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峰典子

「ケンズカフェ東京」究極のガトーショコラが、もっと美味しくなってリニューアル。

  • 峰典子

2019.06.21 更新日:2019.09.12

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通販なし、予約必須のガトーショコラ。

東京メトロ新宿御苑前駅から徒歩3分。「ケンズカフェ東京」をご存知でしょうか。チョコ好きには有名なこのお店、10年以上も前からガトーショコラだけを販売する専門店。看板商品であり唯一の商品でもある「特撰ガトーショコラ」は、二ヶ月待ちとの噂。

シェフの氏家健治さんは、ホテルオークラ東京や赤坂アークヒルズクラブなどで修行を重ね、1998年にカフェレストランを開店。料理はもちろんのこと、食後のケーキとコーヒーに至るまで強くこだわっていたといいます。その時に作っていたケーキのひとつが、ガトーショコラ人生の始まり。

焼きたてが売りだったガトーショコラでしたが、どうしてもテイクアウトしたいというお客様の熱意に根負けし、ラップに包み持ち帰ってもらったそう。そこから、あれよあれよと常連客からの声に推され、通販を始めることに(現在はやっていません)。10年前からは、ガトーショコラ一筋。紛れもなく日本を代表するチョコレートケーキのひとつになったのです。

今、チョコ好きに愛される味はこれ。
満を持して完成した、本気のリニューアル。

ケンズカフェのガトーショコラは、小麦粉を入れないグルテンフリーのリッチな配合、そして、生チョコのようなレアな火入れが特徴。材料は、チョコレート、バター、卵、砂糖のみ。ひたすらチョコを愛でることのできる、シンプル・ザ・ベストなケーキなんです。値段は3,000円/1本ですが、その価格にも納得できる、これ以上ないくらいレベルの高い材料で作られています。

たった4つ。されど4つ。材料が少ないとはいえ、何をどれくらい使うのか、配合は時代に応じて少しずつ変えてきたと言います。濃厚なイタリア産チョコレートを100%使用していたこともありましたが、今の時代には少し重すぎる。甘さをわずかに控え、ほんの少し軽さを出す。それが、「今」愛されるガトーショコラなのだとか。

秘密は、希少なクリオロ種カカオ

ジャンルーカ氏と氏家シェフ。

今回のリニューアルでは、以前から使っているという、フランス・ヴァローナ社特製「KEN’S」に加え、今回からイタリア・ドモーリ社の特製「KEN’S」をブレンド。こちらのカカオはベネエズラ産のクリオロ種を使用しています。クリオロ種とは、香ばしく上品な香りを持つ、とっても希少なカカオ。病害虫に弱く育成が困難なため、全体の1%以下の生産(!)といわれているんです。この2種を配合し、ケンズカフェの新しいガトーショコラが完成しました。

ドモーリ社は、1994年にジャンルーカ・フランゾーニ氏により創業。ジャンルーカさんはカカオに深く魅了され、世界中を歩き回り、高品質なカカオを探し続けるカカオハンターでもあります。カカオの木の栽培からチョコレート作りまで一貫製造し、希少な種の保護にも取り組んでいます。クリオロ種も、自ら危険なアマゾンの原生林に足を運び、絶滅寸前の原種を発見。採取して育てているそうです。

一晩冷蔵庫で寝かせたもの。みっちりとした生地感、伝わりますか?



温める? それとも冷やす?

ケンズカフェのガトーショコラは三段階でいただくのがおすすめ。まずは焼きたてを再現するために15秒レンジで温めたもの。中身がとろけて、フォンダンショコラのような絹めいた味わい。そして、常温。これがいちばんチョコレートの味をしっかり感じることができるように思いました。最後に冷蔵庫で冷やしたもの。目が詰まって、どしっと重くなります。小さくカットして、お酒に合わせるのがおすすめ。甘いワインや焼酎、ウイスキーと合わせて召し上がれ。

 

こちら、シェフのレシピで作ったお手製。

レシピは公開中。
自宅で生ガトーショコラ体験を。

通販を行っていないケンズカフェ。確実に手に入れるには、WEB予約し店舗へ受け取ること。でも、なかなか店舗に足を運べない、という人も多いはず。生ガトーショコラってどんな感じなの、と気になっている方向けに、なんとレシピを公開しているんです。簡易版ではなく、配合も作り方もほぼ同じ。しかも、店舗のケーキがリニューアルを繰り返すたびに、公開レシピも修正を加えているとか。

そうと聞いたら、自宅でどこまで再現できるのか、検証してみたくなりました。材料はもちろん、チョコレート、卵、バター、砂糖のみ。氏家シェフが推奨しているチョコレートはちょっとお高かったので、もう少し手が出しやすいものに変更しましたが、それ以外はレシピ通り。小麦粉が入るケーキと比べると、焼き時間は約半分。指先でそっと押してみると中が柔らかいのがよくわかります。

味見をしてみると、シェフの味よりもコクに欠ける印象。これは間違いなくチョコレートの違いでしょう。ただし、 生チョコのようななめらかな舌触りは再現できていました。嬉しい! これが自宅で作れるのなら、作らないと損。ぜひ、生ガトーショコラを体験してみてください。そして、本物が気になったら、ぜひ店舗にも足を運んでみてくださいね。

氏家シェフのビジネスが気になったら、読みたい一冊

フレンチ修行したにもかかわらず、ディナーをやめ、ランチをやめ、通販をやめ……。たったひとつのケーキを店舗で売るという、大胆なスタイルにこだわってきた氏家シェフ。開業から今にいたる、約20年のダイナミックな軌跡が描かれた一冊です。

 

 

 

 

 

 

 

 

『余計なことはやめなさい!』集英社/氏家 健治 (著)

 

 

 

峰典子 Noriko Mine

ライター/コピーライター

1984年、神奈川県生まれ。映画や音楽レビュー、企業のブランディングなどを手がける。子どもとの休日は、書店か映画館のインドアコースが定番。フードユニットrakkoとしての活動も。夫、5歳の息子との3人家族。

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