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LIFE

田辺 幸恵

【NYで子育て】本物で感性を磨く!子連れに優しいニューヨークの美術館

  • 田辺幸恵

2019.09.09

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ニューヨークで子育てをする醍醐味

日本から友人が訪ねてくると、よく聞かれるのは

「ニューヨークの子育てって、何がいいの?」ということ。

マンハッタンの地下鉄に綺麗なトイレなんて存在しないし、子供が小さいと何かと不便なことが多いニューヨーク暮らし。でも何がいいかって、子供の頃から気軽に本物に触れることができることです。

特に、「メトロポリタン美術館」や「MoMA(現代美術館)」、著名な建築家フランク・ロイド・ライト氏設計で世界遺産登録が決まった「グッゲンハイム美術館」、「ホイットニー美術館」と名だたる美術館で子供向けのプログラムが充実しているのには驚きました。

日本に住んでいた頃は、「美術館=静かに見る場所」というイメージがあり、子供を連れて行くなんてめっそうもないというイメージですが、ここニューヨークの美術館はどこもキッズフレンドリーでベビーカーオッケーの鑑賞ツアーもあるほど。数あるプログラムの中から、今回は「MoMA」で8歳の娘が行ったものをご紹介します。

 

アートから「詩」を

MoMA(現在改装中のためクローズ)の入り口や各階の案内所で置かれている無料のアクティビティシートは超おすすめ。観光で訪れた方もぜひ手にとってみてください。私のようなアート初心者でも楽しめる内容です。

今回は「Nature(自然)」がテーマ。「自然を舞台にした作品を見つけて、その作品を表す言葉を書き出してみよう」というものがありました。

無料のアクティビティーシートは書き込めて持ち帰ることができるので思い出になります。

娘が見つけたのは、米国人画家アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」(1948年)という作品。じーっと見ながら、言葉を書いていきます。

アメリカ人画家アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」。作品の前に座り込んで書き込みます。他のお客さんに邪魔にならない範囲で。

dark / poor / week / lost / about to rain / windy / sad / confused / daytime / far away

これらの言葉を使って「Poem(詩)」を書くのが次のステップ。

 

「It’s dark and windy week, a girl is lost in a dark, far away and about to rain.」

(暗く、風が強い週だった。女の子は暗く遠いところで迷子になり、今にも雨が降りそうだ)

8歳の娘が書き込んだ単語と詩というか文章。

書いてみると、私がweek(週)はweak(弱い)のスペル間違いかと思っていたら「暗く、風が強い週に」と意味があっていたり、詩になってないんじゃないかとか、色々と気になってしまいますが・・・、1つの作品から想像を膨らませ、文章にしていくのは目からウロコ。

ちなみに、子供向け音声ガイド(これも無料貸し出し)を聞いていると、作品に描かれたクリスティーナは、下半身が麻痺していて歩けなかったそう。その彼女が、遠くの建物に視線を向けている様子から、肉体的な制限があっても気持ちに制限はないことを表現しているそう。

アメリカのいいところは、この解説通りの言葉を選ばなくていいこと。あくまで子供自身が自分の感じたことを自由に、素直に表現していいのです。

実際に手で触れ、作品を作る

奥の蝶の標本を見ながら、定規で直線を使いながら「蝶」を書くというワーク。

MoMAにはファミリー向けのアートスペースも充実しています。蝶の標本を見ながら、「蝶を直線で書いてみよう」というのがあったり、アンディー・ウォーホールがカモフラージュからインスピレーションを受けていたことをカードで読み、「自然の風景を3つの形と色で表してみよう」というものも。色鉛筆など使う道具は置いてあるので、その場で書いた作品を持ち帰ることができます。

このアクティビティでも、「こう作りないさい」「この色を塗りなさい」と指定されることはありません。「間違っている」とか「人と違う色を塗った」ことで否定されないのが、伸び伸びと育つ環境を育むのだと思います。

 

子供を美術館に連れて行く「本当の理由」

子供を通してアートに興味が湧いている私ですが、娘を美術館に連れて行くのには、本物に触れさせたい以外に理由があります。

なぜなら、学校の授業でアートがないから!!

日本で育った私には、美術がない小学校ってどうなの?状態ですが、本当にないんです。

娘が通っているのはニューヨーク市の公立小学校。ニューヨーク州では3年生から州統一テストがあるのですが、娘の学校は生徒の平均点が高く、地元で人気のある公立校です。算数やサイエンスといった科目に比重が置かれ、アートとミュージック(音楽)がおざなりに。

娘は9月から3年生になりますが、この2年、クラスでやった工作といえば、感謝祭(サンクスギビング)で紙を切り貼りして七面鳥を作ったり、色鉛筆で絵を描くぐらい。絵の具を使ったこともなければ、ねんど工作もなし。2年生の時には、他のクラスでは白いTシャツを染料で染めるアクティビティがありましたが、なぜか娘のクラスはありませんでした。

そのためか、娘の学校からマンハッタンの美術館の入場無料券をもらうことができるので、チャンスをフル活用し、アートに触れる時間を作っています。

 



経験も親次第!?

ゴッホの「星月夜」。娘と「グルグルしてるねー」なんて言いながら作品鑑賞。

子供が小さいうちは、読み書き以外の時間も大切にしたいと思っている私。学校でアート授業がないことを同じクラスのフランス人ママに嘆いたら、

「I don’t care.(別に構わないよ)。その分、算数とサイエンスやってくれればいいから」と言われた時は面食らいました。

フランス人だからアートに興味があるとは限らないし、やっぱり考え方は人それぞれ。こうやってはっきり言ってもらうと、気が楽ですけどね。

親が興味を持って機会を与えないと、幅広い経験につながらないのも事実。これからも頑張り過ぎず、親子で本物アートを楽しんでいきたいものです。

 

田辺幸恵 Sachie Tanabe

ライター/ライフコーチ

1979年、北海道生まれ。スポーツ紙記者を経て2006年にアメリカへ。2011年にニューヨークで長女を出産。イヤイヤ期と仕事の両立に悩みコーチングを学び、NPO法人マザーズコーチジャパン認定講師に。趣味は地ビール探しとスポーツ観戦。夫と娘(8歳)の3人家族。

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