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LIFE

暮らしの「ダウンサイジング」で、人生が変わった!

お気に入りの食器を1/3の量に

地震をきっかけに、ものを手放すように。衣食住にまつわるYouTubeが話題!深尾双葉さんの「ダウンサイジングルール」

  • @homeLEE 私らしく建てる、心地よく暮らす

2024.06.18

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今、なぜ暮らしを「ダウンサイジング」?

人生が回り始めた私の「ダウンサイジングストーリー」

何がきっかけで、どうやってものを減らし、その結果どう変わった? 気になるのは、その詳細。家をすっきりさせることで暮らしを前向きに転換した方のリアルな体験談は、あなたがダウンサイジングに着手する、何よりのモチベーションになるはず。

深尾双葉さん

深尾双葉さん
  • 家族構成:夫 
  • 間取り:3LDK 広さ:65㎡

石川県在住。東京で雑貨店に勤務後、金沢市で器と古道具の店を営んだ経験を持つ。現在は自身のYouTubeチャンネル「futaba」を中心に、動画クリエイターとして活動。インスタグラム(lesmoules___

ダウンサイジングして  どう人生が変わった?

・“本当に好きなもの”が明確に。余白があるから、それらが引き立つ
・“素敵なものを持たなきゃ”という見栄がなくなった
・背負うものを少なくしたら、移住という選択肢も見えてきた

深尾双葉さん宅
「手放すことは、言い換えれば本当に好きなものだけに囲まれること」と深尾さん。最近は数だけではなく、サイズダウンも課題。「テーブルは夫婦2人には大きすぎるので、小さなものに替えたいと思っています」

お気に入りの食器を1/3の量に

地震をきっかけに、価値観が一変。ものが少ないほど魅力がきわだつと気づきました

YouTubeで衣食住にまつわる動画を投稿し、人気を博す深尾さん。動画の内容が変わったのは、今年に入ってからのこと。「手放す」や「捨て活」をテーマとした投稿が多くなったのです。

「きっかけは元日の地震でした。私は金沢在住ですが、発生時は別の場所にいたので揺れは体験していないんです。自宅も小物が割れたり倒れたりした程度で、大きな被害はなかったけれど、あのときに間違いなく価値観が変わりました」 続く余震。報道で被害状況が明らかになるにつれ、ものを多く持つことに興味を持てなくなりました。大好きで集めていた器、骨董、雑貨。これらに執着する意味って何だろう? あの地震を経験した後では、いくらじっくり考えてみても、自分を納得させられる答えは見つかりませんでした。

「はじめはこまごまとした雑貨から。それらを手放したら、驚くほど気持ちが晴れやかになったんです。これまでは今ひとつ『ミニマリスト』の意義を理解できなかったけれど、自分が実際に手放して心地よさを体感し、ようやく腑に落ちました。それをきっかけに、倒れてきたらけがをしそうな寝室のオープンシェルフ、奥行きが小さく不安定だった台所の棚、使う場面が減っていたデスクと、次々に“本当はわが家にいらなかった家具”も消えていきました」 

Before

Before食器
今の3倍ほどの食器が。取り出しづらく、あまり使っていないものも多々。

以前は、器と古道具の店を営んでいた深尾さん。“もの”に対する思いは人一倍なのに、あっさり別れを告げられたのは、ものを選び取る視点がいつの間にか変わっていたことに気づいたから。「動画を発信するようになり、カメラに映したときに素敵に見えるもの、ひとが持っていないもの……いつの間にかそんな視点でものを選ぶことが増えていたんですね。誰かの目を気にすることなく、自分にとって必要なものだけ、と考えたら、驚くほど執着がなくなったんです。本当に好きなものは、実は少なかった。“なんとなく好き”を手放したら、とても軽やかになりました。以前は、抱えている多くのものが私らしさを表現していると考えていたけれど、それは逆でした。ものが少なくなればなるほど、空間に私らしさが色濃くなっていくことを感じましたし、残したものの魅力もまた、きわだつようになったと感じています」

深尾双葉さん

寝室には大きなものは置かない

寝室

以前、寝室にあった大きなオープンシェルフとそこに飾られていた雑貨類は、深尾さん宅のシンボルだった。今は雑貨も含めて手放し、和室にあった低い和だんすに置き換えた。「地震を考えると、寝室は安全が第一だと実感しました」

本当に好きなものだけを厳選

絵と椅子

絵は本当に大切にしたいものだけを残し、椅子もお気に入りのヴィンテージを厳選し、数脚しか残さなかった。

飾り棚は余白を意識して

棚

いつまでも眺めていたい雑貨だけを飾り棚に。ものを減らしてようやく気づいたのは、〝余白こそがものを美しく見せる〞ということ。

お茶を入れながらくつろぐ深尾さん

深尾双葉さん

ものに囲まれているときは、家にいてもどこか落ち着かなかった。今は、心からくつろげるように。



ダウンサイジングして食生活も自然と摂生を心がけるように

実は今まで、考えごとをしたいときは近くのカフェに出かけていたという深尾さん。

「自宅はものが多いため、気が散っていたんですね。視覚から入る情報が多すぎて集中できなかったのだと思います。ものを手放すたび、どんどん頭の中もクリアになる感覚が。自分がどういうものが好きなのか取捨選択に迷いがなくなりましたし、体そのものをすっきりさせたくなり、食生活も自然と摂生を心がけるようになりました」 時には“生活に必須”と思い込まれているものまで手放す潔さも。

「和室と寝室の照明は、突き詰めて考えたら本当に好きとは思えなかったので、外してしまいました。今は、夜は小さなライトを持って移動しています。好きでないものが常に目に入る状態より、むしろその不便さのほうが心地いいし、すっかり慣れてしまいました」 

研ぎ澄まされていく空間。増していくのは軽やかさだと言います。

「背負うものを減らしていくと、さまざまなことに執着がなくなるんですね。以前は家を買って好きなように改築したいと思っていたけれど、その思いも薄くなりました。これまで金沢を離れることなんて思いもしなかったけれど、今はどこにでも住める、自由に選んでいいんだと、暮らしに対する姿勢もとても軽やかになっています」

深尾双葉さん

お茶の道具は厳選したものだけ

お茶の道具

たくさんあったお茶の道具も厳選。「コーヒーの道具はほとんど手放しました。ドリップが上手でないのに、持っているのはもったいなく感じて」

風通しがよくなった食器棚

食器類

器を重ねて収納することが減り、食器棚の風通しがよくなった。「骨董の器を集めるのは、夫の趣味でもあります。減らしたい、というのはあくまで私の気持ち。夫にまでは強要しません。私の様子を見て、手放す心地よさに少し影響されたようですが」

お茶にゆっくり向き合える余裕も

深尾双葉さん

気づけばいつもネットで〝何か〞を探していたけれど、今は一杯のお茶にゆっくり向き合える余裕が生まれた。

Downsizing Rules

深尾双葉さんのダウンサイジングルール5

Rule_1
“まにあわせ”だったものから見直しの対象に

今の家に合わせて買ったわけではない家具、深く考えずに選んだ小物……〝まにあわせ〞のものの使いづらさや気に入らない点を洗い出してみる。

ステンレスの棚

実家から受け継いで、なんとなく使っていた木製の棚は、奥行きが狭く不安定だった。低いステンレス棚に替えてすっきり。

Rule_2
なくした後、気に入るものが見つかるまでは代用品で

少々不便でも、気に入らないものが視界に入るよりは気持ちいい。また、一度手放すことで大切さに気づくこともある。

ポータブルランプ

和室と寝室の照明は撤去。夜はポータブルランプを持って移動する。

おひつ

一方、一度は手放したものの、自分には必要と実感したのはごはんをおいしくするおひつ。

Rule_3:
服は「黒だけでいい」と気づいて、半量に

昨年から、〝色の手放し〞も。それはインテリアだけでなく服にまで。服選びに迷わなくなり、ムダな時間も手放せた。

クローゼット

以前は鮮やかな色の服も着ていたけれど、最近惹かれるのは黒ばかり。気に入っている白い服は、黒に染め直して着用。

Rule_4:
不可欠と気づいた防災備蓄品だけは、ぐっと増やした

ものを手放すきっかけとなった地震。何がどれだけ必要かを考え、食料は長期保存可能なものを中心にした自分らしい備蓄スタイルに。

備蓄品
アルミの収納

和室の押し入れは引き戸を外し、一目瞭然の収納に。下のアルミコンテナのうち7個が、防災用の備蓄品。開け閉めしやすい上段右には普段使いの食品を配置。

Rule_5:
家族には、ものを減らすことを強要しない

ものを手放すのは、心地よく穏やかに暮らすため。空間をシェアする相手だからこそ、それぞれの価値観を尊重する。

Staff Credit

撮影/メグミ 取材・原文/福山雅美

こちらは2024年7月号(6/7発売)『暮らしの「ダウンサイジング」で、人生が変わった!』に掲載の記事です。※商品価格は消費税込みの総額表示(2024年7月号現在)です。

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