【プロに聞く「教育費」の不安解消】大学入学までに1人500万は貯めたい!そのための3つのポイント、見直し方は?
2023.01.21
習い事、将来の学費、入学費・・・かけようと思ったら、青天井でかかってしまうのが、子どもの「教育費」。
家計や子どもの将来などなど、わが家に合わせてどのように準備したらいいかの考え方を、ファイナンシャルプランナー井戸美枝さんにうかがいました!
プロに聞く「教育費」の不安解消
かけたい額と、かけられる額を冷静に考えて
教えてくれたのは・・・
ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん
社会保険労務士、経済エッセイスト。講演や執筆、テレビ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題について解説。著書に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』『お金がなくてもFIREできる』(ともに日経BP)等。
公式サイト:https://mie-ido.com/
まずは不安を見える化!
教育費、いったいいくらかかるの?
まずは下記の表で、費用の目安を確認してみてください。
「高校までの費用は毎月の月収の中でやりくりを。と同時に、一番大きなお金がかかるのが大学なので、その費用も貯めていきましょう。
国公立か私立かにもよりますが、18歳時点で1人500万円は準備したいところ。子どもが2人以上いると、高校入学と大学入学が重なって家計が赤字になる場合もあるので、より意識して準備して」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
すべて国公立の場合 (在学中の合計)
小学校 | 約 193 万円 |
中学校 | 約 147 万円 |
高校 | 約 137 万円 |
大学 | 約 455 万円 |
合計 | 合計 932 万円 |
すべて私立の場合 (在学中の合計)
小学校 | 約 959 万円 |
中学校 | 約 422 万円 |
高校 | 約 291 万円 |
大学 | 約 663 万円 |
合計 | 合計 2335 万円 |
●「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費(習い事、塾代)」を含む(小学校から高校まで。大学は除く)
※大学…私立は文系で、国公立・私立ともに自宅通学の場合。
出典:小学校から高校までは、文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」、大学は、日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」より、入学費用(受験費用、学校納付金、入学しなかった学校への納付金)と、在学中の学校教育費(授業料、通学費、教科書代など)を合算した編集部試算。
子どもが大学入学までに1人につき500万円は貯めておきたい!
大学でひとり暮らしの場合はその費用も上乗せされます。奨学金や教育ローンは、〝借金〞なのでアテにしないことが大切!
「教育費は必要になる時期が事前にわかっているので、早めからコツコツ準備を。子どもとも、進路とお金について相談しておきたいですね」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
では実際、どうやって貯めればいいの?
準備しておきたい「教育費」3つのポイント
【1】できれば手取りの20%を貯蓄したい!
共働き家庭なら、頑張って20%程度は貯めたいと井戸さん。
「子どもの就学前は、できれば世帯の手取りの20%、厳しければ17%は貯めましょう。塾代がかさむ時期になっても、できれば10%を目標に。
日々かかる教育費を優先するあまり、貯蓄率を下げてしまわないように注意して。収入が上がったら、その分月々の貯蓄も増やしましょう。余ったら老後資金にもできます」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
【2】児童手当はすべて貯める
児童手当を0歳からすべて貯めると、子ども1人につき200万円ほどに!
「基本的に保護者の銀行口座に振り込まれますが、生活費として使ってしまわず、教育費としてすべて貯めていきましょう。
トータル目標の500万円のうち、児童手当だけで200万円確保できれば、あと300万円。これならなんとかなりそうですよね。毎月コツコツと貯金や投資で準備していきましょう」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
【3】つみたてNISAもぜひ活用を!
超低金利の今、できれば投資も検討したいところ。
「貯金も大切ですが、全額現金で準備をしていると、インフレで将来教育費が値上がりした場合に足りなくなるかもしれません。
つみたてNISAを通じて株に投資しておけば、株はインフレに強い資産なので、物価高に合わせて資産額も一緒に増えていくと考えられます。貯金と併用していきたいですね」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
とはいっても、家計に余裕がない……
そんな人は、この3つをまずチェック!
【1】入りすぎの保険、ライフスタイルに合っていない保険
「貯蓄型保険は、お金を増やす面で考えるとお得とは言えません。掛け捨ての死亡保険や医療保険だけなら、毎月支払う保険料はあまり高くならないはず。保険料が手取りの1割以上なら、払いすぎなので見直しましょう。高額療養費制度のおかげで大きな医療費はかからないので、ある程度の貯金があれば、医療保険も不要でしょう」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
【2】携帯電話を格安SIMに
「携帯電話代がかさみ、家計を圧迫しているケースも多いので、格安SIMへ変更するのも選択肢です。手続きが店頭でできず、ネットのみの場合もありますが、月に数千円ほど安くなるはず」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
【3】入りっぱなしのサブスク
「動画配信サービスに複数加入して観きれていなかったり、夫婦で同じサブスクに加入したりしていないでしょうか。健康食品の定期購入費やジムの費用も、本当に活用できているか確認を」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
目の前の習い事と、将来の学費のバランスは?
親の不安を埋めることにお金を使わず、子どもにやりたいことができたときに、お金を出せるよう準備を
習い事に塾、将来の大学、さらには留学……と、子どものための教育費は、いくらあっても足りなくなりそう。
「私自身も経験がありますが、わが子はかわいいので、小さいうちから習い事をたくさんさせてしまうことに注意です。
本人が楽しんでいればいいのですが、『まわりのみんなが通っているから念のため』などの理由ではもったいないですし、将来、大学などの学費不足につながってしまうと本末転倒です。
子どもが大きくなって自分でやりたいと選んだことのためにお金を回すほうが、最終的には子どもに喜んでもらえると思います」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
こんな貯め方はおすすめしません
長期でお金が拘束される商品はあまりよくない!
学資保険
まだまだ人気の学資保険は、インフレ時代には合っていないそう。
「学資保険は長い期間をかけて返戻率が+10%に満たないものが多いですね。教育費は年々上がっているので、子どもが赤ちゃんの頃に想定していた大学の費用よりも多く必要になるかもしれません。
中途解約で元本割れする商品が多いのもデメリット。保険は掛け捨てにして、増やしたいならつみたてNISAを活用するのがおすすめ」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
外貨建ての保険
増やせる保険ですよと、すすめられたことがある人もいるのでは。
「外貨建ての保険は手数料がいくらかかっているかわかりにくい商品。しかも為替の状況を見て日本円で引き出す必要がある点にも注意。使う時期が決まっている教育費にはふさわしくありません。
保障は掛け捨てのものにして、貯蓄とは切り離して考えましょう」(ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん)
イラストレーション/taro 取材・原文/西山美紀
こちらは2022年LEE12月号(11/7発売)別冊付録『未来に自信がつくお金のイエローページ』に掲載の記事です。
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