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LIFE

飯田りえ

薄井シンシアさんに聞く。語学、子育て、私たちに必要なアイデアのこと

  • 飯田りえ

2019.11.09

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薄井シンシア●1959年生まれ。海外勤務の夫について20年間海外で暮らす。17年間の専業主婦の後、47歳のとき、バンコクで“給食のおばちゃん”になる。帰国後、52歳で電話受付のパート。その後、3年でANAインターコンチネンタルホテル東京の営業開発担当副支配人になる。シャングリ・ラ ホテル東京勤務の後、現在、東京2020オリンピックトップパートナーのホスピタリティ担当に従事。

17年間、育児・家事に専念して専業主婦だった後、給食のおばちゃんから仕事復帰し、5つ星ホテルの幹部にまで登りつめたという、異色のキャリアをお持ちの薄井シンシアさん。『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』の著書を読み、彼女の柔軟な発想は、ビジネスにも子育てに通ずるものがあるはず──と、子育てで悩みを抱える母達が集まり勉強会が行われました。

テーマは『語学習得について』。シンシアさんの娘さんはハーバード大出身で英・日・仏・独の4ヶ国語母国語レベルで使いこなし、今はアメリカで結婚されて弁護士をしています。一番、苦労した言語が日本語だったそうで、その道のりを前回の記事でお伝えしました。

後編は実際に訪れた母たちの、外国語習得にまつわるお悩み相談会での内容を少しご紹介します。シンシアさんのアドバイスは明晰でアイデアにあふれていて、逆に、自分たちの考えの至らなさが露呈することに…。

親子で語学留学をした後、次のステップは?

お悩み

今年の夏、中1の子と一緒に親子留学で一週間、現地の語学学校へ通いました。「英語ができないとこれからの時代困る」と受け止めて欲しかったのですが、当の本人は「楽しかったー!」で終わった様です。これから、どの様なステップを踏めば良いでしょうか?

シンシアさんからのアドバイス

母さんの期待値が高くなっていませんか? 今回、初めての英語生活をリラックスして過ごせたことで、第一段階はクリアですよ!  英語アレルギーさえでなければOKだと思います。

また、パーフェクトな英語を目的としていませんか?

コミュニケーションが目的であれば、文法なんて問題ないし、英語での生活が快適であれば、そこからパーフェクトを目指せば間に合う。私なら「来年の夏は、この子と何を体験しようかな?」と考えますね。自分ができないことは娘にも強要しませんので、初めてのことは私も一緒に学んできました。

主人は英語、子どもは日本語…父と娘の関係性

お悩み

夫は外国人なので娘とは英語で会話しています。娘も7歳になり、夫以外とは日本語なので、最近、親子の会話が成り立たなくなってる気がします。

シンシアさんからのアドバイス

言葉の問題ではなく、もしかすると、お父さんと娘さんの共通点がないのでは? 二人だけの世界を作ってあげたらどうでしょう。7歳でしょ? お父さんが娘のしたいことを一生懸命見つけて、歩み寄らないと! 営業マンがクライアントに歩み寄るのと同じように親が子供に歩み寄ることも必要かと思います。

英語が話せない夫婦のマインドチェンジ法

お悩み

夫婦共に、日本の教育を受けて日本企業に就職した超ドメスティック家族です。自分自身、英語が話せず”カッコ悪いところ”で止まっていて…、3歳の子が成長すると共に、自分たちもやらないといけない。そこに恐怖心があります。

シンシアさんからのアドバイス

まずは親が「恥ずかしい」というマインドチェンジをするところからね。夏休みはとにかく英語しか通じない環境を作り、親が苦労しながら親子体験するのがいいと思いますよ。まだ3歳でしょ、何をやっても楽しんでくれる歳なのだから、もっと親子で楽しんで! お母さんがもっとリラックスして!



親子で英語に触れる経験はアイデア次第でどこでもできる!

お悩み

夫が外資系企業で働いているので、子どもたちのためにも会社のファミリーで交流する機会を作って欲しいのですが、なかなか機会を作ってくれません。彼自身、あまり乗り気じゃないみたいで…。

シンシアさんからのアドバイス

先ほどの方と同じ、親のマインドチェンジの問題。別に外資系の会社じゃなくても、機会はいくらでも作れます。今、インバウンドのためのツアーが日本でも沢山あるでしょう。例えばそういうのを利用して、外国人と一緒に有楽町のフードツアーに行くとか、「May I help you?」って書いた紙でも持って、銀座に立つとか。英語の接し方は必ずしも勉強じゃなくていい。若い頃はとにかく楽しい経験・体験だと思います。塾に行くばかりが英語の習得にはつながりませんよ!

学校の英語の授業がつまらない…という子どもたちへ

お悩み

小学生の低学年の頃から英会話に通わせていて、習い事では英語を楽しんでいます。しかし、学校での英語授業が楽しくないようで…、間違えると全員で何度も同じフレーズを言わされているようなのです。

シンシアさんからのアドバイス

正直、日本の授業って楽しくないわよね(苦笑)。私だったら、まずは学校に”授業の進め方” について先生に相談します。それでも変わらなければ、子どもには「ここはやらないと通過できないので、諦めよう」と現実的に説明します。「世の中はいろんな人間がいて、どうやって測るかわからないから、測り方を決めているのね。それが突破できないと、自分の好きなことができないから、ここは最低限やろうね」と説明するでしょう。

私は「親の言うことは聞きなさい」とは一度も言ったことはありません。一人前の大人として接していたので、徹底的に説明して、それでも理解しなかったら時は「お好きにどうぞ」と冷静に。

子どもが好きなことと親が好きなことは違う

お悩み

語学だけでなく、子ども自身の意欲があまり感じられないのです。私が「海外旅行も一緒に行こうね」と誘っても「海外は怖いからイヤ、日本が好き」と興味のあるもの、好きなものもあまりない様なのですが…どうすれば?

シンシアさんからのアドバイス

まだ、興味持てそうなことに出会っていないんじゃない?親の好みを押し付けちゃダメよ。自分が海外が好きだからって子どもが好きなわけではない。日本が好きなのだったら日本旅行じゃなぜダメなの? そこから開拓しないと。子どもを否定していることになりますよ。もし「海外は怖いところ」ってイメージがあるなら、外国人観光客が行くレストランに行って「怖いイメージって言っていたけど、こんなにも様々な人たちがいるのよ」と教えてあげたらいい。子どもの気持ちになって考えてみたらどうかしら?

子どもの好きなことには、ずっと楽しく好きでいられるように

お悩み

5歳になる子は自分の好きなことが明確です。好きなことだから、と、早速お稽古に通わせようとしたら、その瞬間から心を閉ざしてしまいました。本物を学ばせてあげたいと思う親心と、なかなか本人の気持ちが一線を越えられないのですがどうすればいいでしょうか。

シンシアさんからのアドバイス

好きだからって「徹底的に」ではなく、好きなことを「維持しよう」でいんじゃないですか?  私、日本の理解できないのが、バレエだったら「辞めずにずっとやらないといけない」という考え方。バレエが嫌だったらジャズでもなんでもいいじゃない。うちの娘はひと通り全部やりましたよ。バレリーナに育てたいわけじゃないのだから。もし、舞台に立ちたいのなら、舞台に立てる機会を与えるの。家をセットにして、お友達呼んで「みんなで発表会しよう!」と、まずは身近でいいのよ。子どもたちにプレッシャーかけないで。5歳の気持ちになってみて、お母さんたちハードル高すぎるよ!

英語の”教育”、よりも先にまずは英語の”体験”を!

お悩み

とにかく日本語に触れる機会をたくさん与えて、本好きな子になりました。海外にも興味が出てきているのですが、英語の教育って何歳ぐらいまでに始めたら良いのでしょうか?

シンシアさんからのアドバイス

子どもの頭の柔軟さでいけば、幼い頃の方が外国語は入りやすいとは思います。ただ、日本語なり母国語のベースがしっかりと頭の中にあって、その上に新しい言語を積み上げることも大事だと思います。ただ、みなさん、英語の入り方がまず ”教育” ですよね。違いますよ。まずは ”体験” ですよ。英語環境に快適にすればいいのです。

子どもの夢と現実、親がもっと危機感を持つべき理由

お悩み

子どもの描く夢と実際目の前にある現実を、いつぐらいからアジャストしていけば良いのか、タイミングがわかりません。

シンシアさんからのアドバイス

親として可能性を見せるのも大事、でも反面、現実に基づいた事実を話すことも大事ですよ。親はやはり責がありますよ。うちの娘のように4ヶ国語も話せるって聞くと「いいね!世界中、どこでも生きていけるわね」って思うでしょう?それに、 ハーバードロースクール出ているから、普通にビザをもらえるって思っているでしょう?でも、ビザは 抽選 ですよ。娘は抽選に外れたら日本に帰らないといけない。だから私はずっと娘に言い続けていました。「あなたが誰にも文句を言われないで働けるのは、日本だ」と。いかに現実は厳しいかってことですよ。

さらに、今ではこれだけ日本の労働力が減っているので、外国人はどんどん増加しています。彼らはハングリー精神の塊で、語学がパーフェクトかどうかなんて気にしていない。コミュニケーションを取りながら、どんどん活躍していきます。課題はそれぞれ違うと思いますが、自分の子ども達が彼らに対抗できますか?もう少し危機感を持った方が良いと思いますよ。


子どものお悩み相談、というよりは、課題のほとんどは親である私たちに改善の余地がありました。子どもに何かを学ばせる時には、まず習い事や塾、お稽古…と教育的発想でしかなりませんでしたが、シンシアさんの「お金払って塾に行かせるなら、お金払って一緒に親子で楽しく体験しよう」という考え方にはすごく共感できました。これだけインバウンドが増えていて、英語という環境に触れるにはいくらでもあるのに、これをうまく活用するのもとても良い英語体験ですよね。ぜひ、一度楽しめる体験を探して親子でチャレンジしてみたいと思います。

何よりも、シンシアさんの発想の根底にあるのは、子どもと一緒にいられる時間は今しかない、有限であるということ。これを念頭に置いておけば、もう少し発想も柔軟になれそうです。今後、シンシアさんの連載が始まるのでぜひそちらもお楽しみに!

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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