10年にかけて、ロウアー・イースト・ サイドの非営利団体で幼稚園児の子守の仕事をしていまして、その時、この『モグラびと』を読んで、 幼稚園の子供たちと地下で暮らす子供たちの違いを実感しました。あと、映画を作るにあたって、美術での再現がとても重要な要素となっていて、マーガレット・モートン(アメリカの写真家・作家)の『The Tunnel: The Underground Homeless of New York City』と、テウン・ヴォーテン(オランダの写真家・ 文化人類学者)の『Tunnel People』が脚本を作る上でとても参考にした本です」

フリーダムをモデルとしたグラフィックアーティストのジョンを演じたのはミュージシャンのファトリップ

ローガン・ジョージ(以下、ローガン)「『The Tunnel: The Underground Homeless of New York City』に掲載されている写真が、地下のトンネルを作るにあたってかなり大きな役割を果たしました。あと、映画の中で、ニッキーとリトルの母娘の隣人として目をかけてくれているジョンというキャラクターは、ミュージシャンのファトリップ(FATLIP)が演じてくれているんですが、彼のモデルとなっているのは実在するストリートのグラフィックアーティストのクリス・ペイプ、通称フリーダムで、彼の落書きがフリーダムトンネルに価値をもたらしたことがあります。

今はブルックリンに住んでいる彼と連絡を取り、最終的にはトンネルを再現するために、彼に舞台となる場所に当時のグラフィックアートを再現してもらってもいます。そこでも“掘り起こす”作業をしたと言えるでしょう。トンネルは、写真から、立体的に再現していく作業を一から作っていかなくてはいけなかったけど、プロダクションデザインのノラ・メンディスの力が大きかった」

セリーヌ「あなたが考古学的なアプローチと言ってくれたけど、この映画の全ての登場人物たちは、私たちがリサーチの中で触れたものを合わせた人物になっています。私たちはこの長編の前に、ニューヨークの50人以上のホームレスにインタビューした『50 Moments』という短い作品と、ファミリー用のシェルターで暮らすニューヨークの3家族が自立するまでを追ったドキュメンタリーの『Mornings』という作品を作っているんですが、その時のリサーチも役に立っているし、加えて、今現在ホームレスの人たちがどういう状況にいるのかを調べ、改めて得た要素とパズルのように構成しています。いずれにしても、かつてそこにいた、そこに在った人たちの状況や心理状態をなるべく正確に描くために努力をしました」

「ええ、初めて地下のトンネルに降りたとき、不法侵入で逮捕されました!」(セリーヌ)

トンネルでの撮影中のセリーヌ・ヘルドとローガン・ジョージ

──私がお二人のリサーチに賭ける熱情で感銘し、驚いたのは、かつてのトンネルに一歩でも足を踏み入れると不法侵入で逮捕されるリスクを負ってでも、トンネルピープルが残した痕跡を探しに行くチャレンジ精神です。

私が想像するに、地下に潜っての生活というのは、心理的によっぽどの追い込まれての選択だと思いますし、その後、地下から地上生活へとシフトした後も、表立ってカミングアウトされないようなつらいこともあったのでは。 実際に、当時のトンネルに足を踏み入れてみて、どういう印象を受け取りましたか?

セリーヌ「私が初めて地下のトンネルへと降りていったのは2012年のことです。当時、まだ生活の痕跡が色濃く残っていて、見るにはつらいものもあり、胸がはりさけんばかりになりました。トンネルで生活するようになったのは、他の選択肢がなかったから。人生にオプションがないから、そうなった人が多いんです。

一方で、逆に『地下こそが私の場所なんだ』と思う人も存在しました。何ら煩雑な手続きなく、ここが私の場所と言える空間があって、家賃も払わなくていい。アメリカには、ホーレスが身を寄せることができるシェルターがあるんですが、施設への出入りの時間に制限があったり、門限が決められていたりする。

でも、地下では自由に生活の場が設計できます。自分のやり方でコミュニティが作れることが魅力的だった人もいるかと思います。中には生まれたときからホームレスのコミュニティで育ってきた人がいて、地上ではかなわないけれど、地下では自分たちでコミュニティを作れたという背景もありました。

そして、あなたの最初の質問にありましたけど、ええ、私は初めて地下に降りたとき、不法侵入で逮捕されましたよ! でも、判事の前で、『ホームレスに関するプロジェクトの映画を作りたいからだ』と訴えたら、赦されました」



アメリカで深刻な教育の格差、ホームレスの子供たちが直面する事情

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  • リトルに抜擢されたザイラ・ファーマー。セリーヌとローガンがリサーチ中の教会で、家族で訪れていたザイラに目をとめ、今回の起用となった。2011年6月生まれ。本作が映画初主演映画となる。

──映画の中での暗闇の中でのコミュニティは、何が起きるかわからない、どこに危険が潜んでいるかの怖さもある。でも、一方で、母親の子宮の中にいるような温かさが演出されていて、リトルが暮らすコミュニティはみな顔見知りで、大人たちが優しくリトルのことを見守っている関係性も描かれます。

なんなら、都会で孤独に放置されている子供よりも、温かい愛情を掛けられている瞬間もある。先程、話に出たグラフィックアーティストのジョンはリトルが引き算出来ないことに気づき、母親であるニッキーに教育の大切さを訴える場面もありますが、それはお二人が教育の場が与えられていないホームレスの子どもの現状をご覧になって作った場面ですか?

セリーヌ「その通りです。教育格差の問題はアメリカでは深刻になっています。公立の教育のレベルが学校によって左右されて、全国的に統一されていないんです。寄付金によってうまく運営されている学校もあれば、支援が行き届いていない学校もあります。裕福な家庭が多い地域は教育レベルが高く、一方、今回、私たちがリサーチする中で取材したのは、学校の周りにホームレスのシェルターが3つあるというエリアでした。

在籍生徒の70%のお子さんがホームレスという構成の学校です。そこで流れている家族間の感情は暖かくて、愛に満ちている。でも、基本的に学校の運営費が足りていなくて、学校での備品がそもそも足りていなくて、教育がいびつになっていたり、昼代が払えない子どもいて、ショックでした。アメリカに限らず、国が最も大切にすべきものは子どもたちであるべきなのに、彼らの面倒をしっかりと見ることが出来なくて、周囲の大人たちが疲れてしまっている。

地下で暮らす人々の存在を問題視したNY市は一掃作戦をスタートし、ふたりは地上に逃げることを決意する。

今回、リトルの環境を、美しく見てくれてありがたいと思います。この映画では、彼女の面倒を見てくれる地下のコミュニティは温かい関係性で描きましたが、意を決し、ニッキーがリトルを連れて地上に出ると、リトルを巡る状況が真逆になってしまう。つまりそこは冷たくて、危険で、油断ならない世界なんです。このニッキーとリトルが辿る経験は、視聴者にとっては予想と反対の体験になるかと思います。

私たちの多くは地下の中にいると、暗闇の中で息を潜めて暮らしているんじゃないかと思う。地上の方がほっとする空間だと地上で生活している人は思っている。でも、ニッキーとリトルが地上に出てきて体験する風景を見ると、それは逆であると、二人の体験を通して知ることになる。この逆転した構造から、ホームとは、家とは何かをみなさんに考えて欲しかったんです」

地下のコミュニティでは、互いに面倒を見合って、子育てをする“村”があった

ローガン「地下のコミュニティを生き生きとして描くことは、僕らにとってとても大切なことでした。トンネルの中では、それぞれ互いに面倒を見合って助け合ってくらしていた。そういう視点を観客に感じてもらうことが、この映画では大切でした。そして、そのことを意外だと思う観客もいるでしょう。

僕らはリサーチの中で色んな人たちから、素敵なエピソードを聞きましたし、そういう温かい交流のシーンもたくさん撮ってはいたんですけど、残念ながら編集の中でカットしなくてはいけませんでした。なぜなら、この母娘がなぜ、地上に出なくてはいけないのか、そのきっかけとなる出来事を描かなくてはいけなかったから」

セリーヌ「子育てをする上で、子供を育てるのには”村(Village)”が必要だ、とよく慣用句的に言われますけど、トンネルの中には確かにビレッジがあったんです」

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  • カメラマンのローウェル・A・マイヤー(写真左)セリーヌとザイラ。現在オンエア中のテレビドラマ『サーヴァント ターナー家の子守 シーズン3』(2022)でもタッグを組んでいる

──セリーヌさんは、今回、シングルマザーのニッキーの切迫感をすさまじい迫力で演じていらっしゃいますね。映画監督は俯瞰で物事を見なくてはいけないけれど、女優は役に没入する作業が必要です。真逆のことを同時進行でやるなんて、一体、どうやって両立させたのですか?

ローガン「セリーヌと僕はとにかく事前にすべてのことを話し尽くしました。各シーンで何を撮りたいのか、演技で何を求めたいのか。二人とも理解し切ったレベルに達していたので、現場に僕だけでなく、映画監督としてセリーヌがいることがアドバンテージになっていたと思います。撮影現場では、セリーヌの演技に合わせて、演出し、その場で改めて話し合うことはなかったし、きちんと演技に専念してもらえる安心感がありました」

子供を見失う瞬間は、子育てで最も体験したくない出来事

終盤、地下鉄でリトルを見失ってからのニッキーを演じるセリーヌの演技が圧巻。 ニッキーのラストへと向かう選択肢についてぜひ、議論を!

──後半、地上でちょっとした隙に、リトルを見失う場面があります。マイク・ミルズ監督の『カモンカモン』にもホアキン・フェニックスが甥を街中で見失って大騒ぎする場面がありましたが、あの瞬間のニッキーのパニックは、全ての親が子育ての中で最も遭遇したくない瞬間です。あそこの心理状況がもう、キリキリと胸に響きました。

セリーヌ「あの場面は、実際にニューヨークの地下鉄の駅を借りて、3晩かけて撮影したものです。駅自体も、電車自体も普段通り稼働しているので、どういうことが起きるか、予想できない部分も多く、撮る前はとても怖かったのですが、私たちはニューヨーク大学で演劇を学んでいるときに出会っていて、これまでもプロの役者を雇うギャランティがないときは、自分たちでトレーニングして、演じてきたので、そういう体験を生かしました。実際にリトルを見失う演技は5回、撮影したんです。

今仰ったように、子供を街中で見失うというのは本当に恐怖の瞬間ですよね、私は学生時代、ベビーシッターをしていたんですけど、遊び場で本当に一瞬、気をとられた瞬間、預かっていた子供を見失った経験があり、本当に恐ろしい出来事でした。その時の恐怖の感情を思い出して演じたんです。私の母親も、私たち姉妹が幼い時、動物園で子供を見失った経験があり、実際には数分の出来事だったけど、一時間ぐらいに感じた恐怖だったとよく話していたので、そのことも思い出していましたね。

まあ、映画の中では演技上、子供を見失うという恐ろしい体験をしましたけど、今、実は私、妊娠8カ月で、恐ろしい感情を忘れて、子育てをしたいと思います」

ザイラはものすごく才能のある女の子!

唯一無二の演技を見せたザイラ・ファーマー。素晴らしい感性を見ることができる。

──ワオ、congratulation! 最後になりましたが、リトル役のザイラ・ファーマーさんが本当に素晴らしいですね。時々、自分を人に任せ、地上へと出かける母親から、『背中からまだ羽が生えていないので連れていけない』と言われ、それを信じている風情や、その後、母親と共に地上に出て、想像とは違う世界に戸惑う表情など、演技とは思えないナチュラルさで、どうやって演出されたんですか?

セリーヌ「ザイラはすごく才能のある女の子で、今も、ご家族ともども仲が良く交流しています。本作は製作費の都合がつかなくて、一度、製作が中止になり、撮影まで1年間、ザイラを待たせることになったのですが、その時間を利用して、ザイラに合わせて脚本のリトルの役をリライトしました。また、私たちは手持ちカメラでの機動的な撮影が好きで、本作でもその手法を多用していますが、同時にそれは、ザイラの動きに合わせて撮影できるようにという配慮もありました」

ローガン「ちなみに撮影を担当したカメラマンのローウェル・A・マイヤーは僕たちの短編『Caroline』(2018)やテレビドラマ『サーヴァント ターナー家の子守 シーズン3』(2022)でもタッグを組んでいる親友ですが、彼にも撮影の1カ月前からザイラと会ってもらって、ザイラにカメラ慣れしてもらいました。その準備もあり、現場では『アクション!』という言葉を掛けず、ゲーム感覚で、いつの間にか静かにカメラが回り始めているという風にしました」

セリーヌ「ザイラの演技は自由な形でやってもらい、ご両親には事前に撮影で何をするかの説明をしていましたが、彼女自身には脚本は読ませんでした。彼女が知るべきじゃない事柄についてはしっかり、その情報が彼女に届かないように配慮しましたし、物語上のデリケートな場面では、本人ではなく、私たちがリトルのウィッグを被って撮影したところもあります。子役なので、撮影時間にも制限がありましたし、何より、彼女の髪があまりにも美しくて、他に吹き替えのダブルをみつけることができなかったということもあります。彼女の演技を日本の皆さんに見てもらえるのが楽しみです」

きっと地上には満天の星

地下鉄の廃トンネルで育ったリトルは、まだ夜空を知らない──。

ニューヨークの地下鉄のさらに下に広がる暗い迷宮のような空間で、ギリギリの生活を送るニッキーとリトルの母子。暗闇の中で互いに助け合うコミュニティがある中、不法居住者を排除しようとする市の政策が進み、コミュニティはやがて追い詰められることに……。

1990年代、ニューヨークの地下生活者の暮らしぶりをリサーチしたルポルタージュ、ジェニファー・トスの著書『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』から発想を得て、作られた作品。第 77 回ヴェネチア国際映画祭国際批評家週間出品、マリオ・セランドレイアワード最優秀技術貢献賞受賞、第27回 SXSW映画祭審査員特別賞受賞、第13回 PAGE 国際脚本賞 最優秀ドラマ脚本賞受賞など高い評価を得ている。

監督・脚本:セリーヌ・ヘルド&ローガン・ジョージ
製作:アンソニー・ブレグマン、ジョシュ・ゴッドフリー
製作総指揮:キンバリー・スチュワード
撮影監督:ローウェル・A・マイヤー 編集:ローガン・ジョージ
音楽:デヴィッド・バロシュ
出演:ザイラ・ファーマー、セリーヌ・ヘルド、ファットリップ、ジャレッド・アブラハムソンほか

2020年/アメリカ/英語/ビスタサイズ/カラー/5.1ch/90分
原題:Topside
配給:フルモテルモ

© 2020 Topside Productions, LLC.All Rights Reserved.

8月5日(金)からシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

『きっと地上には満天の星』公式サイト

金原由佳 Yuka Kimbara

映画ジャーナリスト

兵庫県神戸市出身。関西学院大学卒業後、一般企業を経て映画業界に。約30年で1000人以上の映画監督や映画俳優のインタビューを実施。映画誌、劇場パンフレット、新聞などで映画評を執筆。著書に『ブロークン・ガール 美しくこわすガールたち』、共著に『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』。映画祭の審査員、トークイベントなど講演・司会も多数。

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