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私のウェルネスを探して/AYANAさんインタビュー前編

ビューティライターAYANAさんに学ぶ「好きなことを仕事にして食べていく」ための超実践的思考法

  • LEE編集部

2023.10.26

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AYANAさん

今回のゲストは、ビューティライターのAYANAさんです。AYANAさんは、化粧品会社で企画開発やブランディング、販売促進に長年携わり、35歳からフリーランスに。現在は、敏感肌ブランド『OSAJI』のメイクアップコレクションのディレクターやメディアでの執筆、文章講座「EMOTIONAL WRITING METHOD」の開講など、精力的に活動しています。AYANAさんのしなやかで心をつかむ文章は、美容業界のみならず各界からのファンも多く、日々発信するインスタグラムの投稿も人気を集めています。

前半では、AYANAさんが美容業界を目指すようになったきっかけや肩書きをビューティライターに変えた理由、『OSAJI』のメイクアップライン誕生秘話、文章講座を始めたいきさつについて聞きます。

「ビューティライター」という肩書きの必然性

AYANAさんが美容業界を目指そうと思ったのは高校生の頃。海外のファッション誌や写真集を愛読し、雑誌『CUTiE』のメイクアップアーティスト・渡辺サブロオさんの連載で、メイクで女の子が変身する企画が好きでした。憧れていた職業は、メイクアップアーティスト。しかし親から大学は出たほうがいいと言われ、まずは大学に進学します。大学に通いつつ1年間アルバイトでお金を貯め、大学3年からメイクアップスクールへ、以降ダブルスクールで学び始めます。

AYANAさん

「当時、美容雑誌はまだ業界誌しかなく、創刊されたものは『自分をどう美しく愛らしく見せるか』のテクニックを紹介するものが多かった印象です。私はどちらかと言えば、きれいになる、かわいくなる、そういった美容の手段としてのメイクアップよりも、アーティスティックなモードメイクアップが好きでした。そもそもミュージシャンや写真家などのアーティストに強い憧れを持っていたので、顔=キャンバスくらいの感覚だったなと思います」

大学卒業後は、日本のメイクアップアーティストブランドに入社。その後、いくつかの会社で、化粧品の商品開発やブランドのディクレション、MDなどを担当し、フリーランスとして独立。美容業界にいた13年間の経験を活かし、ライターの仕事と並行して、商品開発やブランドディレクションに関わりました。独立後の肩書きは“ライター・プランナー”でしたが、2018年に“ビューティライター”に変えます。

AYANAさん

「ちょうどその頃、人にメイクを教えたりその人に合うコスメを教えていた時期があり、肩書きに“アドバイザー”を加えようと思っていました。コピーライターの友人に相談したら、『むしろ肩書きを絞ったら? 仕事を頼みたいと思った時、肩書きが10ある人と1つの人だったら、私は1つの人に頼みたい』とアドバイスをもらって。今後何を一番にやっていきたいかを考えたらやはり書くことだなと思いました。“美容ライター”はピンとこないけど“ビューティライター”ならいいんじゃないかと。また別の友人にも『どうして肩書きに“美容”がついてないの? “ビューティ”をつけないのがもったいない』と、言われていて。それで肩書きを変えました」

『OSAJI』メイクアップコレクション色名イメージソースは本、漫画、歌詞etc.

2018年には、コスメブランド『OSAJI』のメイクアップコレクションのディレクターに就任(ローンチは2019年)。アイテム設計や色作り、コンセプト周り、テキスト全般はもちろんのこと、ブランドロゴやパッケージもデザイナーとゼロから作りました。『OSAJI』と言えば特徴のあるネーミングが有名ですが、それにはこんな理由が。

AYANAさん

「メイクアップラインを作る時、すでにマーケットにいらっしゃる先人たちに失礼のないようにしたいと思いました。色の名前も、他のブランドの真似にならないような表現で『OSAJI』のメイドインジャパンのニュアンスも入れられるものを、と考えました。そうして“襟”“白昼夢”“寄り道”といったネーミングが生まれました。イメージソースは私がそれまで読んだ本、漫画、歌詞など。受け取る人によって、違うものが想像できる名前がいいなと思って決めています」

10月から発売されている、2023 HOLIDAY COLLECTIONのテーマは「DEPARTURES」。今年は写真家の尾身沙紀氏さんの写真からインスピレーションを受けたアイテムを展開しています。ネイル6色、アイシャドウパレット1色、フェイスカラーパレット1色。ネイルの色名は“ペルソナ”“終着駅”“覚醒”“いつくしみ”など、とても抒情的です。

OSAJIメイクアップコレクション
こちらは2022年のHOLIDAY MAKEUP COLLECTIONのNUANCE EYESHADOW PALETTE。

「『OSAJI』をやっていて予想外に嬉しかったのは、推しのメンカラ(メンバーカラー)で選んでくれたりすることです。私の手元を離れて、新しいつながりが生まれていくのが嬉しいですね」



フリーランスならではの悩みから文章講座をスタート

2020年には、文章講座「EMOTIONAL WRITING METHOD」(エモ文)をスタート。きっかけは、 「今後どう仕事を続けていけば良いか」というフリーランスならではの悩みでした。友人のビジネスコンサルタントに相談、自分で始められる仕事として提案されたのが文章講座でした。

「私の仕事はすべて受け仕事。発注がなければ仕事がない、ということを友人のコーチングで気付かされました。そこで、何か自分で回せる仕事があったらいいのではないかと提案されて。その頃、コスメのパーソナルカウンセリングもやっていたのですが、ひとりひとりに向けて行うと時間もかかってしまい、ビジネスとして成立させる難しさを感じていました。文章講座ならある程度メソッドを確立することができるので、可能性がありました。コンサルタントと相談しながらカリキュラム、テキストを一人で全部作りました」

当初はリアルで行う予定でしたが、コロナ禍になり急遽オンライン講座に変更。「Zoomの活用やオンラインでのファイル管理がスムーズにできたので、逆にオンラインでスタートできたのが良かったです」。カリキュラムは3コース、ワンデーレッスンの“パーソナルコース入門編”、6回かけて実践力を学ぶ“パーソナルコース応用編”、企業の方向けの“コーポレートコース”。受講者はSNSで発信をしたい人やプロのライターを目指す人、コスメのPRの方もいたりとさまざまです。

コスメやスキンケアの感想は「オーディエンス感覚」で書く

2019年には、『北欧、暮らしの道具店』で新たに展開するオリジナルのコスメのアドバイザーを担当。先行してAYANAさんのことを知ってもらうために連載がスタートします。その連載をまとめた本が『「美しい」のものさし』(双葉社)です。

『「美しい」のものさし』

「『北欧、暮らしの道具店』らしいトーンに合わせて、毎回編集者さんと相談して執筆しました。一冊にまとめたとはいえ、全25編のうち20編は書き下ろしです。いつも考えていることを言語化した本ですが、自分の中で大切にしていること、好きなもの、美しさの基準のようなものをだと思っています。私の人生を変えたスキンケア、メイクアイテム、漫画なども取り上げています」

インスタグラムで日々おすすめの美容アイテムを紹介し、人気を集めています。ここでは“本音”にこだわり、感じたことを素直に伝えるようにしています。

「コスメやスキンケアの感想は、オーディエンス感覚で書いています。レビューや食レポを綴るイメージですね。使ってみてもし何か気になる箇所、自分には合わないと感じるところがあったら“なぜそこが気になるんだろう”“自分に合わなかった理由はなんだろう”と探りたいと思う。私には合わなかったとしても“こういう人には合うんじゃないか”と、別の良いところが伝わるように紹介しています。ただシャッターを下ろすことはしないようにしています」

AYANAさん

My wellness journey

私のウェルネスを探して

AYANAさんの年表

1976年 神奈川県生まれ
1998年(18歳) 東海大学文学部に入学。大学在学中からメイクアップの専門学校に通う
1997年(23歳) 大学を卒業。メイクアップスクールに通い続けながら、アルバイトをする。日本のメイクアップアーティストブランドに入社。
2007年(31歳) 結婚
2009年(33歳) 離婚
2011年(35歳) フリーランスになる
2013年(37歳) 結婚
2015年(39歳) 出産
2018年(42歳) 離婚。肩書きを「ビューティライター」に変える
2019年(43歳) 北欧、暮らしの道具店』のオリジナルコスメのアドバイザーを務める。『OSAJI』メイクアップコレクションのディレクターを務める
2020年(44歳) 文章講座「EMOTIONAL WRITING METHOD」(エモ文)を始める
2021年(45歳) 著書『「美しい」のものさし』(双葉社)を出版
AYANAさん

Staff Credit

撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

おしゃれも暮らしも自分らしく!

LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
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