「……来てる!」
わかる人にはわかる「花粉」の襲来というもの。
今年(2023年)も、すでに飛び始めていると感じている方も少なくないことでしょう。
そんな今、毎春のように花粉と格闘している方も、本意ではなく初心者になりかけている方にも。ぜひ知っておいてほしい、暮らしの花粉対策があります。
花粉対策グッズは年々進化していますが、今回は原点回帰で、基礎的だけど意外と意識されていない対策・テクニックを、お伝えしていきたいと思います。
主目的は「花粉をできるだけ家の中へ持ち込まない」こと!
私自身、花粉症歴24年目でも、これに気をつけることもあってか年々症状が軽減していっています。ぜひ、前向きに試していただけるとうれしいです。
1.こまめに体の静電気を逃す「アース」をしよう!
花粉って、普通、ドアや窓から勝手に家に入ってくるもの?
それもないわけではありませんが、実のところ私たち自身(人間)が出入りの際に野外から身体につけて家の中に持ち込んでしまっている割合が大きいのです。
とはいえ花粉は、ごく微細な存在。
肉眼では見えませんし、知らず識らず身体に付着することで私たちに嫌な症状を引き起こします。つまり、何より、
服や身体に花粉を「くっつかせない」ことが大切。
そしてその「くっつく」要因の一つが身体(服)に発生する「静電気」なのです。
静電気とは、モノとモノが触れ、擦れあう摩擦によって発生する電気のこと。
身体と服、服と服。シャツとニットとコートのように、衣類を複数重ねて着がちな寒い時季は摩擦も増えるため、静電気が発生しやすいのですが、体感的に知っている方は多いと思います。
発生した電気も周りの空気が湿ってさえすれば、空気中に自然と流れて逃げてくれます(梅雨や夏に静電気が起きにくい理由のひとつ)。
でも空気の乾燥している時季には身体の周りに蓄えられ、とどまり動けない=「静」電気となってしまいがちなのです。
そこで「花粉」を吸い寄せないため、すぐにできることのひとつとして、この身体に溜まった「静電気をこまめに逃がす」(アースする)ことを心がけてみましょう。
方法は簡単。「建物の壁」「ドアの面」「木の幹」などに、手のひら全体でベタッと触れるだけ。
「ペタッ(アース)」という仕草を、出先での活動中もちょくちょく行いつつ、家に入る直前にもドアなどに「ペタッ」。ぜひ片手を触れさせた状態で「アース」しながら服にブラシをかけるなどし、玄関ドアを開けるようにしてみてください。
電気を通しやすい金属製品(ドアノブなど)に触れてしまうと、一気に電気が流れて「バチッ!」。ビックリするやら痛いやらで大変です。
なので、上記のような、ゆっくりと電気を逃すことができる場所に触れてアースする「放電習慣」をぜひ意識してみてください。
2.この時季は「花粉のつきにくさ」でファッションを再考してみよう!
なんと、たった1時間、外を歩くだけで8万個の花粉が服にくっついてしまうというデータが……(※1)。
私たち自身が、おうちにせっせと花粉を運ぶ「花粉の運び屋」になっているなら、なんと虚しいことでしょう。
花粉は、湿ると爆発するような構造になっていて、繊維にからまりやすい性質があることがわかっています。
つまり、湿気を吸いやすいウールの上着(コート)を着るのは、花粉の時季には要注意。
そしてウール同様に動物繊維である、私たちの汗ばみやすい「髪の毛」も、できるだけ何かで覆ってしまうのがベターです。
たとえば大判のストールを使って、往年の女優さんよろしくフーディーのように覆ってしまうのも一案です。
そして先の「静電気」を発生させにくい服の組み合わせにしていくのも手。
たとえば、以下のような素材は電気を帯びにくいことで知られています。
静電気が起きにくい素材
●コットン
●リネン
●シルク
●レーヨン
そのため、身体に近く頻繁に摩擦の起こりやすい下着類を、こういった素材のものに花粉の季節は切り替えていくのもひとつの方法です。
加えて、マイナスの電気を帯びやすい素材と、プラスの電気を帯びやすい素材の服を「隣り合わせ」で着ると、容易に静電気が発生してしまうといった点にも着目したいところ。
マイナスの電気を帯びやすい素材
●ポリエステル
●アクリル
プラスの電気を帯びやすい素材
●ウール
●ナイロン
たとえば「ポリエステル」のスカートの下に「ナイロン」のストッキングを履いているような場合、とても静電気が発生しやすく、少し歩いただけで下半身にまとわりつくようなことになりがちですよね。
アスファルトなどに落ちた花粉を巻き上げて付着させやすくもなるので、この時季この組み合わせは避けたほうが無難かもしれません。
重ね着をする際、できるだけ同じ性質の電気を帯びる衣類同士にするというのも、飛んでくる花粉を吸い寄せにくくするために大切な知恵です。
静電気は花粉以外の汚れ微粒子も引き寄せてしまうので、静電気対策をすることは服そのものの黒ずみ汚れ防止につながります。そう考えると花粉をつきにくくする工夫を講じるのは、一石二鳥かも知れませんね。
3.家の入り口で「家電」パワーを生かそう!
花粉に悩まされている家族が多いなど、最大限花粉対策をしたいなら、できるだけ外出時の服は住まいの玄関近くで脱いでしまうのがベスト。外出した衣類で寝室などまで移動しないことが大切です。
花粉の付着しやすいアウターの肩やボトムの裾は、玄関先で軽くブラッシング(できれば静電気の発生しにくい馬毛のブラシなどで)、ないし粘着テープを全体にかけてから家に入りましょう。
小さい子がいたりしていちいちブラシをかけられない場合には、前述のように「ペタッ」とドア面などに触れてアースしてから、軽くアウターをはたくだけでも、何もしないよりずっとベター。
脱いだらコートハンガーなどに吊るします。
さらにこのエリアで空気清浄機(家電)を常にスタンバイさせておくと、舞い上がった花粉が他の部屋に逃げにくくなり、おすすめです。
玄関先に下げておく衣類を、花粉抑制効果のある脱臭ハンガーにかけるようにしたり、玄関周りのスペースにゆとりがあればロッカー状の大型衣類ケア家電を設置するのも一案です。
外出後の衣類に付着した微細なホコリや汚れを、微振動やスチームで落としきれるので、まさに理想的と言えます。
とにもかくにも、花粉の症状を引き起こすリスクを減らすには「家の中に入れる花粉の総量を減らす」。これがキモ!
ぜひ、無理なくできるところから、実践してみてくださいね。
※1)出典:LION エレガード https://guard.lion.co.jp/eleguard/protect/kafun.htm
先取りで安心! おそうじ歳時記
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。
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