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円安・インフレで私たちのお金どうなるの?

円安・インフレ対策時代に、お金と暮らしをどう守る?投資の疑問にプロが答えます!

2022.08.29

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円安やインフレで、私たちが持っている「日本円」の価値が下がってしまう!
では、今後のお金と暮らしを守るために、知っておきたいこと、備える術はあるのでしょうか?

お金と暮らしをどう守る?
今サイフに入っている1万円は数年後には「1万円」じゃなくなります

教えてくれたのは・・・
インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん

インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん

1999年にFPの資格を取得後、2000年に独立。投資信託クリニック代表。完全オンラインで個別アドバイスを行うほか、講演などを通じて長期・積立・国際分散投資のメリットを広めている。著書に『積立て投資術』(明日香出版社)など。
Twitter:@4649kang

支出の見直しに加えてもう一歩踏み込んだ対策を

支出の見直しに加えてもう一歩踏み込んだ対策を

円安、インフレが起きると、「日本円」「現金」の価値が目減りします。こうした状況への対策はあるのでしょうか?

「その状況に対抗するため、日々の支出を見直し、節約することはもちろんとても大切なことです。ですが、それだけでは厳しいかもしれません」とカンさん。

「世界に目を向けると、例えば経済成長が著しいインドでは、1年の物価上昇率は7%ほど。
これは極端な例ではありますが、仮にその状況が続けば、10年で物価は2倍に。その際に持っているのが貯金(現金)だけでは、資産価値が半分になってしまいます。支出の見直しに加えて、もう一歩進んだ対策をしておきたいですね」

もし日本が不況から抜け出せず、それどころか世界でスタグフレーションが起きたとしても、打つ手はあるといいます。

「スタグフレーション下でも、ブランド力がある企業はコストを上手に値段に反映させて利益を増やし、株価はいずれ上昇するでしょう。
その恩恵にあずかるような方法、つまり世界中の企業への分散投資で、暮らしを守るための対策をすることをおすすめしたいです」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

プロが進める円安・インフレ対策!
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を積み立てましょう

世界中の企業の株、約3000銘柄にこれ1本で投資できる投資信託

「これ1本を買うだけで、日本を含む50の国と地域、3000社ほどの株式に投資できます。その中にはアップルやマイクロソフトなど、世界中のすごい企業が入っていて、時代に応じて入れ替えもあります。
株はインフレに強い資産と言われていて、株価は物価とともに上がることが多いです。またほぼ『外貨建て』の商品のため、ドルやユーロに対して円安になると、それだけで評価額が上がる=円安に強いという面も。
信託報酬と呼ばれる、投資信託を持っている間にかかる手数料が非常に安いのも魅力です。20~30年後、物価が倍になっていても豊かな暮らしをするために、長い目で投資をしていきましょう」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

国・地域別構成比率(2021年9月現在)

「eMAXIS Slim 全世界株式」国・地域別構成比率(2021年9月現在)

出典:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)投資信託説明書

組み入れ上位銘柄(2021年10月現在)

1.アップル
2.マイクロソフト
3.アマゾンドットコム
4.テスラ
5.アルファベットA(グーグル)

あのすごい会社の〝株主〟になれちゃいます!
「投資」とは20~30年後の暮らしのためにお金をゆっくり育てていくことです。



気になる投資の疑問01
どうして「投資」なんですか?値下がりのリスクがあるのでは?

A.株に投資をするのが最も〝伸び〞が期待できるからです

株に投資をするのが最も〝伸び〞が期待できる

出典:『Stocks for the Long Run 5/E』Jeremy J. Siegelを参考に編集部で作成

「上のグラフのように、1802年にそれぞれ1ドル持っていた場合、200年後には現金や金、債券などと比べて、株が最も大きな伸びを見せています。短期的には上がり下がりはありますが、トータルでは1年あたり6%以上の上昇。
逆に現金は価値が減っていることがわかりますね。物価が上がる分、現金こそが『値下がり』していると言えるということです。
また金は安全資産とよく言われますが、減ってこそいませんが、それほど増えてもいません。
もちろんこれは過去のデータなので、未来のことを約束するものではありません。でも長い目で見れば、株に投資をしておくと、大きな資産アップが期待できると思います」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

気になる投資の疑問02
どうして「投資信託」なんですか?個別株なら優待もあるのに

A.リスクを分散できるからです

リスクを分散できる

「個別の株は大きく値上がりしたり、株主優待をもらえたりすることもありますが、逆に優待では埋めきれないほど株価が大きく下がってしまうことも。個別の株価の予測はお金のプロでも難しいもの。
その点、上で紹介した投資信託は1本で約3000銘柄に投資できるので、下がる銘柄があっても上がる銘柄もあり、トータルではプラスになっていくことが期待できます。投資信託は少額から買えるのも、おすすめしたい点ですね」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

気になる投資の疑問03
どうして「積み立て」がいいんですか?

積み立て投資クイズ

毎月1万円10年間ずつ、積立投資をしました(計120万円)。途中まで大きく値下がりして、10年でやっと元に戻った場合、手元にあるお金(評価額)はいくら?

A.安いときにたくさん買えて株価が上がらなくても利益が!

「まず上のクイズに答えてみてください。この条件で積立投資をすると、元本120万円で、答えはなんと『C』の241万円。
積立投資を毎月金額が変わるりんごを買っていくことに例えると、値段が下がるほどりんごをたくさん買えるから、この結果になるんですね」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

積立投資のイメージ:毎月1000円ずつ、りんご(株)を買うと?

1ヶ月目 500円/個・・・2個買える
2ヶ月目 250円/個・・・4個買える
3ヶ月目 400円/個・・・2.5個買える

2ヶ月目、3ヶ月目にりんご(株)が値下がり。4カ月目、りんごが500円に戻るとして、そのときに持っている8.5個をすべて売ると4250円。りんごの値段は元に戻っただけなのに1250円の利益!

「では、安いときにまとめてドンと買えばいいじゃないか。でもそんなに人のメンタルは強くないし、いつ下がるかの予測も非常に難しい。だから毎月、自動で積み立てを行っていくのがいいんですね」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

気になる投資の疑問04
現金はどれくらい持っておくのがいいんですか?

A.「生活防衛資金」として1年分の生活費が目安

現金はどれくらい持っておく?

「万一収入がなくなったとしても焦ることがないよう、生活費の1年分くらいを〝生活防衛資金〞として貯金で持っておきたいですね。
でも、そこまで貯まっていなくても、少額の積立投資なら始めてOK。月々貯蓄にまわせる金額のうち、積立投資の金額は50%までにして、貯金も同時並行で進めましょう」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

せっかくならおトクに!「つみたてNISA」の始め方

「つみたてNISA」って?

通常の投資では、利益が出るとそれに約20%の税金がかかりますが、NISA(少額投資非課税制度)の仕組みを使えば、その税金がかからないのでお得。

「その非課税期間が20年間と長い『つみたてNISA』は、投資信託をじっくり積み立てるのにおすすめですよ」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

「つみたてNISA」の始め方

|インターネットで証券会社に口座開設の申し込みをする
証券会社のHPで、名前や住所などを入力。必要書類(本人確認用の運転免許証やマイナンバーなど)は、スマホで撮影してアップロードすればOK!という、ネットだけで完結するネット証券もあります。

|届いた申し込み書類に記入して返送する
一部の証券会社の場合は、自宅に届いた書類に記入し、必要書類を添付して返送する必要あり。

|口座開設のお知らせが届いたら積立投資の設定をする
口座開設が完了したら、投資信託を選んで、月々の積立金額の設定をすれば、あとは自動的に積立投資がスタート!その後は10年以上ほったらかせばOK!

LEE100人隊からも質問その1
子どもたちの将来の生活のために、今からしておけることはありますか?

A.子どもの名義でも積立投資をしてみては

「積立投資で大きな成果を上げるには、長い期間が必要です。そのためお子さんの名義でも証券口座を開いて、少額でいいので積立投資を始めては。そのことを少しずつ伝えておくと、大人になったときに自然と投資の習慣ができていると思いますよ」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

LEE100人隊からも質問その2
パンデミックや戦争のこともあり、どうしても世界の先行きに悲観的になってしまうのですが……

A.実は100年前も同じような状況でした

「歴史を振り返ってみると、約100年前は第一次世界大戦があり、スペイン風邪が大流行し、と今と同じような状況でした。その後どうなったか。ある程度長い目線、世界規模で考えると、いろいろな困難を乗り越えながら、経済発展は続くのではないでしょうか」(インデックス投資アドバイザー カン・チュンドさん)

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取材・原文/西山美紀 イラストレーション/船越谷 香

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