喫茶店風なめらかプリンは“卵を泡立てずにしっかり混ぜる”
ちゃんと甘くてややかため、黄身の濃さを味わえる喫茶店風プリン。むっちりと、かつなめらかな口当たりのその秘密は?
「このなめらかさは、卵をしっかり混ぜることで生まれます。泡立てるのではなく、“すり混ぜる”を意識して。泡立てて気泡ができると小さな穴=“す”が入って、ざらりとした食感になってしまうんです。溶き残した白身やカラザも口当たりが悪くなる原因なので、卵液をザルで2度こして取り除いてください」(ムラヨシマサユキさん)
ムラヨシマサユキさん
ってどんな人?
料理研究家。中学生の頃にはお菓子の道に進むことを決心。高校卒業後にハーブ園に併設された菓子店で働いた後、エコール 辻に入学。パティスリー、カフェ、レストラン、さらに「素材についてもっと知りたい」と青果店で働いた経歴も持つ。スポンジケーキに特化した本などマニアックな著作も手がけつつ、「レシピは、作ってもらってこそ価値がある」をモットーに、プロの技を家庭向けにアレンジしたレシピも多数発表。
「お菓子を作る最初の一歩に、僕のレシピを使ってもらえたら最高です!」(ムラヨシマサユキさん)
カスタードプリン
材料・150㎖のプリン型4~5個分
- カラメルソース
- 砂糖……30g
- 水……大さじ1
- 湯(40〜50℃)……大さじ1
- 卵液
- 卵……4個
- 砂糖……50g
- 牛乳……300㎖
準備
*オーブンを150℃に予熱しておく。
*湯煎焼き用に40〜50℃の湯(熱いお風呂くらい)を準備しておく。
作り方
カラメルソースを作る
1.鍋に砂糖と水を入れる
鍋に砂糖と水を入れ、鍋を軽く回してなじませる
2.中火にかけ、沸かして色づける
沸騰し、鍋のふちから茶色になり、煙が出てきたら弱火にする。色づかなくなるので、鍋を回したり、へらなどで混ぜない
3.湯を入れて混ぜ、型に流し入れておく
弱火のまま(焦げが心配なようなら火を止めて余熱で)、全体が濃い茶色になるまで煮詰め、湯を入れる
ゴムべらで均一に混ぜてから、温かいうちに型に等分に流し入れる
作り方
卵液を作る
4.牛乳に砂糖を入れて温めて溶かす
カラメルと別の鍋に牛乳を入れ、砂糖小さじ1を入れてさっと混ぜ、中火にかける
沸く直前で火を止める
5.卵と砂糖を泡立てないように混ぜる
ボウルに卵を割り入れ、泡立て器を縦に持って、ボウルの底から離さず、するように溶きほぐす
残りの砂糖を入れ、静かに混ぜ合わせる
6.卵液に牛乳を加える
④の温かい牛乳を静かに加える
7.泡立てないようによく混ぜ合わせる
牛乳と卵液が完全に混ざるまで、泡立て器をボウルの底から離さないようにしてすり混ぜる
8.ザルを使って2回こす
ザルで卵液を2回こす。なめらかな口当たりを目指すなら2回
白身の小さなかたまりやカラザを、ここで完全に取り除く
作り方
プリンを焼く
9.型に卵液を注ぎ入れ、お湯を張ったバットにのせる
勢いよく注ぐとカラメルを突き破ってしまうので、スプーンを当ててワンクッションおいてやさしく
キッチンペーパーを敷いたバットにのせ、湯煎焼き用のお湯を1㎝高さまで注ぐ
10.アルミホイルをかぶせて湯煎焼き
オーブン内の熱風で表面が揺らされないようにアルミホイルをかぶせ、150℃に予熱したオーブンで30〜40分焼く
11.粗熱を取って冷蔵庫で冷やす
オーブンから出して粗熱が取れたら、ラップをして冷蔵庫でひと晩冷やす
作り方
型から出す
12.型とプリンの間にナイフを入れる
型とプリンの間に浅く差し込み、1周させる。ナイフでなく、型をくるりと回すとよい
13.皿を当てて型から出す
型の上に皿を当て、一気にひっくり返す
皿と型を密着させたまま2、3回上下に大きく振り、型の底をコンコンと叩いてから、型を外す
アレンジ
マグカップで作るプリン
プリンカップがなくても大丈夫。普段使いのマグでも手軽に作れます。「出来たてのカラメルはとても熱く、マグが割れる可能性があるので後がけで」(ムラヨシマサユキさん)
材料
カスタードプリンと同じ
作り方
- カラメルを作りマグカップに流し入れず、別に取りおく。
- 卵液はカスタードプリンと同じように作り、マグカップに注ぎ入れて同様に焼いて、粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす。
- 取りおいたカラメルを好みでかけて食べる。
おいしく失敗知らずの定番レシピで
お菓子も思い出もたくさん作って!
「定番って、子どもの頃から食べているのに飽きないおいしさ。みんなが大好きな味ですよね。素材も身近なものばかり。長く愛されるものって理由があるんですね」(ムラヨシマサユキさん)
今回のレシピは、定番として納得のおいしさはしっかり保証しつつ、カットできる作業はカット、材料もキリのいい分量を意識。道具は基本、家にあるもの。使う型はプリン型だけ。
「だって、“卵1個半”なんて困っちゃいますよね(笑)? 定番は、手順をきちんと踏んでいけば家庭でも必ずおいしくできます。それにお菓子って、記憶に刻まれる存在だと思いませんか? 記念日はもちろん、毎日の手作りおやつが、お子さんの記憶に残るとうれしいです」(ムラヨシマサユキさん)
2021年12月号【ムラヨシマサユキさんの家で作ってみたいこどものおやつ】より
撮影/宮濱祐美子 スタイリスト/西森 萌 取材・原文/福山雅美