私のウェルネスを探して/佐藤卓磨さんインタビュー後編
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ・佐藤卓磨さんのメンタルを支える「書く習慣」「読書の楽しみ」「子どもの存在」
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LEE編集部
2025.02.09

引き続き、佐藤卓磨さんに話を聞きます。取材は、東京で行われたアウェ―戦の翌日に行われました。試合の疲れを感じさせない健やかな笑顔と美肌の秘訣を聞くと、「昨日ヨモギ蒸しに行ってきたんですよ(笑)」と佐藤さん。197cmの長身でポーズを決める姿はまるでファッションモデルのよう。スタッフ一同「洋服が映える!」「かっこいい~」という声が止まらない撮影現場でした。
後半では、人気沸騰中のBリーグの試合観戦の楽しみ方や試合前のモチベーションアップのためのルーティン、選手としてのメンタリティを支える書くことと読書について聞きます。また、プライベートで支えになっているお子さんの子育てについても明かしてくれました。(この記事は全2回の第2回目です。第1回を読む)
選手と観客の距離が近いのがBリーグの魅力。僕たちは観客の声援に力をもらい、声が多ければ多いほど体が動く
佐藤さんが活躍するBリーグは、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグの略称で2016年に創設された男子プロバスケットボールリーグです。創設以降、人気は右上がりで2023-24シーズンのリーグ戦合計入場者数は約430万人。前年比4割増で、入場者は女性が5割以上。女性からの人気が高いのも特徴でリピーター率は7割近く。「一度見るとまた来たくなる」魅力があるスポーツです。(『データで見るB.LEAGUE』参照 https://www.bleague.jp/indata/)
「バスケットはアリーナ観戦なので、快適・日に焼けない・汗もかかないと女性には嬉しい環境です。試合の時間も2時間ほどで長すぎず、試合展開が早く飽きないので見やすいです。コートと客席が近いので選手と観客の距離が近いため、臨場感のある試合が楽しめます。近いからこそ好きな選手へのアピールが伝わりやすいし選手もファンサービスしやすい。“推し活”もしやすいので、ぜひ推し選手を作って欲しいです。

僕たちは観客の声援に力をもらっています、声が多ければ多いほど体が動きます。試合前にはアリーナDJによる音楽演出、試合の合間にはハーフタイムショーもあって、パーティのような雰囲気もあります。会場で販売されているアリーナグルメはご当地ならではのグルメがあったり、僕たちのクラブ(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)では選手がプロデュースしたお弁当もありますよ。ぜひ家族や友達と遊びに来てください!」
2025年はチャンピオンシップに出場し、名古屋の人たちをワクワクさせる年にしたい
佐藤さんがいる名古屋ダイヤモンドドルフィンズはB1リーグ、愛知県の4クラブが所属する激戦区と呼ばれる中地区に所属します。4月にはアジア最大規模の新アリーナ「IGアリーナ」が完成する予定で、ますますのBリーグの盛り上がり、名古屋の盛り上がりを後押しします。
「今のチームは中盤から修正して、最後に強いチームです。前のチームから僕が呼ばれたのは、リーグ優勝やタイトルを取るためなので、それに貢献できるようにプレーをし、貢献できるような言葉でチームを引っ張り、歴史を変えていきたいです。

昨シーズンは地区優勝はできたのですがセミファイナルで終わってしまったので、今年はファイナル進出が目標。現在中地区5位ですが(2025年2月2日現在)、勝負どころに強い選手も多いので確実に勝ちを増やし、チャンピオンシップに出場し、名古屋の人たちをワクワクさせる年にしたいですね」
「良い選手=自分を騙すのが上手な選手」とも。“今日はあまり気分じゃないな”という時も、音楽で脳を騙せば体は動く
佐藤さんの試合前のルーティンは、音楽を聴いてモチベーションをアップすること。お気に入りはヒップホップ、自信をくれる曲を聴いて試合に臨みます。
「試合は勝つことが第一ですが、そのためには体がしっかり動くことが必須。体を動かすためには脳を動かす必要があり、“今日はあまり気分じゃないな”という時も脳を騙せば体は動くようになる。良い選手=自分を騙すのが上手な選手とも言われますから。そのための音楽です。試合に出るだけの基準まで脳と体を動かす、主人公感が出せる曲、行くぜ!という気持ちに上げてくれる曲を聴いています。

好きな曲は、ジャパニーズマゲニーズの『愛をもって』、CHICO CARLITOの『Let Go』。チームメイトのザイラン・チータムが作ってくれた“これを聞けばアメリカの文化が分かる”というプレイリストがあって、それを聴いて一緒に歌ってモチベーションアップすることもあります」
心身を整える意味で続けているのがノートに「書く」こと。自己分析にもなり、課題解決や目標達成にもつながる
心身を整える意味で続けているのがノートに書くこと。中学時代、日誌を書かないと部活に参加できないルールがあり必要に駆られて書くようになりましたが、以降1日の振り返りに書く習慣が15年以上続いています。
「中学の顧問は、大谷翔平選手も使っていた原田メソッド(教育者である原田隆文さんが考案した目標達成のためのツール)と取り入れた日誌を書くように指導する先生で、目標達成のためにどうすべきかを考えさせる先生でした。そのおかげでバスケットがさらに好きになり、高校ではバスケットの強豪校に進学。高校でもノートを書くように指導され、今も同じようにノートに書いています。

その後、『メモの魔力』(前田裕二著/幻冬舎)という本に影響されたこともあり、自分に向き合う方法として書くことがより定着したような気がします。今の気持ちと争わず、すべての感情を受け入れてノートに書く。そうすることで今の自分の自己分析にもなり、課題解決や目標達成にもつながります」
読書は生活に欠かせない習慣。午前中のトレーニング時間の合間を読書時間に
それに加え、読書も日々の楽しみのひとつです。幼少期からの絵本体験もあり、生活に欠かせない習慣になっています。
「子どもの頃、兄がすごく勉強ができたので、それに負けないようにと読書するようになりました。中学受験のために勉強するようになり、その時も読解力を鍛えるために読書をしていました。今も変わらずに読書は好きなのですが、実は文字がないと理解できないこともあって。例えば、バスケットのスカウティング(相手チームの分析)の時にも、言葉で言われても理解できず文字で書かないと頭に入ってこなかったりもして困る時もあります(笑)」

午前中はトレーニング、午後は練習や試合が中心のため、午前中のトレーニング時間の合間を読書時間に充てています。紙の本だけでなくオーディオブックを活用することもあり、自己啓発書やビジネス書、ヘルスケア、ライフスタイル系を読むことが多いそうです。
「以前に読んで面白くて、実生活にも取り入れているのが『ICEMAN 病気にならない体のつくりかた』(ヴィム・ホフ著/サンマーク出版)。アイスバスに入ることで、血管を収縮させて風邪をひきにくくするというものです。僕も夏から水シャワーにして取り入れていますが、とても調子がいいですね。この本では呼吸法についても触れていますが、僕も食事、睡眠、そして呼吸も大事にしています」
子どもとは常に対等でいたい。一人の人間として子ども扱いせず、どんな時もそばで支えてあげられるような存在でいたい
「試合に負けて帰った時、子どもが“そういう時もあるよね”と返してくれたり、“シュート何回決めたの?”と聞かれて“ゼロだよ”と答えたりして、負けたことをさらりといじってくれるんです(笑)。それが逆に癒されますしエネルギーになります。子どもとは常に対等でいたいし、一人の人間として子ども扱いせず、どんな時もそばで支えてあげられるような存在でいたいです。自分と親との関係にも近いですが、友達みたいな関係が理想だと思います。

チームには多様な国の選手がいて、その選手の子どもと遊ぶこともあります。英語のスクールにも通わせていますが、多様な文化に触れていろいろな経験をして欲しいですね。家のルールとして大切にしているのは、きちんとあいさつする、食事の時にはひじをつかない、とか最低限のことですね。当たり前のことを当たり前にできるようになってもらいたいです」
My wellness journey
佐藤卓磨さんに聞きました
心のウェルネスのためにしていること
「よく食べてよく寝ること、そしてサウナに行くことです。肉・野菜・米をバランスよく食べるようにしています。寝る時間については、夜試合がある時は遅くなる時もあるのですが、なるべく起床時間を揃えるように気をつけていて、スマートリングを使って日々の睡眠の質や時間を管理するようにしています。とはいえ、寝れない日もあるので、そこはあまり悩まないようにしています」
体のウェルネスのためにしていること
「自分の気持ちと争わないこと。悩み、負の感情をすべて受け入れるようにして、それをノートに書くようにしています」

インタビュー前編はこちらからお読みいただけます
Staff Credit
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子
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