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高校生以上への性教育、本当に必要なセックスの知識って?産婦人科医の宋美玄さんと高橋幸子さんが解説【聴く婦人科診察室#27】

  • 宋 美玄

2021.12.31

  • 音声

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今週も産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト連載「宋美玄さんの聴く婦人科診察室」の時間がやってきました! 女性ならではの心や体のお悩みを解決したり、性にまつわる最新事情を解説したりと、充実の内容でお送りします。

今月は「趣味・性教育、特技・性教育、仕事・性教育」の産婦人科医・高橋幸子さん、またの名をサッコ先生をスペシャルベストにお迎え! 5週連続で宋さんと性教育の最新事情について大いに語り合っていただきます。いよいよ大団円、第5週・高校生以上への性教育についてお届けします。

HPVワクチン、もう一度無料で打てるチャンスが!

このポッドキャスト収録日に、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の積極的推奨が再開されました。サッコ先生も中高生への性教育の講演会で必ずHPVワクチンについてす話すそう。高1には『皆さん打ちましょうね』、高2、高3に『皆さんは残念ながらもう無料では打てません』、なので中学生には『中学生のうちに打ちましょうね』とお話ししているそう。

「2000年から2005年生まれの方を対象に、もう一度無料でHPVワクチンを打てるチャンスがおそらくこれから設定されます。ですので、その情報を絶対逃さないでほしいです!」(サッコ先生)

高校生向けの性教育の現状

サッコ先生が監修したAbemaTVのオリジナルドラマ「17.3 about a sex」は、高校生のや大学・専門学生に向けて知っておいてほしい性知識を詰め込んだ名作。避妊や性感染症など実際に今、高校生が抱えている性にまつわる悩みを取り上げています。高校生向けのの性教育の講演会では「どれだけ避妊をしても妊娠することはある、もし妊娠したときどう対応するか?」を教えるそう。

高橋幸子さん

なんと学習指導要領では、高校生になっても性交について教えないことになっています。結局、興味本位で部分的な情報や間違った情報しか得られない、というのが日本の性教育の現状です。それは大人になってからも影響を及ぼし、少なくない男性がAVのまねごとをして女性はポッカーン、という図式がはびこる結果に。

自分の身体を知って、それからパートナーとの対外試合

サッコ先生は講演会で「殺人シーンのある映画を見て『よし、明日いっちょ人を殺すか』とはならないでしょう? AVもどこまでが本当でどこまでが噓かわからないよね? だからAVは『本当のことではないかも』って思いながら見てね」といった伝え方をしているそう。また、「どうしたら相手の人が気持ち良くなりますか?」という質問には「その質問、私にして来てる時点で間違いだよ、相手に聞くんだよ」と答えます。

「まずはパートナーとの性行為の前に、自分の性行為、セルフプレジャーとかソロセックスという言い方をしますけど、自分でどうすれば気持ち良いのかを知らないと。自分の身体を男性も女性も知って、それからパートナーとの対外試合だよね」とサッコ先生。



みかんやゆで卵が潰れない程度の刺激で

それを受けた宋さんが「セックスで得られる感覚とかけ離れた感覚でオーガズムに達するのに慣れてしまうと、今度は生殖補助医療のお世話にならなければいけなかったり、相手が疲れちゃったり。そういうことへの注意事項を、ぜひサッコ先生に教えていただきたいです!」とリクエスト。

「『膣内射精障害という男性側の不妊症の原因があって、これは思春期からの間違ったセルフプレジャーの方法のために起こります。今、強すぎる刺激でしている人は、今から少しずつ柔らかい方法でできるようになってね』という話はしています。高校生向けに厚生労働省と作った『つながるブック』という性教育のパンフレットにもセルフプレジャーについてのページがあって、そこでも強すぎない刺激で、みかんが潰れない程度とか、ゆで卵の殻をむいて潰れない程度とか、具体的に示しています」(サッコ先生)

(次回は2022年1月7日(金)18時更新予定です、お楽しみに!)

宋美玄さんへの質問を大募集!

宋さんへのご質問や番組へのご感想は、専用メールアドレス(fujinka@lee.hpplus.jp)宛にお送りください。

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イラスト/鹿又きょうこ

宋 美玄 Song Mihyon

産婦人科医

セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/

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