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Sayaの「星がたり」

みずがめ座の時代における家事分担のあり方とは?/Sayaの【読む星占い/星がたり】

  • Saya

2022.01.07

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あけましておめでとうございます。みなさまにはいかがお過ごしですか。本日のお題のきっかけは、またまた担当の編集HT子さん。ある日、「働く既婚女性ばかりが周囲に気を遣い、頭を下げなくちゃいけない日本の現実をどう思います!? みずがめ座の時代、夫婦の家事分担は全国的に当たり前にはならないんですか!? 」という怒りのメッセージが届いたのです。

ここで現在の星まわりを復習すると、みずがめ座には現実化とルールの星・土星が滞在中。2023年には変容の星・冥王星もみずがめ座に入るので、みずがめ座の「自由・平等・博愛」の概念、ジェンダーフリーや年齢にとらわれない価値観が今後、力をもっていくでしょう。ただ外側の世界が変わっても、私たちの内側の意識の変化には時間がかかるもの。とくに日本にはイエ意識の名残があり、「家にいる女性はタダで使える労働力」という嘆かわしい価値観が見えないところでは連綿と続いている気がします。

ただ個人的な感覚で言うと、生活誌まわりの常識は少し違います(今は星占いを書いている私も、出発点は生活分野の編集者です)。32歳でフリーランスになるまでは婦人誌系、新聞系、流通系の編集部で働いていたのですが、どこもみずがめ座の時代を先取りしたかのような、自由な社風でした。共稼ぎは当たり前のうえ、夫婦のうち女性の側が稼ぎ頭であるカップルも、職場では旧姓使用をする人も多い。どの職場でも編集長はいつも女性で、先輩や同僚も産休、育休を自由に取っていたし、シングルを貫き、生涯仕事や趣味にまい進しようが、誰も何も言いませんでした。

私はこうした自由に慣れ切って、ふわふわと生きてきてしまったのですが、全国的に見れば、特殊な環境だと思います。今回のお題をいただいて、私やHT子さんの家事への価値観が全国ではどこまで通じるのかなと考え込んでしまいました。更新日は、松の内も明けるタイミング。関東在住でも、年末年始は夫の田舎に帰省し、嫁扱いに辟易してブルーになっている人もいるかもしれません。雑誌が見せる理想の家庭像と自分の現実のギャップに追い詰められる人もいそうに思うのです。

家事分担の前に大切なのは話し合い、理解し合えるパートナーシップ

私が社会に出たのは30年近く前! 「女の子の仕事は、結婚までの腰掛けでいい。事務職で十分」「女の子がひとり暮らしするなんて、もってのほか」という意識がまだまだ幅を利かせていた時代です。生涯、仕事をする女性も少ない中で、さらに「好きなことを仕事にする」「フリーランスになる」という選択をしてきたわけで、やはり特殊だったかもしれません。仕事に時間を割いてきた分、産んでいないし、育てていない。自分の身体を使って、命を産み育てるのがどれだけ大変な仕事かと思うと、お気楽な私が何を言ってもなあという思いもあります。また今の私にとっては、家事分担はそれほど大きなテーマではないんですね。大切なのは話し合い、お互いを理解し合うというパートナーシップの構築。目に見える家事分担だけを争っても意味がない気がするのです。

ワンオペで悩んでいる女性たちも実は、夫が家事をしてくれないことが理由でない人も多いのではないかと思います。家事も子育ても引き受けているにもかかわらず、夫が自分を顧みてくれない、誰も認めてもくれない、相談できる相手もいないという孤独。女性というだけで、家庭では大きな負担を担うのが当然といった周囲の意識のほうではないかと思うのです。誰も自分の大変さを理解してくれない、これはとてもつらいことのはず。

仕事に家事に育児にてんてこ舞いな妻

HT子さんによると、「読者の中には、夫に家事分担をしてほしいと言い出せない女性も多い」とのこと。家事全般をこなす父をもつ私は、そもそも「家事は女性がするもの」という刷り込みがないのですね(父は茶碗蒸しまで作るうえ、掃除、洗濯、家電や屋根の修理、車検まで自分でしていました。30年以上前、単身赴任中に料理家の小林カツ代さんのラジオを聴いて、「これからは男も家事をしないと」と目覚めたのだそうです)。そんなわけで、「言ってもやってくれないのではなく、遠慮して言い出せないなんて。言うのは自分の権利ではないの?」とこの直前のミーティングでは目が点になりました。

生きている以上、飲んだり食べたり、排泄したりお風呂に入ったりしなくてはいけない。男だろうと女だろうと、最低限の家事はするのは自然なことだし、家事をすることは収入の有無とは関係ないはずです。でも、私やHT子さんが家事分担を主張できるのも、もしかしたら、私たちが働いて、それなりの収入を得ているからかもしれないと思うと、家事分担について書くことは、逆にワンオペに悩む読者の方を追い詰めないかしらという考えもやはり頭をよぎります。

日本社会の大部分の設計がまだまだ男性は競争社会でサバイバルするのを当然としているし、女性が男性を支えて、それでやっとなんとか家族全体がやっていけるという家庭も多いと思うからです。そこで女性がサポートせずに男性が倒れてしまったら、そもそも経済的にやっていけない。そんな事情がある家庭も多いかもしれません。家事分担は「絵に描いた餅」にならないかなあと、また筆が止まります。

『LEEweb』まわりの家事分担は三者三様。共通するのは「いい加減」

このように散々迷ったのですが、みずがめ座の時代はやってきています。みずがめ座の意識をわがものとしたほうが生きやすくなるので、参考になるかどうかはわからないものの、『LEEweb』まわりの私たちの話をしてみます。

夫と子どもふたりの四人家族(最近、長男が社会人になって独立したので、同居しているのは三人)、今月、銀婚式を迎える編集HT子さん宅の家事分担はここ10年、プロジェクト別の分業制。料理はHT子さん。洗濯は夫の担当となり、3日くらいなら出張から帰ってきても、家族全員分の洗濯をするのが今では習慣になっているとか。その代わり、どんなに仕事で遅く帰っても、HT子さんが子どものお弁当は作っていたそう。「うちはこのやり方にしてから、喧嘩が減りましたよ!」とのこと。一方、皿洗いは夫、洗濯物をたたんでしまうのはHT子さんのことが多いそう。「夫のたたみ方が私と違うので、なんだかしっくり来なくて、自分でやったほうがいいとなったんです。私は、ごはんの後はゆっくりしたいし……。お互いのストレスフリーな分担に落ち着きました」。

アラサー、子どもがいないディレクターのなつおさん宅は、平日はテレワークでほぼ家にいるなつおさんが家事のほとんどを担当。週末はパートナーが料理をしてくれるとか。平日と週末という曜日での分業でうまくまわっているそうです。「でも、掃除はいい加減ですよ。猫を飼っているので、猫の毛玉がくるくるとボールのようになって目立ち始めたら、掃除機をかけるという適当さです」。

一方、ふたり揃ってジャストフィフティのわが家は、子どもがいないのはなつおさん宅と同じ。ただ夫の休みがカレンダーどおりではないうえ、出勤日は早朝6時には家を出て、18時前には帰ってきます。そのため、16時半には自分の仕事を切り上げ、食事づくり。夕食と後片付けを済ませてからが本格的な執筆の時間。日中も書くには書くのですが、メールや宅急便の受け取り、ミーティングやセッションなども多い日中より集中できるからです。

夜はほぼワンオペですが、その代わり、朝は起きないと決めています。ロングスリーパーで、たっぷり寝ないと原稿が書けないので、これは譲れないところ。夕食を多めに作り、味噌汁、ご飯などは用意しておきますが、夫はひとりで朝食を済ませ、お弁当を詰めて、ゴミも捨てて出かけてくれます。私が夜洗って、かごに入れておいた食器も、食器棚に戻っています。つまり、わが家は朝番と遅番があるようなもの。時間による分業制なのですね。

「料理を作って、相手がおいしいと言ってくれる」というプロセスをたまたま好きだったこと、フリーランスで時間が自由になることから、毎日の食事づくりの大部分は私が担っています。本当は、夫も料理をしてくれるのが理想ですが、夫が作るとラーメンや餃子など男の料理になってしまうこと、それに、ひとり暮らしのときはまったく料理をしなかった私です。食べてくれる人がいるからこそ、自炊もできるし、夕方に仕事のペースを落とし、料理や食事をするのは私にとっても気分転換に。おとめ座で仕事人間、ひとりだと働きすぎる私にはプラスだと思い、ここはコミットすることにしました。

一方、洗濯はめいめいが自分のものを洗うシステムです。と言うのも、夫は合成洗剤の香りが大好きなのですが、私は肌が弱く、合成界面活性剤入りのものは使っていなかったため、一緒に暮らし始めたときに盛大な喧嘩になりました。数ヶ月の争いののち、「別々に洗う」に落ち着いたのでした。夫はもともと洗濯王子で、洗い方、干し方にもこだわりがあるため、できるだけ手を出さないようにしています。

宅急便の受け取りやお金の管理、日々の買い物や掃除まで含めると、私のほうが7:3で家事をしているとは思うものの、これらはひとり暮らし時代からしていること。結婚して増えた家事は買い物や料理だけなので、そこまで負担と感じてはいないのかもしれません。また、夫は冬の間は忙しいものの、夏には溜まった代休消化で3ヶ月休みになるため、その間はごはんづくりも適当でOK。夫の家事分担比率も高くなるので、ともかく冬だけがんばればいいというわけ。畑を耕してくれたり、台風のときはベランダを片付けたり、私のできない車の運転をしてくれたり。自分にできないこと、苦手なことを夫が引き受けてくれるのも、心理的負担感が少ない理由かもしれません。そうそう、ハンドソープやブラックペッパーがなくなると、そっと中身を補充してくれるなど、見えない家事をしてくれることも多々あります。チラシを見たり、宅配を頼んだりには熱心なのも助かっています。

得意な家事をいきいきと担当する夫

私たち3人に共通するのは、家事分担をしつつも、家事そのものにはいい意味での「いい加減さ」があること。家事を完璧にしようとするとキリがないもの。大切なところだけ力を入れ、手を抜くところは抜くと緩急をつけていました。私などは、もともと家事に関しては自分が苦手で雑なので、相手のやり方が自分と違おうが、アラが目立とうが、何も気になりません。やってくれればそれで御の字と、ほとんどのことは見逃せます。また自分の家事も、「埃では人は死なない」というタイプ。「死なないことはそれでいい」と思い、自分が完璧にできてなくても許せます。

とは言え、こうした「いい加減さ」は子どもが小さいうちは難しいかもしれません。乳児の命を預かるママの張り詰め方はどれほどかと思います。一番助けてほしいのは、小さな子どもとだけ向き合い、社会から切り離されたように感じる時期かもしれません。また私たちのパートナーは会社員ですから、仕事がハードなときも、オンオフの切り替えはできやすい。でも、家業のあるおうちや地域の名家などだったら、周囲の手前もあり、私たちのようないい加減な家事ではやっていけないでしょう。夫の側も、地域や親戚との付き合いが多く、家事まで手がまわらないことも多いはずですし、妻が引き受ける範囲もきっと無限に広がっていく。何がベストとは言えない、本当に難しい問題だなと思います。やはり社会全体が「面倒なことは既婚女性に押しつけておけばいい」という意識から変わることが必要です。

好きな家事、愛せる家事、得意な家事を担当する

先日、テレビ番組で見た東北の食品加工会社では「嫌いな作業」はしなくていいし、連絡せずに休んでいいのだそうです。すると人が辞めなくなり、人件費は逆に抑えられる。みんなが長く働き続けるので、技術も効率もアップするし、休むとお金にならないから、みんな休みすぎることはないというわけで、会社の利益は逆に上がり、成長しているのだとか。

これこそ、多様性を生かしたみずがめ座時代の究極の働き方だろうなと感じるし、実は、私はこの方式を家事分担に取り入れている気がします。生理的に無理なこと、嫌なことはしない。好きなこと、得意なことを担当するほうがストレスフリーで効率的に思えるのです。

そこからすると、家事分担はやはりすべての家庭に当てはまるものでもないと思います。家事が大好きな女性がいたら、専業主婦でワンオペでも苦にならないかもしれないし、子育てが何よりの楽しみという人もいるでしょう。むしろキッチンは自分の城で、夫に立ち入ってほしくないという人もいるかもしれない。でも、そこまで家庭に縛られたくない人なら、仕事への比重を大きくして、夫婦で家事分担をする。妻が仕事をして、夫が主夫でもいい。相手のコンセンサスが重要ですが、お互いに「男女の役割分担」を押し付けられることなく、選択の自由があることが私たちの心をずっと自由にしてくれるはずです。

毎日のことだからこそ、「男だから、女だから」ではなく、それぞれが「好きな家事、愛せる家事、得意な家事」を担当する。ふたりでは背負いきれないなら外注を検討したり、まあいいかと手を抜いてみたり。朝型、夜型も人によって違うものだから、生理感覚は無視しない。こうした自由な家事スタイルがこれからのみずがめ座の時代には多くの家庭で実現したらいいなあと思うところです。

もっとも残念な家事分担の進め方は、いろいろ我慢した挙句に爆発し、「私もこれだけがんばっているんだから、あなたもこれだけやってよ!」と詰め寄ってしまうこと。でも、痛みの感情をぶつけられたら、相手も返してきますよね。むしろ、すべての感情を抜きにして、やらなくてはいけないと思うことをふたりで書き出してみる。さらに、苦手な家事、得意な家事をリストアップし、誰がいつ、どう家事をするのが家庭のマネジメントにとって、もっとも効果的かをゼロから話し合う。仕事ができる男性ほど、この手の話し合いには乗ってくれるのではないかと思います。

最後に、「よくわからないけれど、つらい」ということが結婚当初はきっとあると思います。家事分担が理由ではなく、ひとりのときの自由と放り込まれた役割だらけの世界とのギャップが激しいから。相手はもしかしたら、結婚前とあまり変わらないで済んでいるかもしれない。すると、あなたがつらいことにも気づいていない可能性があります。まずは「相手がわかってくれない」と思う前に「つらい」「もう嫌だ!」と言ってみましょう。パートナーがもしものすごく鈍感な人でも、そう言われたら、きっと一緒に考えてくれるはず。

(次回は、2022年2月7日に更新)


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アストロロジー・ライター

1971年生まれ。おとめ座。現在は、京都で夫とふたり暮らし。雑誌連載のほか、オンライン講座や、ホロスコープ・リーディングのセッションを行う。著書に「星を味方につける生き方、暮らし方」(集英社)など多数。

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