前後編でお届けしている「今井真実さんちのほっこりうめしごと」。前編では、完熟梅1kgから「ジッパー袋で作る梅干し」「梅シロップ」「梅酒」を仕込む方法を、人気料理家・今井真実さんが教えてくれました。後編では、前回に仕込んだ『梅の塩漬け』の干し方を中心にお届けします。
真実さんのほっこり柔らかな梅仕事の世界へ、ようこそ!
LEEwebをご覧の皆様こんにちは。
毎日毎日、本当に暑い日が続きますね。私もスーパーに行くだけで、とける…もう無理…と参っています。
しかし、梅仕事をしている方にとってはこの日差しこそが、ありがたいものですよね。SNSを見ていても、梅を干し始めた方の様子が! 皆さんのかわいい梅を目にするたびに弾むような気持ちになります。
前回のおさらい
「ジッパー袋で作る梅干し」レシピで
『梅の塩漬け』を仕込みました
仕込み方
▽前編では仕込み方までご紹介しました。今回はその続きです。
1ヵ月後、仕込み完了!
さて、前回梅干しの下ごしらえ「梅の塩漬け」を行ってから1ヶ月が経ちました。写真のように梅酢(梅のエキス)があがってきて、なみなみと梅が浸かっている状態です。
これで、「梅の塩漬け」は完成です。この梅を天日干しにしたものが「梅干し」になります。
いよいよ、日の当たる場所へ!
今井さんちの完熟梅レシピ
「ジッパー袋で作る梅干し」天日干し編
準備
1.すべての道具は消毒しておきます。
2.まず、梅と梅酢を分けます。
3.干しザルに合わせてオーブンシートを敷きます。これはザルに梅がくっついてしまうことを防ぐためです。
4.くしゃくしゃにして凹凸を作り広げます。
5.隣同士、くっつかないように梅を並べます。
ザルが無くたって大丈夫です。木のまな板や、木の器にオーブンシートを敷いて並べましょう。
梅の干し方
1.外に干す時は、下の写真のように洗濯用具を使うと便利です。
2.分けた梅酢もラップをして殺菌のため日光に当てます。この梅酢は、梅干しと同様に賞味期限がないといわれるほど、長持ちします。
3.雨が降りそうだったり、平日にかかってしまう時は、日光の当たる窓際に置いておきましょう。合計のべ3日間、外の日光に当てれば出来上がりです。
4.梅酢に戻さず、保存袋や保存容器、瓶に保存しましょう。
5.梅酢も同じように、容器や瓶などに保存しましょう。
上手に干すポイント
焦らないで大丈夫!
梅仕事をする方だと「土用干し」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。6月に梅を漬け始めると、ちょうど1ヶ月後に土用の時期になり、梅雨が終わり、晴れの日が続きます。梅を干すのに気候が適しているという意味合いがあります。
しかし、私はこの「土用干し」という言葉が少し梅仕事のハードルを高めているように思えます。土用の時期が近づきそわそわしたり、逆に時期が過ぎてしまうと「早く干さなくては」と焦ってしまったり…。
いえいえ、そんなふうに思う必要はありません。梅はいつ干したって良いんです。
長く塩漬けした梅干しもおすすめです
ある夏のことでした。いつも梅仕事教室にいらっしゃる生徒さんが「まだ去年の梅を干してないんです」とおっしゃるではありませんか。それを聞いて、私も実験してみたくなり1年塩漬けから干してみることに。
これが、なかなかに美味しいんです! 塩味も丸く、熟成されています。1ヶ月ほど漬けた梅の果実のフレッシュさとは別の「うまみ」があったのです。それから私は「土用干し」をやめて、出来るだけ長く塩漬けしてから干すようになりました。
梅の様子を観察しながら、臨機応変に
そして梅を干すときの決まりとして「3日間天気の良い日に干す」ということがあります。忙しいとこれだってなかなか難しいものがあります。
私はいつも生徒さんにお伝えしてますが「合計のべ3日間、外の日光に当てる」これで大丈夫。最近のお天気も、夏場は夕方急に豪雨になったりしますよね。それに3日間ずっと家にいることもあまりないものです。
ですので、出かける時や目を離す時は、窓際に置いておけば大丈夫。窓越しでも日光に当てて、扇風機などで風通しをよくすれば良いですよ。そして、時間ができた時に外に出す。その合計時間が「3日間」であれば問題なく成功します。
大切なのは梅の様子を観察すること。表面に塩が吹いた状態になるまで乾けば大丈夫です。
昔に比べて日の光も強く、気温も暑いです。表面の水分がすっかり飛び、ぱりっと乾いていれば大丈夫です。
「ジッパー袋で作る梅干し」完成!
出来上がった梅干しは、梅酢と分けて保存しましょう。
梅酢は来年梅漬けを作る際に、カビを生やしたときのためや、雨に濡れてしまった時の応急処置用に取っておきます。
そのほかにも寿司酢に混ぜたり、ふだんのお料理にもぜひ塩味のあるお酢として活用してください。
出来立ての梅干しは、 パリッとした皮と、とろとろの果肉のコントラストが際立っています
まずは出来立てのフレッシュの梅干しをご飯と一緒に召し上がれ。果実感を感じ、太陽の熱を帯びてほんのり温かいのも良いんです。パリッとした皮と、とろとろの果肉のコントラストもたまりません。
時を経るにつれ梅の表面は柔らかに
こちらの写真は去年作った梅干しです。じっとりしている様子がわかります。カラッと干しても、果肉からじわじわとエキスが染み出します。置いておくと、どんどん梅の表面も柔らかさが増してきます。だいたい3年くらい経ったものが美味しさのピークだと思います。
「梅シロップ」も完成!「梅酒」はあと少しのお楽しみ
前回作った梅シロップも出来上がり。発酵しないために梅を取り除いてから、電子レンジで沸騰直前まで加熱します。
梅酒は3ヶ月は寝かしていたいのでもう少し置いておきましょう。
初夏の楽しみの梅仕事も、これからは「味わう」時期にうつろいますね。
美味しくできた梅干しはもったいないようですが、どんどん普段から召し上がってみてください。無くなってしまったら、また来年も作りたくなるはずです。
「梅仕事」があなたの初夏の楽しみになりますように。これからも、一緒に梅を愛でていきましょう。
撮影/今井裕治 料理・文/今井真実
「おいしいLEEレシピ」では梅干し料理を検索するとたくさんのお料理が見ることができます。ぜひ、訪れてみてくださいね。