”オンラインだからこそできる”新たな取り組みが増えている
「新たな日常」と切っても切り離せない「オンライン化」。
仕事だけでなく、自粛中にZOOMなどを使って習い事やお友達との飲み会などを経験し、新たな楽しみ方を発見したという方も多いのではないでしょうか?
外出が制限される中、これまでのように「リアルの替わりとして仕方なく…」ではなく、「オンラインだからこそできる新たな価値を生み出しているサービス」が増えてきていると感じます。
これから数回にわたり、実際に私が体験してワクワクした「新たなオンラインコンテンツ」についてご紹介して行きたいと思います。その魅力を通して、私たちの毎日をより豊かにする可能性を感じていただけたら嬉しいです!
【子どもが教える学校】小学生ママが、休校中の子ども達のために立ち上げたプロジェクト
3月末、小学校2年生のお子さんを持つ一人のお母さんが「休校中の子ども達のために何かできないか」と考えて立ち上げたプロジェクト「子どもが教える学校」。子どもたちが先生になり、自分自身が興味のある好きなテーマについてオンラインで授業をするというプロジェクトです。
私自身も新小2と年長となった兄妹を子育て中ですが、ひとりの母としても非常に魅かれる素晴らしい取り組みだと感じました。さらに画期的だと思ったのが、「子ども先生」の募集、子ども達が行う授業の企画や準備、そして発表まで全てインターネット上のやりとりだけで行っているという点です。
休校中の自粛期間だったという特殊な背景があったからこそですが、これだけのことをオンラインで完結させているということ自体も、新たな価値だと強く感じました。
実際のオンライン授業の様子は?
うちの賑やかな兄妹が2時間パソコンの前におとなしく座っていられるか心配でしたが、自分たちと近い年齢の「子ども先生」たちが頑張っている姿や、長男が欲しくてたまらない「ゲーム」を始め同世代が興味を持つテーマに興味津々!真剣に耳を傾けていました。
授業で使うスライドも全て子ども達の手作りです。PowerPointはもちろん、手書きと組み合わせるなど大人には考えつかない素敵な資料が多く、スライドを見ているだけでも楽しかったです!
完成度の高い授業、大人にこそ是非見て欲しい理由とは?
「もしも皆さんが絶滅危惧種の動物だったとしたら、どんなふうに感じますか?絶滅したらどうしようと焦ったり、怖くなったりするのではないでしょうか」
どの子ども先生も素晴らしかったですが、今回個人的に一番心に残った授業は、こんな問いかけで始まりました。自分が絶滅危惧種だったら…なんて考えたこともなく、開始早々ぐぐっと引き込まれてしまいました。
「動物は人間よりもずっと『先輩』であり、自分たちよりも長い歴史を持つ動物たちを、『後輩』である人類が絶滅に追いやろうとしていることは非常に悲しいことだ」というメッセージも非常に心に響き、絶滅危惧種をとりまく現状についての説明も端的でとてもわかりやすく感心しました。
さらに印象的だったのが、この問題に対して自分なりの提案をしてくれたことです。
「地球温暖化バイバイ法」「海洋プラバイバイ法」というゆうまくんのオリジナル自然保護法をとして、”歩こう”、”ごみを減らそう”、”水筒をつかおう”、”エコバッグを持とう”といった具体的な行動を示し、聴いている人たちが「今日から始めたい」と感じるような行動を促す提案が素晴らしいと感じました。
プレゼンが始まるや否やZOOMのチャットには大人たちの感動のコメントが波のように押し寄せていました。聴いていた子ども達の中には、ゆうまくんが発表する絵を描いて感激を表してくれたお子さんがいたり、チャットに「お友達になりたい」とメッセージを送ったり…オンラインならではのダイレクトな反応を見て、少し照れながらも嬉しそうにしているゆうまくんの様子にも、温かな気持ちになりました。
「子どもが先生・大人が生徒」逆転の発想の学校を始めた理由とは?
「子どもが教える学校」の最初のきっかけとなったのは、休校中の子ども達に対してZOOMを使った「10代のためのプレゼンテーション講座」を始めたことだったといいます。
「ネットやSNSのおかげで、場所や時間を選ばず誰とでも繋がることができるようになり、『やりたい!』と思ったことは、これまでと比べて労力をかけずにスピーディに形にできる時代となりました。
だからこそこれからの時代を生きる私達に必要なのは『自分の思いや考え』を人に伝える力だと思います。その力があれば、繋がりたい人と繋がり、同じ想いを持つ仲間を募ることもでき、どんな夢にでも近づくことができる!そんな思いを込めて開催しています。
そしてプレゼンを上達させるために大切なのが実践の場。そのために企画したのが、子どもが先生に、大人が生徒になる、従来の学校とは逆発想の『子どもが教える大人の学校』というイベントでした。」
そしてもう一つのきっかけが、今年小学校2年生となった息子さんだったといいます。
「子どもの時は毎日のように新たな学びや発見がありますが、大人になるとそれが少なくなっていきます。そんな中、人生の大切な場面でいつも私に大きな気づきを与えてくれたのは、息子が持つ独自の『視点』でした。
大人たちの『当たり前』や固定概念に縛られていない子どもたちが見る世界は、大人にとってとても新鮮で、大きな気づきを与えてくれるものばかりです。そんな経験が、いつか子どもが先生となる企画を立ち上げたいという夢を抱くきっかけとなりました。」
新型コロナの影響で生じた子ども達の急な休校、その中で子ども達に何かできることをという思いで立ち上げたプレゼンテーションの講座…その先にあったのが、鈴木さんの夢であった「子どもが先生となる学校」の実現でした。
大切なのは、”伝えたい!”という気持ちと、自分の言葉で語ること
私が忘れられないのが、鈴木さんが仰っていたこんな言葉です。
「伝える力とは、思いやアイデアをわかりやすく説明し、相手に納得してもらうこと。そして相手に行動を促し、変化を起こすことだと考えています。だからこそ、子ども達と準備をする上で繰り返し伝えてきたのが「一番大切なのは『伝えたい気持ち』だということです。」
まず、自分が決めたテーマに対して自分の心が動いていているかどうか、「どうしてそのテーマを伝えたいのか」を、対話を通して掘り下げていくといいます。そしてその思いや考えを伝えるためにはどうすれば良いか考え、それを借り物ではない「自分自身の言葉」で表現する方法を共に考えていくのだそう。
「もちろんプレゼンのテクニックのようなことを教えるわけではなく『自分の伝えたい事が相手に伝わったらこんな良いことが起こるかも!』と子ども達にワクワクしてもらうことを大切にしています。」
そして、そんな鈴木さんの思いを実感したのが、授業が終わった後の子ども達の様子でした。
授業を受けていた子ども達に変化が!!
授業が終わった後、それまでは観ていた側の子ども達からも「自分も表現したい!」という手がたくさん上がりました。
例えば絶滅危惧種の授業に対して、自分が集めている昆虫の標本を見せて説明をしてくれたり、自分が作ったロボットや描いた絵、飼っている昆虫などを見せてくれたり…自分の「得意」や「好き」をたくさんアピールしてくれました。 それに対して紙に大きく「上手」という文字を書いて褒めてくれるお子さんが登場するなど、アナログとデジタルが融合したオンラインならではのやり取りが盛り上がり、今まで体験したことのない面白さを感じながら、参加している私も心が踊りました。
大人達はなかなか手を上げて感想を発表はしませんが(笑)、チャットルームは常に感激の声で大変賑わっており、皆さんの感動が伝わってきました。
途中で「前に開催した授業も見てみたいな」と言うほど、同世代のお子さん達が頑張る姿を楽しんでいた息子ですが「自分が先生になるのは緊張しちゃうよ~」と一歩引いて見ている部分もありました。そんな息子でも、上記の写真のように何か自分の思いを伝えたくなる、そんな「自分も何か動き出したくなる」パワーがもらえるところも、この学校の大きな魅力だと感じます。
また普段、子ども達はもちろん私もつい「嬉しい」「面白い」「楽しい」など安易な言葉で話をしてしまうところがあるので(ライターなのに!!)、子ども先生たちを見習って、もっと自分の言葉で表現したり伝えたりしたいと思いました。
最後に感想を募られた際、「頑張った子ども達に何か伝えたい」と手を挙げて発表しましたが、大人の私でも緊張しました。オンラインとはいえ100名以上の聴衆を前に立派に授業を行った子ども達に、改めて心から拍手を送りたいです!
次回の開催は7月4日(土)、5日(日)だという「子どもが教える学校」。子ども先生になることはもちろん、まずは授業を受けるだけでも大きな気づきがあると思います。気になった方は是非参加されてみてはいかがでしょうか?
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佐々木はる菜 Halna Sasaki
ライター
1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。