LEE本誌で2014年から2年にわたり連載されていた「宋美玄さんの読む婦人科診察室」が、ポッドキャスト連載として復活! 産婦人科医の宋美玄さんが女性ならではの体や心のお悩みを解決したり、性にまつわる最新事情を解説したりと、充実の内容でお届けします。記念すべき第0回は、連載復活にあたり、所信表明のメッセージを。
フェムテックが流行し、ある程度オープンな雰囲気に
LEE本誌の連載から約7年、「私生活では9歳の娘と5歳の息子がいて、仕事より子育ての方がしんどくて、最近老眼も入ってきた」と宋さん。当時は毎月、宋さんの勤務先があった恵比寿のおしゃれなビストロにて、ランチをしながら連載取材を行っていました。生理、夫婦のセックスレス、母乳育児などなど赤裸々なトークが店内中に響き渡り、周囲がギョッとしていたとか。
その頃に比べ、2021年現在、女性の身体や性にまつわる話題について、いくらかオープンに話せる雰囲気になってきました。フェムテックが流行し、生理について取り上げるニュースやバラエティ番組もどんどん増えています。宋さんも産婦人科医歴21年目にして、これまでで最大級に女性の健康に注目が集まっていると感じているとのこと。実際ここ数年、フェムテックをはじめとして、女性の健康にまつわるビジネスモデルの構築や社会貢献を目指す起業家が増えています。
女性だけが健康面でハンデがある?
アラサー・アラフォーのLEE読者の皆さんは、仕事、家事、子育てに忙しく、なかなか自分の身体や心と向き合う時間が取れない人ばかり。読者アンケートの結果を見ると、「声にならない悲鳴」を上げている人がとても多いと感じます。
女性は生理、妊活、出産、授乳など、常に何かしらの不調と隣り合わせ。「女性に生まれたからそんなことは当たり前」と思う人も多いかもしれませんが、男性にはそのような体調の波はありません。「女性だけが健康面でハンデがあり、損し続けることは当たり前じゃない、と伝えていきたい」と宋さん。
「生理痛は我慢して当たり前」じゃない!
世間では「生理痛は我慢して当たり前」という意識が蔓延しています。毎月身体が妊娠の準備=生理のため、まだ子どもは当分要らない人であっても、月の半分以上が体調不良。それが受験や部活動の大会などに重なってしまい、パフォーマンスを発揮できなかったり、生理痛や生理にまつわる不調で仕事に行けなくなって辞めてしまったり……宋さんはこれまでそんな患者さんを数多く診察してきました。
読者の皆さんの中でも「生理痛なんか病院に行くなんて」「生理痛は仕方ない」と思っている人がとても多い現状。でも、それを解決する方法が色々あることを伝えたい。雇用や家事分担などのジェンダーギャップ以前に、まず身体的に女性は損をしていることに気づいてほしい、と宋先生。その一環として宋さんのクリニックでは「生理痛撲滅運動」をしています。
痛みや不調に意味を見いださないと耐えられない
「痛みを我慢して当たり前」という考えは「出産」にも。帝王切開や無痛分娩よりも、自然分娩が尊ばれる風潮があります。「お腹を痛めて産んだ」「痛い思いをして産まないと一人前じゃない」といった声を聞くことも少なくありません。読者アンケートでも「尊い痛みだと思って耐えていたのに……」というコメントが。
もちろん出産は素晴らしいことですが、誰しも要らない我慢はしたくないですよね。痛みそのものに意味はありません。でも人間の心理として、生理痛にしても出産にしても、痛みや不調から逃れる方法がないとき、その痛みや不調に意味を見いださないと耐えられません。
「女の身体に生まれてきたから…」は無用な意味づけ
読者の皆さんには、本連載を通じて「この痛みや不調は女の身体に生まれてきたからこその神秘的な体験であって、耐えるべきもの」と無用な意味づけをすることから脱却してもらうのが本連載の命題です。女性特有の痛みや不調を解消するための選択肢が、現在の医療にはあります。
次回から、宋さんが読者の皆さんから届いた女性の身体と心と性の悩みを解決していきます。「みんなドーンとまとめて私が診ますので、よろしくお願いします!」(宋さん)
毎週金曜日更新です、どうぞお楽しみに!
宋美玄さんへの質問を大募集!
宋さんへの質問や番組へのご感想は、専用メールアドレス(fujinka@lee.hpplus.jp)宛にお送りください。
イラスト/鹿又きょうこ
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宋 美玄 Song Mihyon
産婦人科医
セックスや女性の性などについて、女医の立場からの積極的な啓蒙活動を行う。メディア出演や著書多数。'17年、丸の内の森レディースクリニックを開業。https://www.moricli.jp/
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