壁は、どこよりも自分を表現できる場所、手軽に自由に、12カ月を彩ります。
例えば、家にあるさまざまな布。視点を変えれば、意外な魅力を放ちます。
石井佳苗さん Kanae Ishii
雑誌や書籍、広告など多分野にわたって活躍。初心者にもわかりやすいオンラインレッスンも好評。「布は、見て楽しい、使って役立つ働き者です」 https://www.kanaeishii-stylist.com
質感が心地よい布、織りが気に入っているラグ、刺繍に惹かれたワンピース。先入観を取り払って壁に掛ければ、まるで一枚の絵のようです。
「床に敷くもの、身につけるもの、と決めつけず、ただの“布”として見てみると、新たな魅力に気づくはず。布のいいところは、色や図案だけでなく、質感でもその個性を発揮できるところ。目線の高さに飾ることで、絵のような役割を果たすと同時に、オブジェのような存在にもなるんです。冬は毛足の長いもの、夏は透け感のあるものなど、季節で替えても楽しいですね。気軽に部屋の雰囲気を変えられますよ」
ラグを絵のように壁掛け
織りの複雑なラグは、壁の主役にもなる
“敷く”だけが、ラグの楽しみ方ではありません。小ぶりなラグは、壁に掛けると魅力がいっそう増します。「なぜなら、敷くよりも全貌が見えるから。
このくらいのサイズのラグなら、長めのピンで留められるから手軽です。存在感があるので、下に家具を置くとバランスが取れますね」。トルコのヴィンテージラグは60㎝×80㎝。
麻ひもでゆるりと
布の質感に合わせて掛け方を変える
柔らかな布は、イメージを生かした飾り方を。
「この場合は、きっちり四角く留めるよりも、麻ひもを使ってゆるやかに掛けたほうが、布の雰囲気が生かせます。また、カーテンのようにも見えるので、空間に奥行きを感じさせる効果も」。布は、イギリスのキルステン・ヘクターマン氏による染色に、ケニアの女性が刺繍を施したもの。
洋服も、一枚の布として
刺繍が施された民族衣装は、その細やかさを愛でて
何気なく身につけている洋服も、まっさらな気持ちで見れば“布”としての美しさに気がつきます。
「このルーマニアの民族衣装は、着る&飾る、ふたつの目的で手に入れました。刺繍もののほか、ドレープが美しいワンピースや薄手のコートなどもおすすめ。ハンガーで一気に生活感が出てしまうので、布をかぶせるなどひと工夫を」
かわいいフックを見つけたら、
お気に入りの一枚をラフに掛けてみる
フックと布、ふたつを組み合わせて壁を彩るアイデア。「フックに大ぶりの布を掛けるだけで、自然とドレープが寄ってこなれた雰囲気に。テクニックいらずの簡単アイデアです」。布はインドのコットン、フックはアンティークショップで見つけた昭和の頃のもの。
布の保管には、通気性のいい柳ごうりが便利
「たためば小さくなるから、少々増えても大丈夫」と、布に関しては、自分に甘めな石井さん。保管は、古い柳ごうりに。「出しておいても雰囲気がいいですし、通気性がいいので実用的でもあるんです。詰めすぎて少々ふたが浮いていても、問題ありません(笑)」
●スタイリスト石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る
撮影/宮濱祐美子 取材・文/福山雅美
LEE2021年9月号『スタイリスト 石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る』より
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